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2020年大学入試改革のもう一つの意味~受験勉強というコモディティ化からの解放

☆本日24日(木)、TBSの「あさチャン」で、立教大学や慶應義塾大学などの卒業式に、親も多数参加するので、モニターで卒後式の様子を見られる別室を用意しているというニュースが流されました。

☆もっとも、今時の卒業式事情の中のワンシーンで、テーマではありませんでしたが、大学通信の安田さんが登場し、「卒業式はイベント化している」というクリティカルな指摘をしました。

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☆クリスマス、バレンタインデー、ホワイトデー、ハロウィンなどのイベント化やグリムやアンデルセンの物語のディズニーランド化などと同様に、ブランド大学の卒業式も学費を払った親にとってはコモディティ化(商品化・物象化)された「モノ」となったのでしょう。

☆もちろん、イベント化やディズニーランド化に対し、コモディティ化というメタ認知的なとらえ返しをしたら野暮で、夢というイリュージョンを楽しまねばなりません。それゆえ、ブランド大学合格実績にこだわる風潮はなくなるどころか、どんどん膨らみます。

☆もちろん、娘息子の晴れ舞台、成長の証の「通過儀礼」として捉えている方もいるでしょう。それはとても大切なことですが、やがては通過儀礼もコモディティ化の勢いに流されるでしょう。

☆ところが、イベント化、ディズニーランド化、通過儀礼化というコモディティ化は、ある安定した社会にあって初めて有効です。そうではない激動の社会においては、どれほど有効かどうかはわかりません。

☆また、このようなコモディティ化は、商品価値以上でも以下でもなくなりますから、ルーチン化し、創造的価値が削ぎ落されています。

☆クリスマスやハロウィンからはキリスト教ははぎとられていますね。バレンタインデーやホワイトデーからは愛情が取り除かれていきます。イースターまでイベント化しようと市場は商魂たくましいのですが、どんどん本来的な価値はなくなります。

☆かくして、コモディティ化は、市場において商品として売れ筋にはなっていきます。

☆果たしてこれでよいのだろうか?そんなクリティカルチェックは、野暮で不粋で邪魔以外の何物でもありません。

☆ブランド大学の入学式や卒業式がコモディティ化すればするほど、出願者は増えますが、大学本来の価値が失われていきます。したがって、受験勉強もコモディティ化されていくわけです。21世紀型教育は、ここから抜け出ようとするプロジェクトですね。

☆ともあれ、この価値喪失が行きつく先は、今度は商品が売れなくなるという事態が起こります。ヒット商品をいかに生み出すか?それが問題になり、イノベーションが起こるのでしょう。

☆それが2020年の大学入試改革のもう一つの意味なのかもしれません。20世紀社会は、どうしてもこのコモディティ化という「モノ化」によって、経済を維持していき、価値を相対化していくパラドクスが存在します。

☆イノベーションは、付加価値をダイナミックに生むのですが、やがてコモディティ化は、その付加価値を相対化してしまいます。

☆実は、この振り子のような動きは、世界内存在という枠組みの中で生きていく最適の方法なわけです。しかし、それは個々人にとっての最適化ではなく、組織のサバイブの方法として最適にすぎません。

☆ところがところが、その「世界自体」が今や危ういのです。「新しい世界」を創造する存在としてアクティブにならねばならない時代を迎えているというわけです。

☆価値の相対化によって、市場を維持するか、価値の創造によって、新市場を創発するか?世界内存在から世界創造存在へ。つまり、世界内存在を前提にしている現代思想の終焉が、2020年大学入試改革のもう一つの意味なのではないでしょうか。

☆それゆえ、現代思想の呪縛から解かれようとして、大学入試問題が少しずつ変わり始めています。現代思想のバリエーションである思想的な素材文を読んでから考えるのではなく、そのような素材文を度外視して、ストレートに問いをぶつける「思考力入試」が出題されるようになるのではないでしょうか。

☆すると、やはり人文系は今までのような構えではやっていけませんね。考えるのに、文系も理系もないでしょうから。

☆ランゲージアーツとマスをきちんと学び、それ以外の科目は専門科学として、文理の区別の必要はないでしょう。教育も文学も科学する時代というわけです。

☆いよいよ価値創出の思考力を学ぶ新しい大学入学準備教育がコモディティ化した受験勉強にとって替わる時代がやってきたのかもしれません。

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