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21世紀型教育における「中学入試と2020大学入試改革」の秘密(6)

☆≪21世紀型教育における「中学入試と2020大学入試改革」の秘密≫の≪存在性≫については、実は学校見学に行くとそこにパッと花咲いている光景を見て、腑に落ちる感覚を抱ける。工学院の教育シーンがまた一段進化した。

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(ついに、工学院は中学の学校案内に「工学院の思考コード」を公開した。文科省があわてて、ブルームのタキソノミーを資料に持ち出したのは、もちろん昨年来平方校長が様々なセミナー、研修、シンポジウムで、beyond Bloomの思考コードを各学校がきちんと作成しない限り、アクティブラーニングもルーブリックもなんちゃってになるという警鐘を鳴らしていたからだ。)

☆昨日、一般財団法人日本私学教育研究所主催のグローバル研究部会の研修があった。午前中、講演が、工学院大学新宿キャンパスで行われ、その後午後から八王子の工学院大学附属中高のアクティブラーニングを見学という、レクチャーとワークショップ型の研修だったようだ。

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☆私はたまたま午前中、教師の教師による教師のためのアクティブラーニングのコーチングシステムをつくるお手伝いをするために、0限授業からフィールドワークさせてもらっていた。

☆驚いたことに、中1の朝のホームルームの時に、各教科の単元シラバスが配布されていた。生徒によると、入学時にすでに「思考コード」を使う目的について説明があったという。すなわち、先生と生徒が共有して、勉強の内容がどこまで進んだかだけではななく、どこまで考えることができるのかどこまで考えられるようになるのか自分でもわかるように、思考コードが書き込まれたシラバスが配られているということだった。

☆昨年来、平方校長が、中1から教育のシーンがガラリと変わるからと言っていたり、思考コードなきアクティブラーニングが本物ではないと語っていた意味が、飲み込めた衝撃のシーンだったし、中1の生徒のトークの的確なのに驚いた。

☆高3の英語の副主任の文法の授業も見たが、たしかに高3だから講義形式なのだが、生徒の多くが悩んでいる入試問題のときには、すかさずPIL(Peer Instruction Lecture)の手法で、隣通し教え合いの時間を瞬間設けていた。

☆また、文法の入試問題だから、知識の理解と知識の組み合わせが中心で、思考コードで言えば、A1A2かなと思っていたら、英単語をフレームでつかんでいくと、同じ言葉でも、あるいは同じ機能をもっている言葉でも、微妙な意味の違いがでてくる「差異」の話に展開していくというデノテーションとコノテーションが入れ替わる興味深い授業。

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☆しかも講義をするのではなく、モデル文を生徒に作成させながら、どこが違うのかリフレクションしていくというクリティカルチェックをこまめに挟んでいた。これがヴィゴツキーの「最近接発達領域」での問答コーチングの手法なのだなと納得。

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☆そうこうしている内に、全国から集まった先生方が70名強到着。小講堂で、平方校長が工学院のアクティブラーニングのコンセプトを手短に情報提供し、すぐに中1を中心とするアクティブラーニング授業をフィールドワークするという段取りとなった。

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(ハイブリッドインタークラスでは、当然オールイングリッシュで、創作物語をキーノートなどで作成してプレゼン。プレゼン後の高橋先生とキング先生からの英語でのコーチングはすさまじかった。)

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(中1の社会科は図書館で、新聞記事を切り抜きながら、最終的にはiPadに取り組みいまここでの社会の再現をプレゼンテーションするデザイン思考の授業展開だった)

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(高3の化学も入試問題を個人ワークで考えぬいた後、グループに分かれてPIL。その上で、新井先生が解説。これはハーバード大学の物理学者マズールの手法を学んで習得したという。)

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(中1のハイブリッド特進理数クラスでは、1次方程式の文章をチームで作成し、おたがいに解きあって、1次方程式の問題として最適性を競う授業。数学の授業でも創造的思考を養うことは可能であるというのが三浦先生の信念。その通りだと感じ入った。)

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(見学の1時間目は、教科ごとのアクティブラーニングのフィールドワークだったが、2時間目はLHRの見学。中3の夏休みにはオーストラリアのホームステイプログラムがある。また高1からは3ヶ月留学や様々な国での海外研修のチャンスが目白押し。そのときまでの準備を中1のときからしている。海外で、自分の学校をどう説明するのか、日本の文化をどう説明するのか、海外の基礎データをあらかじめ調べたりして、他国の文化を知る準備。まだ思考コードに参照すると、Aレベルの事実の確認であるが、中2、中3となると、各国のリーガルコード、モラルコード、宗教コードのミックス度合いをクリティカルにまとめていく段階に発展していくという。そしてプレゼンもできるだけ英語で行っていくトレーニングを積んでいくようだ。)

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(高1の現代社会の授業は、PBL型。現代日本の政治経済社会について調べて、自分たちの日本の政治社会のあるべき社会について論評していく授業。各チームでiPadのプレゼンツールを活用して電子黒板に映し出していく。ロイロノートスクールはここでも役に立っている)

☆工学院のグローバル教育の改革は中1から本格的に始まっているが、実は教師は中1だけ教えているわけではないから、他の学年でもアクティブラーニングやICTを活用した授業が浸透している実態を、参加した先生方は実感したことだろう。

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☆授業見学という名のフィールドワークを終えたあと、再び小講堂に集合。そして、教務副主任太田先生と英語科副主任の田中先生から、いかにして「思考コード」をつくり、なんのためにそうしているのか解説があった。

☆参加した先生方から、「思考コード」や「アクティブラーニング」をつくるときの苦労はどこにあったのか、どうしてこんなに全員の先生方が共通のベクトルで授業改革が行えるのかなど質問も多数出た。

☆「アクティブラーニング型授業」―「テスト」―「評価」の三位一体改革には「思考コード」が欠かせない、そして「思考コード」を生徒と共有できることで、学力を飛躍させることができるのだと、2人の若き教師が高らかに謳った。パワーシフト、エンパワーメントという学習する組織が出来上がっているという学校組織改革の根本を目のあたりにして、驚いたことだろう。

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☆しかし、それだけで終わらなかった。アクティブラニングを見学するだけではなく、最後は各教科ごとのグループディスカッションをきちんとしたのである。つまり、今回の研修の流れこそ、工学院の先生方が研修してきたアクティブラーニングそのものの過程だったのである。

☆平方校長は、工学院の校長であるとともに、東京私立中高協会の副会長や日本私学教育研究所の様々な委員も務めている。文科省のあるワーキンググループのメンバーでもある。自分の学校だけではなく、日本の私学や日本の教育の未来を創る大きな役割を果たしているのである。

☆では、受験生とその保護者は、この息吹をどう感じたらよいのか?それは、10月25日(日)、平方校長が総合司会を演ずる第5回21会カンファレンスに参加されることをおススメする。また小学校5年生・6年生は、工学院をはじめとするアクティブラーニング型の思考力ワークショップに参加できる。

☆工学院、聖学院、かえつ有明、桜丘そして会場校である東京女子学園など21会のスーパーグローバルティーチャーがデザインしたオリジナルの思考力授業を5時間続きで体験できる。レゴを使った授業。iPadを使った授業もある。こんな未来の学校の授業の体験は、他のイベントではまず無理である。ぜひこのチャンスを活用してほしい。

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