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入試問題で創造的思考力(03) 筑駒 数の性質

☆筑波大付属駒場(筑駒)の算数は、「数の性質」と「図形」の2領域から出題されます。中高に入学してからの数学的ものの見方の基礎能力があるかどうかテストするには最適な領域ですね。

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(2015年筑駒算数入試問題から)

☆数学的ものの見方の基礎能力は、

①具体的変換操作力

②地と図のメタ変換力

③一般化(概念化)と具体的変換操作力の関係化(関数化)

④推理力というか直観力

☆ですね。で、筑駒とか開成とか、麻布とか合格してしまう子は、小学校6年生の段階で、②と③を脳内で自動化できている子です。でなぜできるかというと、トレーニングの結果なのか天性の才能なのかはわからないのですが、強烈かつだからこそ安定した④の能力を持っているからですね。

☆しかし、この「自動化」を証明することが本当は創造体才能者の行うことなのですね。ところが、従来の入試は、そこは暗黙の「自動化」が優先し、この自動化された能力に基づいて、①の具体的変換操作をさっとして、はやく結果を出せる受験生。しかも推理力や直観力が優れているから、正解に行きつく速度も速いという生徒が合格してきました。

☆ところが、6年生の段階で、「自動化」もできていない「推理力・直観力」も安定しないから「予想」になってしまっている子がいます。模擬試験を受けたら、現段階では偏差値55が壁になってしまう受験生がそうですね。

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☆しかし、そんな受験生も、ルビンの壺のようなトリックアートで、変換の具体化と一般化の地と図を入れ替えてみることに気づくところから始めると、気づきがうまれてくるものです。9月19日(土)、聖学院の思考力セミナーでは、トリックアートをトリガーに、図形の問題で見えていて見えない空間を見つけるアクションができるようになっていくプログラムを実施していました

☆参加した受験生には、埋もれていた直観力の芽が出てきていましたね。これでよいのではないでしょうか。筑駒の場合、この数の性質の問題は、さっとやって、他の大きな問題3題行わねば合格しません。

☆しかし、それは生徒の才能を開発することではなく、すでに開発されている才能者を選抜するという機能でしかないのです。従来はどこの学校もそうだったわけです。

☆ところが、今や中学入試で創造的才能の基礎的能力を開発している学校があるのです。それは、聖学院やかえつ有明、桜丘、工学院、富士見丘、東京女子学園、、共立女子、文化学園大学杉並、聖徳学園のように思考力重視テストを実施している学校です。たしかに模擬試験の結果は偏差値40、50、55が壁だったかもしれません。

☆でも、思考力テストで才能が6年間で開花する可能性があると評価されてその学校に入学した生徒は、6年後筑駒や開成、麻布の生徒に追いついている可能性大です。しかも、大学で海外の大学に進む可能性も高いですから、帰国後、もはやかつての高偏差値の生徒を追い越していることでしょう。

☆さて、そのような才能がある生徒(すべての生徒に才能はありますが、私立学校の場合は、6年間で才能を開花できるかという責任を負っているので、ある程度才能が芽生える土壌ができているかどうかを評価せざるを得ないのが現状の課題ですね)に、この筑駒の問題を出題するとなると、どうなるでしょう。筑駒は、小問を3つしか出していませんが、たとえば、聖学院の思考力テストで出題するとすると、小問が10個ぐらいになるでしょう。

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☆というのも、(1)の段階で、変換操作と結果を見える化する問いが出題されるからです。筑駒合格者だったら、自動化されて暗算でスルーしてしまう変換操作の過程を記述させます。

☆なんだ途中式かと思うかも知れませんが、逆ですね。一般化変換する法則性の体験をすることが目的ですね。

☆一般化はしかし、上記の図のように方程式にする前に、体感していくことの方が大切ですから、それゆえ(2)も7つの分数を同じように変換の過程を見える化する問いを出題するでしょう。

☆おそらく、そこまでやれば(3)の問いは不要ですが、ゲーム感覚で出すかもしれません。変換過程を見える化し、一般化(概念化)を体感できれば、6回目で0になる5回目の段階の真分数が、2分の1であることが直感できます。上記の一般化で、最初の分母が最小になるには、最後の変換操作の時も最小になっているはずだからです。それは上記の一般化の式を思い浮かべればわかるでしょう。

☆ところで、上記の一般化は、結局帯分数の概念です。筑駒の問題も何も難しい内容を問いかけているわけではないのです。それなのに、選抜試験として難しくしているわけですね。

☆一見素晴らしいのだけれど、多くの才能の芽をつぶす問題の作り方とみなすことも可能です。EUの欧州評議会や大学なら、これはたぶん問題になるでしょうね。問いとは、子どもたちの学習権や創造的な学びの権利を強めるものでなければならないからです。

☆2020年大学入試改革の背景にはそういう人間の本質の回復への希望の動きがあります。果たして政府、文科省、中教審のメンバーがそこまで見えるルビンの壺感性を持っているかどうかは知る由もないですが。

☆ともあれ、中学入試は、今や2つのベクトルの入試が存在しています。「知識・技能」70%で「思考力」30%という入試問題と「思考力」100%という入試問題です。

☆前者は選抜入試、後者は才能発掘入試です。後者は、今のところ塾では教えていないので、思考力テストを行っている学校が、独自に思考力テスト対策セミナーを開催し、そこからすでに才能発掘が始まるような機会を設けています。学校説明会などで実施しているので、活用するのがお得ですよ。

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