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21世紀型教育の時代【17】 麻布モデル 知の越境問題④

☆麻布の社会の入試問題から少し横道にそれて、「社会の問題」について考えてみましょう。2016年2月27日(土曜日)、東池袋のco-ba ROYAL ANNEX(コーバ・ロイヤルアネックス)で、2人の麻布OBによるトークセッションがありました。

☆<齋藤桂太(渋家)×大西連(NPOもやい)トークセッション「アートとNPOから考える『稼げない人のためのセーフティネット』の作り方」>というものがそれです。

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(サインもらいました)

主催者「マチバリー」の2人の紹介は、次のようになっています。

渋谷でアートとシェアハウスを織り交ぜながら起業されている「渋家」代表の美術家・齋藤桂太さん。
そして、20代でホームレス問題と出会い現在は「NPO法人自立生活サポートセンター・もやい」を率いる活動家・大西連さん。

実は共に麻布高校の同級生で、共にその正規ルートからドロップアウトしつつ、かたや「アートとシェアハウス」・かたや「ホームレス支援とNPO」と、畑は違えど共に独特のキャリアを歩んでこられたおふたり。
やりたいことを仕事にしつつ、一風変わったコミュニティを周囲に作っているご両名に、それぞれのキャリアデザインを通じての『稼げない人のためのセーフティネット』の作り方を伝授していただきます。

☆「斉藤桂太」さんについては、本ブログでもドラマ作家として紹介したこともありますが、社会活動家大西連さんとの対話、それからコミュニティ支援をしている「マチバリー」の3者が合わさると、より鮮明になるものがあります。

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☆それは、彼らは「コミュニケーション通貨」を活用して、まったく新しい市場特区を創っているということです。

☆この特区が「フツー」になるかどうかは、2人の独特のコミュニケーション通貨を活用する市場が今後拡大するかどうかです。

☆もちろん、2人の作る市場は全く別の世界で行われています。「斉藤桂太」さんは、現在の社会システムを寛容に受け入れながら、その社会なるものができるにいたる起源にさかのぼっています。システムを表象する「言語」になぜなったのか、システムになるなる以前のいわば自然状態で、隣人愛と自己保存能力を、コミュニケーション通貨でサバイブするコミュニティを形作ろうとしています。

☆だから、「斉藤桂太」さんは、コミュニティというものは、隣人愛に肩入れしすぎると宗教に傾斜するし、自己保存能力に偏ると政治的に先鋭化するから、その均衡が重要なのだと。

☆政治家としてでも建築家としてでもなく、公務員としてでもなく、システムを支える既存の職業という境界線を越境して新しいあるいは懐かしい自然状態コミュニティを創ろうとしているのです。「アーティスト」。まさにシステムを越境して新しい世界を創るという意味で、ナチュラル・アーティストなのでしょう。

☆一方、大西連さんは、マチバリーが表現している「正規ルート」という社会システムの欠損領域に、社会システムの整合性を徹底的に追究する形で、そこに新しいコミュニティ市場を創っています。

☆「ドロップアウト」。それは、あくまで社会システム側から見た表現です。大西連さんは、現状の社会システムが、欠損領域を見出した時、政策決定か、法解釈か、法制定か、企業支援か、タブー領域にするか、いずれにしても権力者側の意思決定によっていて、権力者側の恣意的な領域になっていることに気づき、コミュニケーション通貨が機能するコミュニティを埋め込もうとしています。

☆そのコミュニケーション通貨は「斉藤桂太」さんとはまた違います。あくまで社会システムの既存の「言語」を合理的活用を徹底し続けて行ったときに、犠牲を強いなければ社会システムの貨幣経済は成り立たないことを気付かせる「社会活動家」として越境しているわけです。

☆アーティスト「斉藤桂太」さんは、「自然状態」と「社会状態」は表裏一体で、あるとき、オセロのように、あるいはルビンの壺のように、表裏がひっくり返ったり、地と図が反転したりという越境を理想としているのでしょう。

☆一方、大西連さんは、社会活動家として、自己言及のパラドクスを起こすコミュケーション通貨を緻密に活用していくことによって、近大資本主義の延長上にあるポスト資本主義社会の合理的合法的生贄のタブー領域があることを、政府側に追い詰めていきます。チェックメイトへのコミュニケーション通貨を駆使するわけです。

☆彼らを「ドロップアウト」と表現する日本の社会。これが欧米ならば、「社会起業家」と表現するし、教育の中で、積極的にその起業家精神とスキルを学ぶことができます。

☆明治維新のときに、私学人である渋沢栄一や江原素六、福沢諭吉らがやってきたことは社会起業です。何せ今のように大企業があって、そこに所属することは、そもそもできなかった時代です。

☆まさに2人は、≪私学の系譜≫の直系です。

☆おもしろかったのは、彼らの同級生であり、母校麻布で教鞭をとっている2人の友人も、今回のトークセッションを見守りにやってきていたことです。

☆正規ルートである学歴・塾歴社会に進む生徒と2人のように、日本ではまだまだピンとこない「起業」というコミュニケーション通貨を活用する生徒の両方をかかえている母校の教師です。

☆おそらく彼は、麻布の中に、現代社会のパラドクスを引き受け、それをどのように解決したらよいのか、そのヒントを探しにやって来たのでしょう。

☆そして確信したと思います。麻布の知であるコミュニケーション能力こそ、閉塞状況を打破できる強烈な越境通貨。どんな世界に行っても通用する通貨なのだと。それが生きる方法であり、存在の重要性を人々と共感できるメタシステムだということを。

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