麻布の知
☆実は開成や武蔵、JG、雙葉にも同じことが言えます。桜蔭は、ルーツからいってそうなのかもしれませんが、α知に偏っていますね。公立中高一貫校が、教育関連法規上α知に傾倒せざるを得ないのも否定できません。
☆麻布の前校長氷上先生や共立女子の前校長渡辺先生と、あれはいつだったか2006年の春だったか、ともあればったり「戦後教育基本法改正」について、≪私学の系譜≫からみてクリティカルシンキングする会合でお会いし、したたか飲みました。
☆そのときに、氷上先生は、お父上と兄弟弟子であった丸山真男とマックス・ウェーバーの理論をもとに近代の光と影を語り、麻布の創設者江原素六がその矛盾を教育によって解決しようと行動したことを論rじられていました。
☆中高時代の氷上先生の弟子宮台真司さんは東大時代は廣松渉の弟子でもあったわけですが、渡辺先生も廣松渉の弟子です。歳が離れているので、互いに顔は知らないでしょうが、渡辺先生は宮台真司さんの兄弟子ということになるのでしょうか。
☆私は大学時代、法哲学を学んでいましたが、恩師森末先生は、廣松渉シューレでしたから、私もその影響を受けています。その当時は、別学部に木田元先生や丸山圭三郎先生、生松敬三先生やヘッセの研究家高橋健二先生など知的刺激を受けた先生方がいた時代です。
☆現代思想の渦の中にいたわけで、わけもわけもわからず、本を読んでいました。もっとも寺山修二の時代でもあったわけで、本を捨て外に出ようぜというほうが魅力がありましたが。
☆ともかく、知ったか時代がそういう時代だったので、氷上先生と渡辺先生とお会いしたときに、大いにそんな話で盛り上がりました。
☆そのときに、麻布出身の東京女子学園の實吉理事長・校長と≪私学の系譜≫を探求する話もよくしていて、結局会社を飛び出して独立してしまいました。
☆そんなわけで、私が「御三家のおわり」と言ったとき、α知とω知のバランスを失った「御三家」のことを言っているわけですね。二兎を追ってほしいという願いが込められているということです。おせっかいにすぎませんけど。
☆しかし、とにかく今の私の仕事の過程でおもしろいなあと思う本を上記の写真で紹介しましたが、いずれの作者も麻布出身です。
☆宮台さんのようにα知の生み出す弊害をω知で徹底的に批判していく社会学者。藤川さんのようにα知を逆手に取りながら、その弊害をひっくり返していくω知を活用する教育学者。藤川さんの授業論はたんなるエンターテインメントではないですから、実におもしろいのです。
☆「アフォーダンス」「メタ認知」「無茶ぶり」「ゲーミフィケーション」「ライブ」など私も重視していますが、藤川さんはそれを麻布劇場っぽく仕上げます。そのセンスが私とは全く違いますね。
☆教育ジャーナリスト「おおたまさし」さんは、α知を批判せず、ω知をそれほどださず、ジャーナリズムの視点で教育を見ていますね。価値中立というのもマックス・ウェーバー的で、実は麻布の精神の1つですね。しかし、価値中立の姿勢には、α知ω知の存在前提が結局あるのです。
☆そして前回紹介した「斉藤桂太」。α知とω知の相克を自分の人生そのもので表現し、その解決を表層的に表現するのではなく、解決しようとするけれどできないα知のパラドクスをω知で鏡に映していく究極の文学知で勝負しています。
☆麻布の知は、多くのOBによって多様な形で社会にインパクトを与えています。古賀茂明さんもそうですね。
☆そして、私の仕事に直接かかわる知的刺激をあたえてくれる人々の多くも麻布の知であるというのは、なんとも不思議な縁を感じます。
☆N時代、麻布進学者と多くかかわったというのも不思議です。もう20年以上も前のことですが。。。
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