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成蹊 本物の度合いが違いすぎる(4)ソフトパワーを育てる

☆成蹊の教育は、徹底して「ことば」の原初から道行くプログラムで満ち溢れています。家庭科における調理にもそれは明快です。

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☆写真は、家庭科の授業で料理した「たけのこずし」です。「たけのこずし」という「ことば」はだれでもわかるでしょう。スーパーマーケットにいって、たけのこを買ってきて、レシピに従って作れば、だれでもできるでしょう。

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☆しかし、成蹊キャンパスの竹林から生える「筍」を食材にしてつくるのですが、柔らかいおいしい「筍」はいかにしてできるのか、手入れからはじまるわけです。世に「里山資本主義」なんて言葉がありますが、里山の自然と社会と精神の循環の「理論」を体験の中で学び、その過程の成果の一つとして「たけのこずし」ができあがるのです。

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☆「ゆかりご飯」も同様です。成蹊キャンパスでとれる「うめの実」を「梅干し」「紫蘇の葉」などに加工する一連の作業の過程で生まれ出るのが「ゆかりご飯」です。

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☆自然に触れ、それを技術を通して加工し、人間の精神や血肉となっていく循環の緒元を体験するから、その循環を阻害してきた近代社会の合理主義の欠陥を見破り、解決策を講じ、アクションを起こしていける。つまり、本物のアクティブラーニングというのはこういうものでしょう。

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☆そして職員室や家庭科の部屋には図書館分室としての図書が配置されています。まだまだインターネットでは必要十分条件としての文献をサーチできません。すぐに本を手に取って学ぶシーンが生まれる図書の配置をしてい学校はそう多くはないでしょう。

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☆そして武蔵野の自然を、キャンパスにそのまま残し保護しているわけです。自然の生態系とそれを持続可能にする技術、そしてそこで学び生活する人間の精神。日常の生活では、これらの循環はすべて分断されています。断片から新たなものは生まれません。できあがったハードを活用することはできますが、その弊害を食い止めるには、緒元に立ち戻り創意工夫できるソフトパワーが必要です。

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☆そばにたっぷり浮かぶ「真崎わかめ」。これも「ことば」や「ハード」生まれる以前の多様な循環の存在を学ぶソフトパワーを育てる成蹊の教育の結晶です。

☆生徒会が中心となって、東北復興支援のボランティアを行っていますが、そのとき「真崎わかめ」に出合って、ピンときたそうです。3・11の歴史的事件が私たちを含め世界の人々に気づかせた重要な想いを風化させないためにも、「真崎わかめ」の市場の拡大をという流れになって、成蹊中高の食堂のメニューにするように企画をたてたということです。

☆新自由主義的な市場至上主義的な原理ではなく、自然と経済社会と人間の営みが、エコシステムになるような新しい資本主義の発想革新(これはまさにソフトパワーから生まれてきます)が、一杯ののそばに表現されているのです。

☆このように料理づくりから逆算してどこまでも広がる知のネットワーク。これはしかし、理科や社会では、「理論負荷性」ということになります。

☆「天動説」という「ことば」が出来上がった理論はなんだったのかから探求するから「地動説」への新たな理論が生まれた理由わかります。それがゆえに発想革新から技術革新が生まれてくるわけです。

☆実証主義的な社会理論で世界史を切り取るのか、新しい社会学的な理論で切り取るのか、教科書に書かれている世界史の「ことば」は、まったく別物に見えてきます。

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☆自然科学においても、社会科学においても、言語科学においても、緒元に立ち戻り「理論負荷性」についてクリティカルチェック(メタ認知)ができる思考力=ソフトパワーを育てているのが成蹊の教育です。

☆才能は既製品としての「知識」の活用の巧みさではなく、その「知識」そのものが生まれた過程を紐解き、それを組み換え、あるいは異質なものと化合することで、イノベーションを起こすことができるでしょう。

☆成蹊に期待がかかるのは、この革新的な未来を担う人材育成の場でもあるということではないでしょうか。

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