東京女子学園 急激に変わる
☆同学園理事長・校長實吉先生は、私学の生きる道は、伝統に固執してなんとか生き延びようとするか、とりあえず新しいことならなんでも取り入れ理念なき目先の利益である生徒獲得に翻弄されて生き延びるか、時代の精神を牽引する普遍的建学の精神と生徒にいまここで必要な教育を統合して教育イノベーションを起こしていくか、いずれかであり、東京女子学園は3つめを選択すると覚悟を決めて教育をデザインしてきた。
①伝統固執型
②短期利益獲得型
③理念実践統合イノベーション型
☆つまり、理念実践統合イノベーション型の私立学校なのである。したがって、20世紀末から当然21世紀の時代の精神と共鳴しながら21世紀型教育という発想革新を行ってきたのである。
☆ところが、2002年ころから2011年までに、金融資本主義破たんへの反省やそれを克服するヒントとなるOECDのPISAの成果が、国際的な21世紀型教育イノベーションに拍車をかけた。メタ認知とかICTスキル、創造的思考、協働活動、新しいキャリア教育などが加わり、それまでの21世紀型教育とは次元を異にする動きが世界の表舞台に急に現れた。
(21世紀型教育3.0にバージョンアップする研修を開始した東京女子学園)
☆理念実践統合イノベーション型の東京女子学園は、卒業して10年20年後の生徒の未来は、今とは一変し、どんどん新しい仕事が生まれ、現段階で予想もしない事態が起きていると時代の精神を受けとめ、現状の仕事や職業を前提にした進路先教育の危険性を見抜いた。それゆえ、いかなる仕事が生まれようとも、対応できる思考力及びコミュニケーション力、英語力、人間力などを学校全体で生徒1人ひとりと向き合うキャリア教育のプログラムを構築した。
☆このプログラムの授業スタイルも、今や人口に膾炙されているアクティブラーニングで、やはり先進的東京女子学園の面目躍如である。この生き方教育というべき総合的な人間力を創り出す過程は、生徒のみならず教師も時代の変化を鳥瞰し、いまここで自分は何をすべきかリフレクションする機会にもなった。
☆實吉先生は、この未来を見通し、かついまここで自分が何を決断し何をやるべきなのか意欲を燃やす同校の生徒たちを、未来からやってきた留学生と呼んでいる。この未来からの留学生の精神を引き受けた教師は、未来に備える能力といまここで必要な能力の両方を育てる教育を生みだした。
☆その結果、大学進学実績は急激にアップし、OGたちは東京女子学園がいかに自分たち自身の力で幸せを生み出せるように育ててくれたのかを認識し、今では、多くのOGがこの東京女子学園の学びを伝えようとチューターとして学校に還ってくる。この循環が、同学園の学びの協働性を強化し、社会の中で何を引き受けて自分の生きる道を見いだすか知恵ある生徒を輩出することになっている。
☆今や英語教育のみならず、キャリア教育でも、そして各教科の授業でも21世紀型スキルを共有するようになった東京女子学園。2011年には、明快に21世紀型教育1.0から21世紀型教育2.0に飛躍した。それゆえ、21会(21世紀型教育を創る会)のメンバー校として、10月25日(日)に21会カンファレンス主催校として、21世紀型教育の新バージョンを発信することにもなった。
☆そしておもしろいことに、21会の動きに呼応するかのように、今春から文科省は、強烈に2020年大学入試改革とアクティブラーニングを目指すようになった。この動きは絶大で、かつての改革の動きとは本気度が違う。しかしながら、この改革は一朝一夕では完全に実行できるわけでもない。時間がかかる。
☆それでは、未来からきた留学生の道は開かれない。未来は待ってくれないからだ。それでは、いかにしてこの改革を促進するのか。東京女子学園では、学内でプロジェクトチームが立ちあがり、研修も頻繁に行われ、21世紀型教育3.0というバージョンアップをさらに加速しようという機運が生まれた。
☆未来からやってきた留学生にとって、先生方が予め準備したリソースをつかって、その枠内で問題解決をする21世紀型教育2.0では、2030年以降のAI(人工知能)が、基礎知識・技能を活用する人間の仕事をどんどん代替する未知なる世界で人生の道を拓けない。
☆そこで、先生方は、生徒自身が、リソースをも自ら探しだし、データベース化し、自らそのデータを活用し分析し、問題解決の方向性のみならず、解決の方法そのものもデザインするという「1から創りだす力」が未来を拓くのだと覚悟を決めたのである。かくして東京女子学園は、21世紀型教育3.0の新次元に大きく飛躍することになったのである。
| 固定リンク
「21世紀型教育」カテゴリの記事
- 新しい対話の時代 自然と社会と精神とAIの循環ネットワーク (2023.08.12)
- 石川一郎先生のメタファー対話(2021.08.22)
- 学習指導要領の再定義の必要鵜性?(2020.08.28)
- ホンマノオト21に移動します。(2018.07.25)
- 【聖学院 生徒の未来を創るコンフォートゾーン(2)】(2018.06.28)
最近のコメント