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2016年中学入試【学校選択】のヒント(12) 八雲学園 大きな変化と強力なソフトパワー

☆昨日9月1日(火)、八雲学園は入試懇談会を開催。参加した塾関係者は、驚嘆した。その教育の質の重量感と表現力は、彼らをうならせた。

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(オープニングは、「英語教育から見るアクティブラーニング」の動画映像から)

☆私立中学校の選択は、塾といういわばエージェントの影響を強く受けるのは周知の事実。塾は受験勉強を担うというのは、あまり正しい認識ではない。むしろ、現行の小学校教育では教えられない私立学校の教育に接続するための学び方を入学前に準備するエージェント機関。

☆また、一方で自分たちが預かった生徒の未来を託せる私立学校を厳しい目でチェックして、受験生に薦められる学校選択眼を持っているエージェントでもある。

☆高校入試とは違い、自治体の生徒配分機能はまったく働かないから、完全な教育の質の競争が働く実は世界でも珍しい教育市場なのである。もちろん、市場は利益のみを求めたり、市場を独占しようというエージェントが強力になると衰退してしまうが、金融市場とは違い、市場の自浄作用が働くのが教育市場の特色である。

☆その自浄作用が働く大きな理由は、私立学校どうしが教育の質で創意工夫をして競争するからである。教育の質を豊かにすることによって、その教育の顔である入試問題の質も充実する。

☆エージェントは、その入試問題から逆算して、塾の学習カリキュラムを創出する。塾もまたプログラムの質の改善を図っていくから、私立中学受験市場は良質になり続ける。

☆さて、今年はそういう意味では、一時フリーズしてきた中学受験市場に活気が戻ってきている。というのも各私学が21世紀型教育に大きく舵をきっているからだ。私立中学のソフトパワーの革新が、塾のソフトパワーの革新と相乗効果を増幅しているのである。

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☆その光景が、今年の八雲の塾関係者との懇談会に色濃く映し出された。近藤校長は、オープニングの「英語教育から見るアクティブラーニング」の動画が終了後、すぐにスピーチに立ったが、開口一番広報委員長の横山先生にむかって「横山先生、このビデオはいったいなんなのだろう。英語教育におけるアクティブラーニングなどと名付けるものだから、まるで今まで本校はアクティブラーニングをやってこなかったみたいではないか」と問いかけた。

☆もちろん、ジョークである。会場からはドッと笑い声がでた。アクティブラーニングとは今やバズワードである。要は今まで一方通行型の授業だったのを対話や議論を講義の中に挿入していこうという話なのである。

☆そうであるならば、八雲学園は、教師と生徒、生徒と生徒との対話、議論であふれている学校であるから、元祖アクティブラーニング校とでも呼べるだろうということなのだ。

☆しかし、本当にこのアクティブラーニングが可能になるには、あるいは時代が要請している本当の理由は、何よりも英語の4技能トレーニングの導入の課題があるからである。

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☆わかりやすい例は、スポーツ界。今やグローバルアスリートでなければやっていけないのがスポーツ選手である。錦織選手や羽生選手が外国人記者にインタビューを受けているところが度々報道されるが、彼らは通訳を介さないで、当たり前のように英語でやりとりをする。

☆近藤校長は、日本の空手の連盟でも活躍されていて、今回の2020東京オリンピックで空手がオリンピック競技になるように、積極的に活動しているが、その交渉は連盟の会長自ら英語でやりとりをしているから可能なのだと語った。

☆そして、国際規模の私立学校連盟ラウンドスクエア(6つの教育の柱“IDEALS”:Internationalism, Democracy, Environment, Adventure, Leadership, Serviceに基づいて活動する世界の名門私立学校が集結している団体。八雲学園の姉妹校ケイトスクールもメンバー)加盟の交渉を今行っているところであると。もちろん英語で交渉する。

☆しかし、このさりげない近藤校長の話は、実に重大なポイントが込められている。それは、本当にグローバル教育をやろうというのなら、英語で直接国際規模の活動を行っている団体と共に行動できなければならない。それには、グローバルネットワークをたくさんもっていなければならないのだという点である。

☆これは、公立学校では無理な話なのである。教育委員会が仲介するネットワークはあるかもしれないが、予算の枠内でやるために、交渉に時間がかかりすぎる。

☆私立学校の場合は、人脈と実力でダイレクトに俊敏に交渉ができるから、契約を先に進めることができるのだ。

☆一つひとつの私立学校は小なりといえども、そのグローバルネットワークは、教師の力如何で無限に広げられる。八雲にはこのようなネットワークと英語力というソフトパワーの財産が莫大にあるのだ。英語教育でナンバー1と認識されるゆえんはここにある。

☆それにしても、夏休みを終え、国際教養大学に還る直前に、八雲卒業生が、なぜ八雲学園を選ばなければならないかというプレゼンをしたが、説得力があった。

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☆バスケット部でも活躍し英語力も中高時代に飛躍的に伸びたそのOGは、八雲学園の英語教育がいかに4技能トレーニングの場として強力か、そして今でいうアクティブラーニング型の活動で満ちていて、リーダーシップや協調性、コミュニケーション能力、根気強さといういわゆる21世紀型スキルを体得できる最適の場であるかについてPPTでもキーノートでもないプレゼンテーションツールで鮮やかに語ったあと、しかしもっと重要な精神が身につく場であることを押さえてくださいと。

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☆それは「ウェルカム精神」ですと。これには塾関係者はうならせられた。グローバルリーダーは、才能やスキルも大切だが、寛容な精神が必要なのであるが、日本人は寛容性や多様性をグローバルなステージで発揮できていないという海外からの評価を知っていたからだ。

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☆会場の後方で、まるで特別広報部長のようなそのOGのプレゼンに、直立不動で静かに耳を傾けている近藤校長の姿があった。八雲の教育の精神がこれほどまで浸透していたのかと感動と感謝の気持ちであふれていたことだろう。

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(続々重鎮の方々が集結した懇談会となった)

☆それからすばらしい生徒会作成のビデオが披露された。これについては、ぜひ学校説明会で。懇談会終了後の帰り道、業界の重鎮の方々といっしょだったが、この豊かな質を我々がどこまで伝えられるかだ。よいアイデアをいっしょに考えようと盛り上がった。そしてそれはすぐに実行に移されることになった。乞うご期待!

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