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21世紀型教育の時代【24】 教師が自己変容できる学校を探そう

☆金融サービス業のCEOピーターと上級副社長の1人ビルとの研修場面でのやりとりがおもしろい。ちょっと長いけれど次の本から引用します。

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「明日、私はこんなふうに締めくくりたいと思う」と、ピーターは企画チームの面々に宣言した。いつものように、情熱のこもった話し方だった。「ワークショップでやったことをここでおしまいにするのではなく、それを今後も継続し、経営委員会を成長させていきたい。今日の成果は大きな一歩と言えるが、旧知の親しいメンバーとしか免疫マップを見せ合っていない。明日の朝は、経営委員会のメンバー全体に向けて、自分の免疫システムについてわかったことを発表するようにしよう。まず、ここにいる私たちがその手本を示そうじゃないか」
 誰かに面と向かって異を唱えるのは、ビルの流儀ではない。ましてや、CEOであるピーターに反論することなどめったになかった。それでも、このときビルが強い不安を感じていたことは、その場にいた人たちにはっきり伝わっていた。「うーむ。どうでしょう。おっしゃる点について、私はあまり確信がもてません。ほかのグループの話し合いがどんなぐあいだったかはわかりませんが、私たちのグループのメンバーは今日、本当に奥深くまで自分の内面を掘り下げて分析しました。それをやってのけた仲間たちを誇らしく思っています。けれども、それはみんなにとってはじめての経験でした。じっくり反芻する時間が必要です。私が思うに、みんなはいまとても無防備に、心細く感じているようです。明日の朝、経営委員会のメンバー全員の前で、自分の免疫マップの第1枠の内容を発表するのは、まだ無理だと思います」
 言葉にこそしないが、ほかの面々も同意しているのが見て取れた。そのことに気づいたピーターは、目に見えていらだっていた。「では、どうしろと?」
「ゆくゆくは、全員がそれをみんなに披露できる日が来るかもしれません」と、ビルは答えた。ピーターの表情に失望の色があらわれた。ビルは続けた。「今日は、とても素晴らしく、充実した一日だと、私も思っています。ただ、あなたのおっしゃるステップに踏み出す準備が私たちにはまだできていないと思うのです。私が思うに、次にすべきことは、1人ひとりがコーチと話し合うことです。幸い、わが社には、一対一でコーチの指導をうけられる制度があります」
・・・ピータが発することになる――「きみの言いたいことはわかる。だが、私はそういうやり方はしたくない」。重苦しい空気が流れ、みんなが目を伏せるなか、ピーターは畳み掛けた。「聞いてくれよ。私たちが目指しているのは、経営委員会全体を一段高いレベルに引き上げることだ。トップチームとして満たすべき基準を高めることが目標だと、はっきり言ってあるはずだ」
一同沈黙。
「一八人のメンバーのために、それぞれ別々のリーダーシップ研修プログラムを実施するつもりがなどない!そんなやり方では、うまくいくわけがない。チーム全体で何かをやってみたいんだ!」
「ピーター、お気づきでないようですが」と、別の幹部が口をはさんだ。「あなたのように、こういう類いの活動に居心地の悪さを感じないひとばかりではないのですよ」
「居心地のいい世界にとどまっていては、偉大な存在にはなれない。私たちは進歩しなくてはならないんだ!」
さらに沈黙。
同席していた哀れなコンサルタント(つまり、私たちのことだ)は、ここで議論に割って入り、なにかを言わなくてはならなないと思った。けれど、何を言えばいいかわからなかった。顧客たちが自力で問題を解決するという期待は、急速にしぼみはめていた。
 しかし、次の瞬間に起きた出来事は、膠着状態を解決しただけでなく、このプロジェクト全体の大きな転換点になった。
「ちょっといいですか、ピーター」と、ビルがようやく沈黙を破って言った。「こんなことを言うのは失礼かもしれませんが、あの・・・・・・、いまの状況は、あなたご自身の『一つの大きなこと』そのものではないでしょうか?」

☆ピーターは、その後持論を撤回する。ピーターは「敵は自分自身だった!」と気づいたという。

☆このシーンは、デジャブさながらです。私自身はCEOみたいなポジショニングを得たことがないですが、プロジェクトリーダーだったころ、このようなシーンで撤回しなかったために、大切な盟友をうしなったのは、私のいつもリフレクションの記憶の鏡になっています。

☆もちろん、その盟友との友情は今も続いているし、いっしょに仕事もします。あのときの間違いは、二度とおかすまいと私も思っているし、友人ももう少し前の時点からリスクマネジメントを仕掛けてきます。

☆そして、私はいつも、先生方のプロジェクトチームで、ピーターのような言動の場面に遭遇したときに、思い出すのです。同じように乗り越えられたとき、そのプロジェクトチームは、実に有用な活動を開始するし、同時に未来へのパースペクティブにも配慮するようになるのだと。そして、果たして、実際に乗り越えられたとき、生徒募集の成功にもつながります。

☆それはそうでしょう。こんな魅力的な教師や生徒の対話がある学校は、何よりも魅力的です。大きな一つのことをいっしょにみつけて大きく成長できる信頼の場があるのですから。

☆今年も、幾つか新しいプロジェクトチームと走ります。同じようなシーンが必ず現れるでしょう。すでにピーターさながらの幹部もいます。

☆最高の困難は、自己変容です。その困難を乗り越えて、多くのプロジェクトが、未来を創造する大きな学習する組織として動きだすことを大いに期待しています。

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