私塾市場の変化[04]週刊ダイヤモンド~聖学院、三田国際、大妻中野、開成、武蔵を一線に並べる
☆しかし、全体的なトーンは、入試改革に対応するというよりは、先回りしてブレーキをかける塾・予備校という感じでした。2020年大学入試改革についてのオチも「改革は必要だとしても、実行にはリスクも伴う。その代償を負うのは生身の子どもだ」とステレオタイプ。入試改革はあったほうがよい。でもリスクは回避したいと、玉虫色のコメント。
☆このまま放っておくと、子どもばかりか社会もユデガエルになるよという話なのに、目先の利益を求めてしまい、その利益は、生身の子どもにいきわたらないのが現状。日本の子どもの貧困率があがったり、世界の子どもの状況を間接的に生み出している、産業を支えているのが、20世紀型教育であるという反省がない。
☆もちろん、週刊ダイヤモンドの使命は、社会改革なんかではない。45歳以上で、年収800万以上ぐらいがターゲットでしょうから、終身雇用の制度は崩れたと言っても、長期雇用を保守したいと層が対象。そこに買ってもらえればそれでよい。基本経済誌はリバタリアニズムですから。それゆえ、こういう編集にならざるを得ないだけのことでしょう。
☆おおたとしまささんの「塾歴社会」のメインストリームは、サピックス→鉄緑会(ベネッセ)ですが、それを強化する競合塾・予備校に集中して取り上げているのが本誌の特色で、全国に5万軒あるといわれている塾・予備校全体の話なんかではない。
☆お受験から大学入試まで総合的に取り扱ているようですが、この塾・予備校機関が合格させるターゲット高校は、全国に4939校あるうちの220校。4.5%のお話しなのです。
☆年収1000万以上のサラリーマンは、労働人口の5%だと言われていますが、まさにこの層とカブリますね。
☆だから、どうのこうのと言いたいわけでは全くないのです。この特集62ページの中に1ページ相当する部分が、この塾歴・学歴社会に無縁の塾からある一定の相当数入学している学校の紹介になっているというところが肝心なのです。
☆聖学院、三田国際、大妻中野がそれです。もちろん、塾歴階層区を造っている塾からもたくさん入っていますが、そうでない21世紀型の塾からも相当数入学しているのです。
☆そして、驚くべきは、この3校の記述のあとに、「こうした目新しい取り組みが注目を集める半面、開成や武蔵といった伝統的な名門校でも、近年は思考力や表現力を鍛える教育に力を入れつつある」と語っているのです。
☆なんと!聖学院、三田国際、大妻中野、開成、武蔵が一線に並んでいるのです。
☆塾歴社会全開の62ページの1ページ、すなわち1.6%分は、塾歴解放区の話になっているのです。ここをイレギュラーとして無視するのか、針穴決壊とみなすかは、今のところ私事の自己決定ですね。
☆しかし、45歳までの保護者は、後者を選ぶ割合が高いでしょう。そうなれば、受験市場の市場制度が教育制度に先駆けて変わるかもしれません。
☆なるほど!「入試改革で先手を打つ」ロスジェネ保護者が塾・予備校、学校を選ぶ時代、。これがわざわざ1.6%に編集者が仕掛けたことなのかもしれません。
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