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東京・神奈川2016年入試(16)筑駒 出願前年対比107%

☆本日2月3日、筑波大附属駒場(以降「筑駒」)の入試がありました。出願793名と前年対比107%。果敢にチャレンジする受験生に敬意を表します。しかし、一方で、開成-筑駒という併願が多く、塾歴の波の影響をモロにうけてもいます。

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☆というのも、SAPIXが開成合格者数を独占するためには、同塾の開成-筑駒の併願者数をあげる戦術が最も効果的です。2月11日「入学手続き説明会」がありますが、この合格者の招集日は、開成、麻布、武蔵、栄光、駒東などが同じなのです。

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☆この招集日は、このレベルの受験生がどの学校に入学するのか意志を一斉に表明する日なのです。開成-筑駒両方合格した生徒が筑駒に入学する意志を表明すれば、その生徒の分の開成の椅子が空くわけです。

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(SAPIXの応援者はズラーッとならんでいました)

☆すると、その日のうちに開成は空席を埋めていきますから、繰り上がりが生まれます。SAPIXは、ただでさえ開成受験生が多いですから、どんどん繰り上がっていきます。同塾の開成独占が決定的になる瞬間です。もちろん、筑駒もそうです。

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☆結局、SAPIXの受験生が、筑駒―御三家―駒東などの学校群に偏差値順に配分されるという事態が起こっていて、ここが日本の将来の知の岩盤となっています。

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☆しかし、この岩盤が、偏差値指標以外の差異を見いだせないシステムになっていけば、日本の未来の価値転換の壁になるおそれがあります。

☆そうはいっても、今のところ、まだ完全に物象化されているわけではありません。なぜなら、それぞれの学校が知識集積型の学力だけでは入れないように、思考力型問題をかなりの割合で出題しているからです。

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☆表面的には偏差値指標以外の差異はみえないかもしれませんが、子どもたちの思考様式はそれぞれの特色が形成されています。

☆しかし、問題は感性です。もし4年生から6年生まで感性を耕す体験を停止して、思考力だけ鍛えたとしたら、少し恐ろしいことがおこります。学校は、入学後、オリエンテーションなどで、凍てついた感性を溶かしていきます。

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☆おそらくその部分を耕す学校行事がヒドゥンカリキュラムとしてあって、特に先輩後輩の同窓力がそこを保障してくれるということなのでしょうが、今や実際にはどれくらい機能しているのでしょうか。

☆海城も塾歴の影響をまともに受けていますが、このヒドゥンカリキュラムのみに頼っていては、放置状態になるリスクがあるため、感性教育のための本格的なプログラムを授業の中で行っています。そこが、海城の魅力として受け入れられています。

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(筑駒のキャンパスにある岩の庭園)

☆塾歴の存在=岩盤の存在を否定することはできない現状、その中でどのような幸せなシステムを創っていくのかを海城は見据えています。

☆しかし、この本来あるべきではない慣習制度の中で、幸せなシステムを創らざるを得ない価値意識そのものは、ベンサムに代表される功利主義の考え方です。

☆サンデル教授によると、このような価値意識は、もっと多様です。功利主義だけが唯一絶対の価値ではありません。しかも、功利主義とは、損得勘定につながります。

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(筑駒らしい価値意識。≪私学の系譜≫はやはり「少年よ大志を抱け」になってしまう。。。ジョークの中に真理が横たわっています)

☆この塾歴が造りだした岩盤が、損得勘定の価値意識を規定しているとしたら、実は日本の未来は変わりません。パラダイムシフトは、功利主義は望むところではないし、単一の価値意識からはイノベーションは生まれにくいからです。

☆2020年大学入試改革を遅らせるのは、この岩盤の恩恵を浴している学校や塾です。

おそらく、2016年中学入試の通奏低音は、この岩盤を守る保守エリアの学校・塾 VS 岩盤を崩そうとする塾歴解放区にある学校・塾のダイナミズムの響きだといえるかもしれません。

☆子どもたちの未来をどう考えるのか、学校選択の意思決定がそろそろ迫っています。じっくり考えたいところです。

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