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21世紀型教育の時代【01】 工学院の場合「学習する組織」

☆首都圏私立中高一貫校は、21世紀型教育に大きくシフトしようとしています。2014年首都圏の中学入試では、21世紀型教育を自覚的に標榜していたのは5%でした。その5%の学校が、2020年の21世紀型スキルベースの大学入試改革の動きが見えた途端、注目を浴びたのが2015年中学入試です。

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☆そして、2016年首都圏中学入試において、「2020年の大学入試問題」に対応する中学入試として、21会校が最初に取り組んだ(「適性検査」とは思考の次元の高さが違う)「思考力入試」がメディアで注目を浴びました。

☆なぜ、注目を浴びたのかというと、端的に「2020年の大学入試問題」のうち、「思考力入試」は、最終関門の「各大学個別の独自入試」に対応しているからです。

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(講談社が、2020年大学入試問題の真相をかえつ有明の校長に発信するチャンスを創ったのは、さすがです。)

☆公立中高一貫校の適性検査は、最終関門の前提である「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の思考の次元に対応しています。メディアが、この違いに気づいたのですね。昨年末、文科省が「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」のサンプル問題を発表したのがきかっけです。メディアは一歩先のトレンドを追いますから、じゃあ、「各大学の個別の独自入試」はどうなるのかと。

☆それで、今年の2月1日の東京・神奈川エリアの中学入試直前に、メディアが一斉に、21会校を中心として随分前から実施してきた「思考力入試」を取り上げたのですね。21世紀型教育校は、今や21会校のみならず、増えています。元祖21世紀型教育21会校は、首都圏私立中高一貫校の5%シェアですが、今では21世紀型教育校全体は30%シェアになっています。

☆さて、それでは、この「高次思考力」ともいうべき次元の思考力を身につけるにはどうしたらよいのか?それが今トレンドの「アクティブ・ラーニング」というわけです。Dsc07087
(「工学院のPIL×PBL型授業の公開と研究報告会」には、全国から教師、教育関係者が80名強参加しました。)

☆2月17日(水)、工学院は、「PIL×PBL型授業」として「アクティブラーニング」がバズワード化する前に、研究してきた実践を報告しました。先進的先鋭的研究には、東京私学教育研究所も2年間研究費をサポートしますから、2年経ったまとめとして報告を行ったのです。

☆実は、報告会自体が、「PIL×PBL型授業」で、<マインドセット→授業見学→評価ワークショップ→ワークショップ解題→質問の対話→東京私学教育研究所所長清水先生からのリフレクションコメント>というストーリーになっていました。

マインドセット① 「ビジョン共有」は、平方校長から。

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マインドセット②ビジョン共有を促進する「メンタルモデル」としてプロジェクトリーダーの1人田中先生(英語科)が「PIL×PBL型授業」のコンセプトをスピーチ。

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(田中先生は、一般財団法人日本私学教育研究所が主催している「私立学校特別研修会 外国語(英語)教育改革特別部会」でも委員として活躍。自分の学校だけではなく、私学全体の教育向上にも貢献しているオンリーワン・フォー・アザーズの信念の持ち主です)

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授業見学 「PIL×PBL型授業」のフィールドワーク

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(今年度開設した「ハイブリッドインターナショナルクラス」の担任を務める高橋一也先生(英語科)は、教育ノーベル賞といわれるほどのイギリスのVarkey基金が主催する『Global Teacher Prize 2016 Top 10 Finalistsに日本人として初選出されました。ということもあり、高橋先生の授業には見学者が殺到。高橋先生は教師の自己陶冶のスーパーモデルです。)

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(高2の社会では、プレゼンした男子生徒に、鋭く反駁を投げかける女子生徒のインパクトが炸裂するシーンも)

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(数学もPIl・PBLで行われているのには、先入観を砕かれましたという見学した教師の感想もありました)

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(生物の授業は、生徒が教師チームをつくり、教え合う単元の最終段階が公開されました。教える授業→学び合う授業→教え合う授業というメタモルフォーゼが興味深かったですね)

☆同一時間に8つの授業が展開されました。ですから、すべてを見ることができませんでしたが、あらゆる教科で、PIL×PBL型授業が展開していました。今でいうアクティブ・ラーニングが全面展開しているのです。

