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2016中学入試 どうなる私立中学【29】 中学入試4模試の読み(了)

☆さて、御三家階層構造の模擬試験市場では、SAPIXは勝ち組であり、中学受験市場全体における模擬試験市場では首都圏模試センターが勝ち組であるという二重構造が現状のマーケット。この2模試は、今のところ、次元が違うから衝突しないように見えます。

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(本間の想像に過ぎません)

☆たしかに、首都圏模試センターは、11月29日に「最難関模試」というソフトパワーを開発実施するのですが、これは当面いやずっと衝突しないようにできているのです。

☆というのも、SAPIXとしては、模試で利益を上げようとしていないのです。それより御三家階層構造の中のトップの御三家を独占保守できれば当面良いのです。

☆すると、四谷や日能研は、得意の準御三家をターゲットにと思うでしょう。しかし、そのときにはすで時遅しなのです。38000人をターゲットに当てていたはずの首都圏模試が12000人に向かって「最難関模試」を設定したのです。

☆御三家は、SAPIXかもしれませんが、それ以外は、まだまだ合格者はSAPIX以外から当然ながら出ます。すると、その受験生が、集中して思考力をトレーニングできる機会とシステムを創ってしまった首都圏模試センターに軍配があがります。

☆四谷だって日能研だって「最難関模試」に相当するテストを作成すればよいということになりますが、その開発予算はどこからでてくるのでしょうか。まして、一般模試に比べ受験生が少ないですから、企業判断としては利益があがりません。

☆その点、首都圏模試は一般模試「統一合判」の受験生のソフトパワーサービスとして提供できるのですから好循環を生むことになるはずです。

☆かくして、SAPIXによる御三家独占と首都圏模試センターによる中学入試模擬市場全般の公平な判定基準の体制ができあがります。

☆それでは、SAPIXはおもしろくないだろうと思うかもしれません。いいや違います。SAPIXは中学受験生全体を対象にしない限り、御三家階層構造の大学入試まで縦のラインで顧客数を持続しようとします。一方首都圏模試センターは中学受験専門模試センターですから、縦に広がることはないのです。ですから横に広がる戦略に長けているともいえます。

☆以上のような着想がでてきたのは、4模試のリサーチャーのトリックアート的なトークセッションを聴いていて直感したのです。

☆というのも、日能研の市川氏が、「でも本当は見えないところが大切なんです」というものですから、なるほどはっきり言えないことがあるんだなとつい前のめりに耳を傾けてしまいました。

☆すると、四谷の岩崎氏が、「300私立学校があれば建学の精神も理念も300あり、それに基づいてがんばっている学校のどこがよいか私には判断する力はないです」とみんな違ってみんなよいということは、今の中学市場では限界に到達しただから次のステージをと言っているように聞こえたのです。何せ見えないところが大切なのですから。

☆そうしたらSAPIXの広野氏が『「中高一貫 中1トップレベル模試」に続けて、「論理力評価テストSRT(高大接続・大学入試改革対応)」を開発して実施するのですが、興味のある方のちほど声をかけてください』となぜか大学受験のフェーズの紹介をしたのです。

☆何、そこが次の展開ですかあと思っているや、首都圏模試センターの北氏が「体験授業、たとえば思考力セミナー・・・」と語りました。

☆限られた時間のパネルディスカッションです。始まる前のリハーサルである程度のストーリーはパネラーどうし話し合っているはずです。そこに全く今の中学受験市場ではメジャーでない情報が流れたのです。見えないところが大切なわけです。本当に言いたいところは、チラリと語るのが市場のセオリーですね。

☆なんだ、そういうことかあ。大学入試改革が実行されてもされなくても、世界の学びの潮流は「思考力重視」の知の次元です。そこに大学受験フェーズではSAPIXが名乗りを上げたわけです。そして中学入試では首都圏模試がやるよと、その際、最難関は、いまのところは偏差値ベースだけれど、実は一般の模擬試験では偏差値が低くても最難関では偏差値が高い生徒もいるから、そのような生徒の才能を受け入れている「思考力テスト」(SAPIXのSRTと全く同じ発想の中学入試がすでに行われていたという改めて驚愕の事実ですが)を行っている学校も対象となっていくでしょうというメッセージが放たれたのです(と思い込んでいます)。

☆しかもSAPIXの広野氏に「市場の無いところに新しい商品を開発してもダメでしょ」と言わしめたぐらいですから、SRTは、中学受験の縦の広がりの市場があるのだということを示唆したわけです。この未来の市場を持続可能にするには、SAPIXの模試が御三家に偏った模試でなければならないのです。

☆でも、やっぱり四谷や日能研も参入できるのではと思うかもしれませんね。しかし、にわかにはできない決定的理由があります。それはSRTにしても21世紀型教育校の思考力テストにしても、首都圏模試の最難関模試にしても、「共通コード」があるんです。

☆新学習指導要領を組みたてるために、国立教育政策研究所は、ブルームのタキソノミーをリサーチしていました。そのタキソノミーは多くの学者にバージョアップされ、OECD/PISAやCEFRでも応用されていますが、国立教育政策研究所も独自の指標を構築しました。6段階の思考のレベル指標ですが、結局これはブルーム型タキソノミーです。

☆SAPIXのSRTはこの国立教育政策研究所のものをそのまま活用するそうですが、かえつ有明や工学院は独自の「知のコード」「思考コード」を創っています。もちろん、国立教育政策研究所のものに簡単に換算できます。

☆首都模試の最難関模試も各入試問題を分析して独自のブルーム型タキソノミーをつくっていますが、もちろん基本が同じですから、換算は容易です。10月25日第5回21会カンファレンスで首都圏模試センターの山下氏がお披露目していましたから、間違いありません。

☆かくして、火曜倶楽部セミナーは、ルビンの壺よろしくトリックアートさながらでした。現状の市場の分析と新市場の創出の話がパラレルワールドのような構成になっていたのです。もちろん、私の妄想かもしれません。そう解釈されて構いません。

☆さて、このブログを書いているときに、「トップ高校生の進学先が多様化 日本の大学「教え方」改善に競争力向上のチャンス?」(Business Journal 11月11日(水)22時31分配信 )という情報を獲得しました。牧田幸裕/信州大学学術研究院(社会科学系)准教授執筆記事です。実におもしろいので一読の価値ありです。

☆この記事を読んだら、要するに世界大学ランキング200位(日本のスーパーグローバル大学が将来入る可能性のあるランキング。いまのところSGUのうち10大学も入っていませんよ)内の大学にどれだけ入れるかが勝負になるわけですが、そうなると「思考力」を徹底的にトレーニングできる学校が頭角を現します。つまり、現状の中学受験の偏差値地図は完全に変わります。

☆そのとき御三家階層構造はどうなっているのでしょう。ということは何を示唆するのでしょう。もうここからは予言の領域になりますから、皆さまどうぞ自由に発想してください。

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