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<偏差値50>を超えるために(1)ルビンの壺に気づく

☆<偏差値>。このスコアは、ある集団の中で自分がどの位置にいるのかを知る情報。しかし、それで頭がよいのかわるいのか決まるわけではありません。

☆求められる学力→模擬試験→受験者→偏差値となっているわけですから、求められる学力について、自分が受験者と比べてどうなのかということがわかるだけなのです。

(図1)

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☆そして、学校にも偏差値がついていますが、それはそのような受験者のうちどの位置にいる生徒が受けるのかが明示されているだけで、学校の価値を決めるものではありません。

☆しかも、もしその学校が求めている学力が、模擬試験で出題された求められる学力と違ったらどうでしょう。その偏差値は、その学校の入試問題で求める学力を提示していないということになります。

☆だから、<偏差値>の使い方を間違えると、悩まなくてもよい悩みに押しつぶされそうになることになりかねません。しかし、<偏差値>は正しく活用すれば自分を成長させるすてきな道具になります。自分を成長させる道具としての<偏差値>の使い方をいっしょに考えましょう。

☆さて、(図1)は、昨年の首都模試4月の「統一合判(小6)」の算数の問題です。外周の一辺には10個の石が並んでいて、中もびっしり石がならんでいるとします。もちろん、正方形になっています。今、外周をまるごと除くと、残りの石は何個でしょうという問題。

☆なんだ簡単じゃないか?外側4辺にある石の数を、全体から引けばよいじゃあんとすぐに思いついたでしょう。全体は10×10で100だから、暗算だということになるかもしれませんね。

☆もちろん、間違いではないのです。しかし、この問題を正解した生徒は53.4%なのです。

※首都圏模試はサイトでも正答率など重要な学力データが公開されています!

☆ということは、この問題を間違えるということは、<偏差値>50ぐらいが壁になる可能性があります。偏差値50というのは、平均を示していますから、受験者の半分は正解、半分は不正解とざっくり考えればよいからです。

☆すると、この問題の<偏差値>50を超える超えないの境目には何があるのでしょう。

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☆この境目には、上記のルビンの壺の仕掛けに気づく複眼思考力のトレーニングがされているかどうかが横たわっています。

☆このルビンの壺の仕掛けを知る複眼思考を身につければ、文章読解にも役立つし、選択肢で正解に到る過程もパスできます。

☆(図1)に戻ると、これは「方陣算」なのですが、ルビンの壺のメタファ(隠喩)と共通するかどうか考えます。すると、外周ではなく、取り除かれた中身に思考が集中するほうが簡単に計算できるということに気づいたのではないでしょうか?

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☆(図2)のように、中身だけをフォーカスすれば、8×8で解答がでます。外周に注目した場合。10×4―4をだしてから、10×10から引かねばなりません。

☆操作が複数になります。操作がシンプルな方がミスは防げます。それから外周の個数を出す時に、4個ではなく、その2倍の8個にするミスも多いですね。

☆かくして<偏差値50>を超えられるかどうかの境界線は、

1)ルビンの壺の仕掛けを見抜く複眼思考力

2)そして切り口が複数あった場合、どちらの切り口が操作がシンプルかという引き算の美学ができるかということなのです。

☆もちろん、この1問のサンプルだけでは偶然だと思われるかもしれません。しかし、正答率を手掛かりに、分析していくと、そういう境目が顕在化してきます。<偏差値>は<正答率>の集積ですから、<偏差値>と<正答率>を活用することで、自分の思考力を磨いていくことができます。方陣算ができることも大切なのですが、その背景にある「複眼思考力」「引き算の美学」を体得していくとなると、たんなる受験勉強以上の学びがあるということになるのではないでしょうか。

☆ちなみに、2014年の慶応中等部の次の角度を求める問題は、どう考えますか?これもルビンの壺と同じ切り口が隠れています。気づけば操作はシンプルですよ。

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