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21世紀型教育の時代【33】思考の 問いの時代 一橋大学の倫理・政治経済の問題 ②

☆前回の続きです。今年の一橋の倫理・政治経済の入試問題の大問3つめは、貨幣錯覚による雇用増が、インフレ率と完全失業率の負の相関というデータとどう関係するかを問う問題。

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☆インフレ率が高まると、名目賃金があがり、貨幣価値も相対的に上がっただけなのに、貨幣の実質的な価値もあがったように錯覚し、労働者は雇用され、雇用者側は、実質賃金が安くなったのだから、雇用を増やすというお話し。

☆入試問題で、アベノミクスをクリティカルチェックしているというのはゲスのカングリかもしれないが、金融政策による貨幣錯覚を活用して、デフレ脱却を企図しても、イノベーションによる新しい仕事が増えなければ、いずれ貨幣錯覚から働き手は醒める。そこで、こんな問いが投げられるわけです。

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☆貨幣錯覚などという共同幻想を政策的に生み出すのは、嘘も方便なのか、悪意ありとみなすかは、議論の分かれるところでしょうが、このような幻想を生み出す、貨幣の神秘性については、昔から論じられてきました。

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☆ケインズも、雇用や利子や貨幣の有機的な関係が絶たれるとインフレやデフレが起こるとするわけですが、貨幣錯覚の恐ろしいところは、あたかも有機的な関係があるようにみえるところですね。それがバブルの状況だと思うわけですが、そのような状況になって、貨幣錯覚をただ暴くだけでは、恐慌パニックを生み出すだけです。

☆だから、バブルから抜け出すには、雇用対策としてイノベーションがポイントになるのでしょう。しかし、このイノベーションもルーチンになったら、また貨幣錯覚は生まれます。

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☆この悪循環から抜け出すにはどうしたらよいのでしょう。ここから、本質的な問いが生まれます。入試問題では、その入り口まで誘いますが、そこから先は大学に入学してからということになります。

☆過去の問題の解法を学だけで終わらずに、自分が何をやりたいのか問題意識を覚醒する問いの構造になっている一橋大の倫理・政治経済の問題に、「主体性・多様性・協働性」という「自分軸」を重視する2020年の大学入試問題のヒントがあるのではないでしょうか。

☆ところで、この貨幣錯覚ですが、これは交換の正義と配分の正義の矛盾からも生じます。アリストテレス以来のまだ解かれていない正義問題が背景にあります。

☆こうなってくると、正義判断とは何か?判断する自分とは何か?というところに結びつき、中学受験生に関係ないとはいえない重要性がここにも横たわっていることになります。小川仁志さんの話をさらに小学生にもわかるように語ることが必要になってくるでしょう。これが「思考力入試」の役目の1つでもあります。

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