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東京・神奈川2016年入試(24)聖学院の「思考力テスト」SGTの知の結晶②

☆メディアの目の付けどころは鋭い。思考力入試と適性検査型入試の違いを直感的にとらえているからです。この違いが具体的に分析されるのはこれからでしょうが、はっきり言えることは、2020年大学入試改革における「高等学校基礎学力テスト(仮称)」学校、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」、「各大学個別の独自入試」のうち、最後の独自入試は、適性検査型ではなく思考力入試型であるということです。

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(自分軸と協働性、つまりOnly One for Othersという3つのOを大切にする清水副校長)

☆前回も述べましたが、この独自入試において「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」がが問われます。

☆清水副校長は、

「2科目入試や4科目入試も、実は思考力型問題を出題しています。知識・理解・応用・論理的思考・批判的思考・創造的思考の総合力に挑戦する問題になっています。

しかし、受験生によっては、知識はまだまだ不足しているけれど、考える姿勢において優れた才能が浮き出る生徒もいます。そういう生徒は、聖学院の6年間で、知識も増やしていくようになります。

というのは、結局好奇心が旺盛で、いろいろ調べていくことで、逆に膨大な知識がはいってきますし、そのような探究的な学習は時間がかかります。受験勉強ではその力を発揮する時間はなかなかとれません。もう5年間思考力入試を行ってきましたが、探究的な才能を持った生徒が入ってきた場合、その生徒が6年かけて大きく成長していく手ごたえを感じています。もちろん、総合力に挑戦した生徒も同じです。

とするならば、思考力入試をやっていないときは、片方の才能の生徒にしか道を開いていなかったのかもしれません。また時代もまだまだ子どもの多様な才能に追いついていなかったのかもしれません。しかし、今は多様な才能を見出す機会を創ることは、多様な関係性を大切にすることにつながると思っています」

☆と、2020年大学入試改革に対応することの根源的に意味について語られました。今まで、男子校と言えば、東大ピラミッド学歴社会で勝ち組になるには、本質的思考なんてどうでもよい、合理的で効率のよい最強の受験勉強の方法を実行するだけだという雰囲気でしたが、ずいぶん聖学院は雰囲気が違います。新しい男子校のカタチがそこにはあるのだと思います。

☆多くの企業で、男性中心主義の組織がうまくいかない経験をしている保護者が、聖学院に息子の未来社会を見ているのかもしれません。

☆さて、聖学院の「思考力入試」は2つの種類があります。2月2日に実施した「ものづくり思考力」入試と2月3日実施した「思考力テスト」入試がそれです。

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☆「ものづくり思考力」では、あるアジアの国の基本情報やデータが提示され、その国が困っていることを発見し、その問題解決を行う問いが出題されます。

☆そして、その際にレゴを使って、困っていることを表現し、そのうえで150字で説明します。内田先生によると、「いきなり文章を書きなさいと言っても、難しいでしょうが、考えるということは文章などの表現に結実する前に、モヤモヤ考えるところからスタートします。そしてそのモヤモヤをスッキリさせていく過程として、マインドマップを書いたり、KJ法を使ったり、図解したり、レゴをつかったりします。擬似体験を通して、自分の考えは結晶化していきます。今回はレゴを使って擬似体験してもらいました」とMITメディアラボの中核的なアイデアLearning by makingのアクティブラーニング手法の1つを説明してくれました。

☆この「ものづくり思考力」入試の肝は実はそこにだけあるのではありません。問1で、レゴで自分の得意なことを組み立て、150字で自分の作品を説明する問いを投げかけています。

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☆つまり、自分って何?のバリエーションの問いです。そして、問2で問題を発見し、それをレゴで表現し、やはりその作品について150字で説明するのです。さらに最終問題で、問1で説明した自分の得意なところを活かして、どのような問題解決するのか、これまたレゴで表現し、それを150字で説明します。問1で創った作品と問2で創った作品を統合して新たな作品を創ります。

☆これは適性検査とはまったく違います。従来の小論文とも違います。何が違うかというと、与えられたデータや文章や課題からでてきた問いについて思考を組み立てるのではないのです。

☆問いそのものを自分でつくって、それについて思考を組み立てていくのです。思考を組み立てるプロセスは変わりませんが、思考の糸口は与えられるのではなく、自ら見いだすのです。しかも「自分軸」と「公共的な問題解決」を統合するのです。凄すぎます。

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☆そういえば、IBのTOK(国際バカロレアの知の理論)では、聖学院流儀の学びになります。自ら問いを立てて思考を組み立てて行きます。ですから、自ら立てた問いの重要性も評価対象になります。もちろん思考の過程も評価対象です。

☆そして、実は2020年「各大学個別の独自入試」も聖学院流儀になります。伊藤先生は、

「2020年大学入試問題も、実は独自入試においては、2020年を待たずしていろいろな実験が行われています。慶応大学医学部の小論文や昨年の京都大学の経済学部の小論文は、どちらかというと聖学院の思考力入試に通じるところがあります。

まだまだそのようなケースは少ないでしょうが、2020年には一斉に花開くと思います。多くの学校ではそのことがまだピンときていないかもしれません」

☆と自信ある回答が即時返ってきました。なぜ、そんな予想ができるのかと尋ねたところ、本橋先生は、

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「思考力入試は作成するときに生みの苦しみがあります。しかし、キターっと思うと一気に結晶します。そして、受験生がその問題に没頭してすばらしいアイデアを出してくれたときに、やってよかったと思います。

採点をしているときなど、生徒1人ひとりの反応がおもしろくてたまりません。でも、この生き生きした生徒の才能との遭遇が、本当の入試ではないでしょうか。

だって、6年間いっしょに生徒と学んでいくのですから、互いが何を思い何を感じ、何をしたいか分かち合うことから始まります。海外の大学のアドミッションオフィサーは、まさにそこが生徒獲得の醍醐味だと言っています。私は、2020年の改革は、グローバル大学入試改革だと思いますから、グローバルな視野の聖学院流儀の入試に一致してくると思いますが」と。

☆さすが海外大学留学経験者は違うなあと感心してしまいました。

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