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<偏差値50>を超えるために(3)変容×ルビンの壺×引き算の美学×ショートカット

☆前回までは、ルビンの壺の仕掛けが、単純か複雑かの違いはあっても、2次元で描かれているので、気づけば見ることができました。しかし、見えない場合もあります。そのときどうしたよいのでしょう。Photo

☆昨年の4月の「統一合判(6年)」算数の問題の大問7の(1)の問題を例にとりましょう。この問題の正答率は、11.4%でした。<偏差値50>を超える段階では、まだまだ難しい問題だと思うかもしれません。もしこの問題レベルができれば、120点(150点満点)はとれますから、偏差値は70にはねあがります。

☆たしかに、急激に伸びてしまう感じがするので、そんなことは無理だろうと思ってしまうかもしれません。しかし、それは違います。あきらめないでください。

☆まずは、問題はこうです。上記の図の四角柱から、D-EGHの三角錐をきりとります。きりとった残りの図形の体積とD-EGHの三角錐の体積の差を求めなさいというものです。

☆6年の4月の段階なので、D-EGHの三角錐の体積を求める正答率も50%くらいでしょう。同じ底面積、同じ高さの三角柱の1/3の体積に、同じ底面積、同じ高さの三角錐の体積は等しいということを知らない生徒がいるからです。

☆しかし、知っていてもこの問題ができないのはなぜでしょう。それは、ルビンの壺の仕掛けに気づかずに、それぞれの体積を求めてから引き算をして出すケースが多いので、計算ミスがおこりやすいのですね。

☆しかも、30問中25番目の問題ですから、そのやり方では時間がかかり、間に合わなくなる可能性があります。

☆もちろん、どんなやり方でも正解すればよいのですが、この考え方は実は必ずしも正しくありません。よく算数は正解が1つであると言われます。

☆この考えが前提になると、どんなやりかたでも、正解にいきつけばよいという考えになります。

☆しかし、こう考え始めると、その正解1つ説は、必ずしも正しいとはいえなくなります。その考えとは、算数は行きつく先は同じだけれど、行き着く道筋=過程は様々。その中で最適な過程を考えるのが算数なのだと。これは数学でも同じです。

☆そうすると、いきなり、三角錐の体積を求めるのではなく、四角柱から、切り取る部分の比を考えるところからはじめてみます。すると、三角錐を切り取った立体から、三角錐をさらに引き算するのですから、もともとの四角柱からD-EGHの三角錐の体積2つ分を引くことになります。

☆三角錐は四角柱の半分の三角柱からできています。こここにも、実はさりげなくルビンの壺の仕掛けがありますね。それはあとで説明します。

☆ともあれ、四角柱の体積をを1とすると、三角錐は1×1/2×1/3となりますから、1:1/6です。

☆ここでわすれてならないのは、求めるのは、四角柱と三角錐の体積の差ではありません。三角錐をきりとった残りの立体から、三角錐を引くということですから、四角柱から三角錐2つ分を引くということなのです。

☆ごじゃごじゃしてきましたが、ここにもルビンの壺の仕掛けがあることに気づきましたか。見た目は三角錐が1つしか見えませんが、もう一つの三角錐が隠されていたのですから。

☆すると、1-1/6-1/6となります。ここまでくれば、計算は楽になります。四角柱の体積の2/3が解答になります。

☆ここまできて、さらにはっと気づいた人は、この手の問題の最適な考え方に行きつきます。

☆先ほど、「三角錐は四角柱の半分の三角柱からできています。こここにも、実はさりげなくルビンの壺の仕掛けがありますね。それはあとで説明します」と書きましたが、もうわかったでしょう。四角柱と四角錐の体積の差を求める問題だったのです。

☆これは、平面図形の等積変形の立体図形バージョンだったわけです。すなわち、「カヴァリエリの原理」を活用していたのです。

☆錐体が柱体の3分の1であることを、いかに証明するのか?立方体という特別な場合は、なんとかカヴァリエリでいけるのですが、そこから先はやはり積分が必要になります。三平方の定理も必要になります。

☆したがって、錐体の体積は、四角柱とそこからきりとった四角錐と同じ大きさの容器をそれぞれつくり、四角錐いっぱいにいれた水を四角柱に3杯注いで、四角柱いっぱいになる体感から感じ取るくらいしか、小学校あるいは中学校では行われないでしょう。

☆算数はそれでよいのですが、中学や高校では、数学的思考で証明しなければなりません。しかし、意外とそこは見過ごされてしまうのが、今の算数、数学教育の課題かもしれません。

☆いずれにしても、この問題はいろいろなことを考えさせる問題でおもしろいのですが、<偏差値50>を乗り越えるには、ルビンの壺の仕掛けが、図にのみならず、問題文章にも隠されていることに気づく必要があるのです。

☆今回の場合は、残りの立体から三角錐を差し引くという内容の中に、四角柱から2つの三角錐=1つの四角錐の体積を切り取るのだということが隠されていたわけです。

☆三角錐という具体的な図形が、文字に<変容>さていたのですね。さらに、2つの三角錐を合体させるとさらに四角錐に<変容>するわけです。

☆このルビンの壺の仕掛けの変容は、同時に引き算の美学にもなります、ショートカットにもなります。

☆かくして、<偏差値50>を乗り越えるには、

まずは、

ルビンの壺+引き算の美学

次に

ルビン壺×引き算の美学×ショートカット

さらに

変容×ルビン壺×引き算の美学×ショートカット

☆という、複眼思考から変容思考にシフトすることが肝となるのですね。

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