21世紀型教育における「中学入試と2020大学入試改革」の秘密(3)
☆そしてその、シェアできるというところに、21世紀型教育における「中学入試と2020大学入試改革」の秘密≫の存在性があるとも述べた。
☆当たり前のようで、当たり前でないのは、2020大学入試改革の肝は、
①ブルームのタキソノミーのレベル5とレベル6のクリティカル/クリエイティブシンキングをフルに生かし、
②多様なネットワークと協働して、
③自分たちの新しい仕事が成立するエコ政治経済システムをつくるグローバル人材を育成する
☆という3点セットが、基礎学力テストと大学入学希望者学力評価テストの後にくる最終的な「大学の独自入試」で問われるよということ。この3点セットを簡略化すると、
①創造的思考
②創造的対話
③創造的自信
☆となる。
☆さて、今2020年大学入試では、高大接続システム改革会議が行われて、大学と高校のギャップをどうつなぐかという話になっている。しかし、基礎学力テストが高2高3で年2回ずつあるとなると、創造的(思考×対話×自信)が育つ学びをデザインできるだろうか。
☆できない。だから、大学と高校、高校と中学、中学と小学校全体の改革であるのだが、意外とそこは看過されている。まずは高大接続なのだと。だからといって、高校入試が変わるのかというと、あまり変わらない。市場の原理が働いていないから当然の帰結。
☆ところが、中学入試は、来春から、より創造的(思考×対話×自信)の素養を求める入試問題を、アドミッションポリシーとして出題するようになってきている。
☆だから、中学段階で、たとえば、海城はプロジェクトアドベンチャーとかドラマエデュケーションとか地球村プロジェクトとか多様な創造的(思考×対話×自信)を育成するプログラムがデザインされ実行されている。
☆そして、その多様な知の育成の土壌が、世間にインパクトを与える活動を行う生物部を生んだのである。その活動は、今年8月、TBSテレビ『あさチャン』の「ぼくらのMVP」の コーナーで放映された。
☆中田先生は父母会で、この映像を流した。言うまでもなく、参加者の脳裏には衝撃が走ったことだろう。
☆というのも、この生物部の活動はもともと凄まじく、日本生物学オリンピックで、3433名が参加する予選を通過し、上位80名に残り、8月20~23日に広島大学で開催された本選で、生物部員3名が、見事にメダルを獲得。金メダル1名、銅メダル2名である。
☆そして、その中の高校2年生は、国際生物学オリンピックの日本代表選抜試験に挑むというのだ。
☆このような本格的な、つまり従来の受験勉強の領域を超えた創造的(思考×対話×自信)を身につけている生物部員が、狭山丘陵において自然環境、歴史、生活創造などのために、トトロの森蘇生プロジェクトで活躍したのである。その成果がテレビで放映されたのだ。
☆里山が放置されて、自然は荒廃し、もともとあった生態系は失われていたのが、生物部員が、田畑を耕し、森を整備し、鎮守の森として小さな神社を再興することによって、見事にトトロの森を蘇らせたのだ。
☆しかし、これで海城学園のプロジェクトは終わりではない。同校は国連模擬コンクールでも活躍しているが、これは現状あるインターナショナリゼーションの領域。しかしグローバリゼーションも同居している現代社会にあっては、一方では個人の力が極めて重要になってくる。
☆それが地球村の一員でもあるということなのだ。国連のような国単位の21世紀型教育1.0のプログラムも当然あり、地球村のような21世紀型教育3.0のプログラムもあるというのが海城学園なのである。
☆世界は、リーガルコードをベースにした国、モラルコードをベースにした国、宗教コードをベースにした国があることを地球村プログラムでは学ぶようだが、グローバルな世界は、そこにすべてのコードが集まる地域が多極化している。
☆コードが違えば、当然葛藤が起こる。それを国単位で調整しているのが国連であるが、その調整は外交交渉や軍事的けん制、経済援助など戦略的交渉がベースである。
☆しかし、すでに今現在、社会は多様なコードを持っている人々がいっしょに生活をしている。この段階で国がどうのこうの、文化の違いがどうのこうのという交渉をやっている余裕はない。むしろ自然に溶け合うしかない。
☆それでも、その溶け合う行為が、結局は抑圧関係だったり、同調関係だったり、金銭合理的関係だとしたら、どこかで葛藤が勃発する。
☆さてどうするか。トトロの森の蘇生でおそらく海城学園の生物部は、自然に学び、社会に学び、精神に学びというサイクルを結びつけている。3つの領域が結びついて循環するベースは、リーガルコードでもモラルコードでも宗教コードでもなく、学びコードなのである。
☆ここを詳細に述べる時間を持ち合わせていから、感じて頂ければ幸いだが、この学びコードは個人が中高で学ぶリベラルアーツといっても構わない。これは、ブルームのタキソノミーのレベル1からレベル4(基礎学力テストと大学入学希望者学力評価テストで出題されるレベル)では、成立しない。レベル5から6の創造的(思考×対話×自信)の学びのプログラムが必要である。
☆開成の生徒は、地頭が予めあって、学校当局がそのようなプログラムをデザインして実施しなくても、自然と何とかなる生徒もいるが、プログラムというリベラルアーツの可視化の努力をしている海城は、入学後開成の生徒より未来を拓く確率が高くなる。
☆そしてそれが聖学院にも言えるのである。なぜなら、中学受験における偏差値は、ブルームのタキソノミーのレベル1からレベル3までしか測定しない。そこから先は、誰も評価していない。だから聖学院をはじめとする21会校は思考力テストを行い、レベル5と6の素養にチャレンジしてもらうのだ。
| 固定リンク
「教育イノベーション」カテゴリの記事
- 【八千代松陰】千葉から世界を変える(+1) 生徒の内なるトルネード(2018.06.27)
- 【八千代松陰】千葉から世界を変える(了) 教師力と先進的なティール組織(2018.06.26)
- 【八千代松陰】千葉から世界を変える(3) 知のトルネード(2018.06.26)
- 【八千代松陰】千葉から世界を変える(2) 知性と感性の空間(2018.06.26)
- 【八千代松陰】千葉から世界を変える(1)教育のキーワード(2018.06.25)
最近のコメント