ワークショップ「PIL×PBL型授業」体験

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☆授業が変われば、評価も変わるということになりますから、どのように評価するのかについては、ワークショップが行われました。まさに「PIL×PBL型授業」体験です。

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☆このワークショップのスーパーバイザーは、ビジョン共有を促進する「メンタルモデル」としてプロジェクトリーダーの1人太田先生。

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☆太田先生は、各チームのチューターはプロジェクトチームメンバーだけではなく、数学の教員も全員活躍していることを語り、この研究を通じて、学内が一丸となった。チームワークのパワーが高まったと語りました。

システム×デザイン思考

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☆どのような評価システムを開発しているかについては、思考コードとS-P表を掛け合わせて開発していることとそれによって何が測れるかまで講義がなされました。アンケートでは、この説明がわかりやすかったと大好評でした。講師は、やはりプロジェクトリーダーの奥津先生。

東京私学教育研究所の清水所長の振り返りコメント

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☆東京私学教育研究所の清水所長の振り返りコメントは、2点。清水先生ご自身が数学教師でもあるので、授業→試験→評価まで研究の一定成果があがったのにエールを贈りました。

☆もう1つは、これだけのきっちりした報告会はなかなかない。中学入試、高校入試の最中にこれだけの準備をするには、想像を絶する仕事をこなしてきたのではないかとねぎらいの言葉もありました。

バックヤード

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☆前日も報告会当日もギリギリまで見直しが続きました。電話で進路相談にのりながらの準備のシーンもあったぐらいです。舞台裏にこそ真実のシーンがあります。

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☆今回の2年間という長い研究を支えてきたプロジェクトチームメンバーは上記写真の2倍以上いますが、その中でも報告会のシナリオを描き、企画運営を仕切ったのはリーダーの1人加藤先生です。

☆加藤先生のリーダーシップは、肉を切らせて骨を絶つスタイルです。笑顔の向こうに強烈な意志があります。

影のコミュニケーション浄化チーム

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(岡部先生は、受験業界のネットワークでも頼りになる存在でなのです。左から首都圏模試センター取締役教育情報部長北氏、岡部先生、首都圏模試センター取締役統括マネージャー山下氏)

☆かくして工学院の組織は、見事なまでにMITのピーター・センゲ流の学習する組織なのですが、今アクティブ・ラーニングがバズワード化しているのは、その前提の「学習する組織」がないのに行われているからです。残念ながら1人の天才だけで貫徹しないのですね。

☆高橋一也先生のような天才教師も、学習する組織が根付いているから生かされるわけですが、学習する組織が根付くには、実はもう一つ仕込みが重要です。

☆それは、天性のリーダーという存在です。役職や資格を持っているタイトルリーダーは、全員がなれません。しかし、本当のリーダーはタイトルによってリーダーシップを発揮するわけではないのです。

☆すべての人々と最適なコミュニケーションを創るにはいかにしたら可能かという洞察力と信念に従うリーダーが天性のリーダーと言われます。

☆天性のリーダーは、コミュニケーションに潜むタイトルリーダーの無意識の抑圧的言語を浄化する洞察力や撃破する技術を持っています。英語科の田中先生は言語心理学、岡部先生は社会学をそれぞれベースにエスノメソドロジーの視点で、学習する組織を阻害する一見フラットなコミュニケーションの中に隠されている抑圧的要因をクリティカルにしかもいつの間にか自然に浄化する天才なのです。

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(鐘ヶ江先生は、授業でも絶妙のサポーターです。生徒も気づかない躓いている壁=最近接発達領域を瞬時に洞察。壁を崩すリアリスティックアプローチリフレクションが行われます。上記写真でも、鐘ヶ江先生は太田先生自身が気づいていない部分をフォローしています)

☆そのことをさらに支えているのが数学科の鐘ヶ江先生です。学習する組織とは、支えるロールプレイヤーが深層構造を創っています。そこは普通は見えないところです。

☆今回定期的に「PIL×PBL型授業」の開発過程を取材させていただく幸運を頂いたので、そのことがようくわかります。いずれ21会サイトでもう少し詳しくまとめたいと思います。

この学習する組織にU理論を掛け合わせている学校がかえつ有明です。今年一年取材していく予定なので、いずれ発信したいと思います。

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