« 新たな動き【29】 塾歴社会が意味するコト② | トップページ | 新たな動き【31】 大妻中野の意味するコト »

新たな動き【30】 塾歴社会が意味するコト③

☆おそらく石川先生は、すぐに文化的付加価値ベースの経済システム、つまり米国の金融工学に象徴されるような貨幣の回る速度の複雑系をとめるわけにはいかないから、学歴社会や塾歴社会も継続するし、したがって2020年の大学入試改革自体は、そこに対する懸念がありつつも、そこをぶっこわす大きな目標もないだろうと。

Dsc08592
(石川先生が校長時代、哲学対話に希望を託すべく、現場の先生方とともにつくったプロジェクト科の授業の様子)

☆むしろ、文科省の改革にエールをおくりまくっている著書となっています。しかし、少しずつ文科省の改革に起爆剤を埋め込んでもいます。というのも、いっけん「高等学校基礎学力テスト(仮称)」や「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の制度を丁寧に解説しているような章があるのですが、そこに希望を見いだしているわけではないのです。

☆この制度改革によって、少しでもセンター試験プラスα―の記述式問題や高次思考力(LOTからHOTへ:ここらへんは同書を購入してお読みください)をみる問題が出題されれば、各大学個別の独自入試問題が変わらざるを得ないはずというのが目論見なのでしょう。

☆これによって、イギリスのAレベルや米国のAPや国際バカロレアのDPレベルの問いが一斉に放たれる。それが2020年の大学入試改革の希望なのだと。だから、同書はやたらと国内外の高次思考の入試問題を例に挙げまくっています。

2_2
☆しかし、おおたとしまささんが指摘しているように、だからといって競争社会がなくなるわけではない。リスクテークが増すだけなのならば、塾歴社会でいいじゃんという風潮も新たなにでてくるかもしれません。

☆それは当然です。経済システムが文化的付加価値を生み出すコトを前提にしていればそうなります。

☆ただ、欧米のテストのレベルに肩を並べようとすれば、国内の文化的付加価値が相対的に無化されていくというのが、石川先生の目論見です。それゆえ、2020年の改革は、本当は2020年グローバル大学入試改革なのだと。

Sdgslogo
☆昨年国連で採択された「持続可能な開発目標17」をご覧いただければ明らかなように、2020年の大学入試改革がきっかけで、各大学個別の独自入試で一斉に放たれる論述式の問題は、この17のテーマにかかわるものすべてです。

☆今までと大きく違うのは、この17のグローバルゴールズに向かってどう考えるかだけではなく、あなた自身はどうかかわるのか、いったいあなは何ができるのか、何者なのか=“Who are you ?”と問われるということ、つまり「自分軸」を明快に表現しなければならなくなります。他者のみならず自分をクリティカルシンキングできることが必要になります。

☆文科省の掲げる学力の3要素=「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」を「自分軸」にひきつけて石川先生は論じているのです。そこまで、文科省が考えているかどうかわかりませんが、きっと石川先生の今回の本は、短期間で3刷までいっていますから、文科省の方々も読んで影響を受けていることでしょう。

☆ドメスティックな文化的付加価値競争からグローバルな文化的な付加価値競争へいったんステージをずらすことによって、おおたとしまささんのパースペクティブのかなたにあるグローバルな学歴社会の行き詰まり論を加速して、経済システムのパラダイム転換を果たす超人=スーパーマン=ギフテッドの育成。そういう教育の時代到来を予告しているのではないでしょうか。

|

« 新たな動き【29】 塾歴社会が意味するコト② | トップページ | 新たな動き【31】 大妻中野の意味するコト »

21世紀型教育」カテゴリの記事