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見ました。 EテレTVシンポジウム「高校が変わる!~なぜいま入試・大学との一体改革なのか~」

☆10月3日(土)、 Eテレで、TVシンポジウム「高校が変わる!~なぜいま入試・大学との一体改革なのか~」が放映されていました。かえつ有明の石川校長が、ビデオで登場。アクティブラーニングは教育の根本ですよと知の挑発を仕掛けていました。

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(21世紀型教育におけるソクラテス石川校長。学内外で哲学対話を行っています)

☆実におもしろいというか、スリリングだったのは、NHKなのにビデオで紹介されるケースは、私立学校の取り組みばかり。私立学校研究家の私としては、ついにこういう時がきたかと感心しながら、プロデュースした方に敬意を表しつつも、心配になりました。

☆というのも、番組は、東工大や早稲田大学の総帥、商社の偉い人、私立大学の理事、開成の校長などによるパネルがメインストリームで、私立学校の21世紀型教育やグローバル教育、アクティブラーニングの取り組みがビデオで流されていたわけです。パネルだけだと抽象的になりやすいので、エピソードを挿入しながらという二重構造だったのですが、メインストリームとエピソードが反転し、パネリストの無責任な教育論が目立ち、エピソードのはずの私立学校の決死の取り組みの方がメインストリームになってしまう恐ろしい編集になっていたからです。

☆思わず、司会者も「この取り組みは私立学校だからできるのですよね」とパネラーに振っていましたが、そもそもこの番組はLIVEではなく、編集されているわけですから、そこをあえて言わせている編集コンセプトが凄いと思いました。

☆挙句の果てには、大学人は2020年大学入試改革はうまくいかないのではないのかと誰一人私の大学がまず改革を断行しますからご安心をと語る方はいなかったですね。開成の校長も、自分の体験に照らしてこの改革の意義がどうたらこうたら。。。商社も、自分が本当に子どもたちの未来社会をどのように形づくるのか語ろうとしていませんでしたね。自分たちのような大企業に役立つ人材論ばかり。

☆国家資本主義の枠組みでしか考えていない。それでいて、未来の仕事はどんどん新しくなるという、学問やグローバルな動きの背景無視の点だけで話をしているその姿勢に無責任な「アンチ未来」の発想で語っていたのは驚きでした。

☆ですから、変えられないと思っているなあと伝わってきました。もちろん私の主観的な感想ですが、もしそうであれば、「ごめんなさい。優秀な諸君は、まず海外の世界大学ランキング100位以内の大学に挑戦して、ダメだったら、いっしょに私たちとリベンジしましょう」と言うべきでしたね。

☆開成の校長も、「私はハーバード大学で東大以上に知的に豊かな経験をした。私よりも優秀な開成の多くの子どもを東大に入れてしまっているのは深く反省しています。今後は、東大よりもまずは海外大学進学指導に重点を置きます」と言った方がおもしろかったのはないでしょうか。

☆そんなわけですから、もともと2020年大学入試改革が世に出る前から、行てきた私学の取り組みや志がより強調されてしまったのです。自分たちの取り組みにやっと国の教育政策が追い付いてきたかあ、遅いよ~という構えが浮き彫りにされました。さすが「クロースアップ現代」のNHK。やるなあと納得です。

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☆でも、本当は公立学校でも、紹介されたかえつ有明のアクティブラーニング(ビデオでは佐野先生と金井先生がチラチラ見え隠れしていましたが、今度はお2人の先生方のアクティブラーニングのドキュメンタリーでもやれば、公立学校にもすぐに役に立ちます。お金もかかりません)や石川校長の挑発的なトークの背景にある哲学対話を参考にすればよいのではなでしょうか。

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☆他の学校の医進サイエンスの取り組みやグローバル教育は魅力的ですが、都立国際や横浜サイエンスフロンティアなどのような特別な学校は別にして、一般の公立学校では、お金がかかりりすぎで、できないですね。

☆しかし、石川校長の哲学対話は、公立の学校の校長もお金をかけないで実施できます。

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☆リマスターアート展はたしかにできないかもしれませんが、プロジェクターに素材を映し出しながら、生徒と哲学対話することはできます。プロジェクターがなくても、朝礼なんかで石川校長がやってしまう1000人のアクティブラーニングに挑戦すればよいわけです。

☆お金はかからないし、2020年大学入試改革があろうがなかろうが、自分の学校を変えることはできるのです。制度論ばかり評論家さながら語っているのではなく、実践しましょうよ。それがアクティブラーニングの極意です。

☆ただし、石川校長が1000人のアクティブラーニングと言ったとき、その背景にマーラーの1000人シンフォニーがあることをお忘れなく。つまり石川校長の教養が発想を生み出しているということですね。

☆結局、他の学校がいいことやっているから、真似しましょうでは伝統を生み出すことはできないということです。不易流行でなければ教育は成立しません。人間存在とはそういうものではないですか。流行流行でどんな人間が育つのでしょう。

☆なんか循環論法になって元の木阿弥って感じですが、ここから教育改革は始まるのですね。

☆それにしても10月1日に書いた「多くの私立学校に、新しい地平が開けます!」はアクセス数が多いのですが、NHKの今回のエピソードで紹介された私立学校の取り組みに共通する何か雰囲気があるのでしょう。

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