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2016年中学入試【学校選択】のヒント(14) 海城 21世紀型教育3.0に突入

☆2011年に海城学園は、高校入試を廃して、その分中学から帰国生30名を募集した。あれから5年経つ。その間に、グローバル教育部が立ちあがり、帰国生の支援は、海外留学、海外からの留学生、海外大学進学などそれぞれユニークな支援プログラムとして拡大し充実した。

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(『日経ビジネス』特別版「東京ストーリー・教育特集号」(日経BP社刊)に掲載された海城OB・(株)ドリコム社長内藤裕紀氏と校長特別補佐 中田大成先生との対談が同校サイトから読める。本誌を読めば、内田氏が海城の教育を通じてグローバルリーダーに育ったことが了解できるとともに氏が海城のみならず世のグローバルリーダーのロールモデルであることがわかる)

☆20世紀型教育時代から、それを俯瞰しクリティカルチェックしながら21世紀型教育1.0ではなく、21世紀型教育2.0にいきなり挑んでいたのが中田先生。

☆1989年ベルリンの壁が崩壊し、1995年にWindows95が世に出るや、フェアー、フリー、フラットというボーダレスな3Fが加速し、それが現在の大きな波になっているのは周知の事実であるが、そのときに国際理解教育ベースの英語教育に乗り出した学校が多かった。世田谷学園や洗足学園などはそのシンボルである。

☆海外研修や海外語学研修のプログラムを充実し、破格の英語教育を行った。そして同じく洗足学園や攻玉社、聖光、渋谷教育学園グループは、帰国生入試を華々しく実施。

☆この流れは21世紀型教育1.0で、この時点ではダイアローグやディスカッション、プレゼンテーション取り入れた、eXplore(リサーチ)-eXchange(ディスカッション)-eXpress(プレゼン)というMITメディアラボが推進した3X型学習は洗足や聖光でも否定された。

☆ところが、海城学園は、プロジェクトアドベンチャーやドラマ教育など3X型学習と共通する大胆なプログラムを外部と連携して取り入れて海城学園を取り巻く20世紀型教育から21世紀型教育2.0に一気に飛躍していた。

☆おそらく、同校では、21世紀型教育1.0は英語教育というパッケージを入れているだけで、言語と思考というパラダイムをモノからコトに転換するポスト・ポストモダン的な発想はないと徹底的にBeyond 現代思想を議論していた背景があるからだろう。もちろん、近代社会の民主主義とは何かを問う視点がもともと教育理念にあるからだが。

☆世の多くの学校は、政治的中立の立場をとった教育をしなければならないから、現実的な政治活動はしない。それあ海城も同じだが、多くの学校は民主主義を保守するということを理念に掲げることも恐れる。しかし、世界は民主主義をめぐる市民革命や社会革命のダイナミックな歴史で、その中で具体的な政治的立場はともかく、民主主義をクリティカルチェックできる思考力やコミュニケーション能力は育っていなければ話にならない。

☆日本の教育や世間は、コンセプトと言う話になるとすぐに抽象的で難しいとなるものだ。もっとも、そこを考えないようにしてきた20世紀型教育の枠組みにちゃんと収まっていると言えばそれはそうなのだが。

☆21世紀型教育2.0を推進している学校は、英語教育ももちろん取り入れるが、今バズワード化しているアクティブラーニングの本位である3X学習ベースのプログラムを取り入れている。その際、ブルーム型のタキソノミーのものさしについて必ず学内で議論されている。

☆最近文科省も大学入試改革やそれに接続する学習指導要領改訂の際に、Beyond Bloomというトーンでブルーム型タキソノミーのものさしを持ち出してきている。

☆なぜなら、もともとアクティブラーニングは、クリティカル/クリエイティブシンキングを鍛える場であるから、20世紀型教育のように、クリティカル/クリエイティブシンキングを養わないのであれば、アクティブラーニングは無用の長物だからである。

☆中田先生はこのことにいち早く気づいていて、すでに3年以上も前から受験業界やメディアにその重要性を訴えてきた。残念ながら文科省の方が先にその重要性に気づき、指導要領改訂を着々と進めているのに、そのモノサシを理解しようとしない人々は、大学入試改革やアクティブラーニングなんか成功しないと、幕末の江戸城と化している。

☆また、21世紀型教育1.0を実践してきた学校も、渋谷教育学園グループのように21世紀型教育2.0に進化することなく、そんなことはすでに何年も前からやってきていると頑なになっている。

☆しかし、時代はもう21世紀型教育3.0に突入している。上記の写真にあるように、海城学園は、すでに21世紀型教育2.0をグローバル教育部設立以前から行っていたことがわかる。

☆帰国生入試を行って5年目を迎えているから、これが6年目を迎え、卒業生が出る2018年春に、海城は21世紀型教育3.0を実践していたことが世に知れ渡るだろう。

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(写真は海城グローバルクラブのfacebookから)

☆海城は、麻布や公文国際のように模擬国連でも輝かしい成果をあげているが、模擬国連は、インターナショアンリゼーションの範囲の話で、グローバリゼーションのコンセプトは実はうまく浸透していない。これは国連の課題そのものであるからいたしかたない。

☆しかし、海城はインターナショナリゼーションとグローバリゼーションが同居している現在であるからこそ、模擬国連以外に地球村プロジェクトも実践している。

☆つまり国が国民を守る(従属させる)国家資本主義的民主主義の時代から、個人が地球を守るエコシステム経済民主主義の時代にシフトするグローバルリーダー育成にいたっている。

☆それにはC1英語、アクティブラーニング、海外大学キャリア教育などすべて必要だろう。しかし、大事なことは理念である。理念なき21世紀型教育は20世紀型教育の意匠を変えたものに過ぎない。

☆地球に住む人間とその周りを囲む社会や自然が循環して民主主義を形成していくかつてユートピア社会と称されていた地球社会建設に貢献するグローバルリーダーの育成こそ21世紀型教育3.0である。もちろん、それは22世紀型教育そのものである。

☆いまここで子どもたちは22世紀で未来を創る知をトレーニングする必要がる。だから21世紀型教育3.0は、22世紀知の育成のための教育システムだと言い換えることができる。

海城学園は、21世紀型教育を創る会の学校同様、「21世紀型教育3.0」の牽引校である。それゆえ、「御三家のおわり」なのである

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