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私塾市場の変化[05]ウィザスとティーガイアの資本提携の意味するコト

☆日経新聞(2016年5月15日)によると、

携帯販売最大手のティーガイアは関西地盤の学習塾大手、ウィザスと資本・業務提携した。ウィザス子会社に出資。タブレット(多機能携帯端末)や通信回線を調達し、ウィザス子会社の教育プログラムと組み合わせて学習塾などに売り込む。政府の携帯料金見直し要請で主力の携帯販売事業の不透明さが増すなか、法人市場を開拓して収益基盤を安定させる。

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(ウィザスのサイトから)

☆この資本・業務提携は、携帯電話会社と塾の新しいビジネスモデルというわけではないかもしれません。すでにセルラーモデルが、学校や塾に導入され始めていますし、無料から有料まで学習アプリはたくさん世に出ています。

☆しかし、収益基盤の安定化という点で、会員ビジネスという囲い込みの展開にしたほうがよいということでしょうか。

☆本当のところは、ティーガイア―にとっては収益基盤の安定で、ウィザスにとっては、インフラ活用の安定が目的なのかもしれません。

☆というのも、ウィザスというのは、巨大な教育産業なのです。上記の表にあるように、進学塾のみならず、大学予備校もあります。しかし、なんといいってもすごいのは通信制高校と専門学校(と同等の資格の機関)も運営しているということなのです。

☆すなわち、塾と学校の壁を越境する組織ということです。同記事によると、進学塾部門との提携とありますが、成功すれば、すべての事業部門に波及するでしょう。

☆ということは、教育プログラムが通信制高校にも行き届きますから、あとはウィザスが競合の塾や学校とウィン・ウィンの関係をつくりましょうと営業して広げて行けば、ティーガイアのインフラ基盤は広がり強固になり、ウィザスに通う塾生や通信制高校の生徒も増えます。全日制の高校が、ウィザスと組むことも可能だからです。

☆このビジネスモデルが成功すれば、広尾学園も動くでしょう。というのは、広尾学園の大橋博理事長は、創志学園の創始者で、クラーク記念国際学園という通信制高校なども手広く手掛けていて、ウィザスと同じ事業構造を持っています。もともと創始学園は岡山を拠点とするからなのか、ベネッセの系列の学校でもありますね。

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☆ウィザスがそこまでやろうとするかどうかは、わかりません。筆頭株主は、株式会社ヒントアンドヒットで、堀川一晃氏が株式の100%を保有する資産管理会社ですから、結局は堀川家の組織です。

☆それでも、Z会や明光、市進も大株主に顔を出しています。動こうと思えば急展開が可能です。そのタイミングを読む第一歩が今回の提携の話なのかもしれません。

☆果たして、≪私学の系譜≫の復権なのか?≪私塾の系譜≫の復権なのか?新たな統合の系譜が生まれるのか?まだまだよくわかりませんが、Webという知のインフラが入り込むことによって、従来の形態が変わるのは火を見るより明らかでしょう。

☆そのとき変わらないのは、人間のMFO(man for others)マインドであり、それを表象化する思考術であり、対話術です。しかしながら、学歴社会・塾歴社会は、このMFOマインド、思考術、対話術を無化してきたし、忘却してきました。

☆タブレットやインフラがそれを呼び覚ますということはあるのでしょうか。それらが道具である限り、20世紀型教育に変わりはありません。

☆タブレットやインフラが、マインド、思考術、対話術と循環して血肉化したとき、21世紀型教育は開きます。ですから、今のところは、道具の拡散にすぎません。しかし、この道具としての拡散・拡大過程が、21世紀型教育を開く道行きの1つであることもまた確かでしょう。

☆資本がある塾は、この道具の拡散の道を順当に歩み、資本がない塾は、先回りして不易のMFOマインド・思考術・対話術を準備しておく。しかし、前者はそのMFOマインド・思考術・対話術を忘れて、相変わらず学歴社会・塾歴社会の道を突き進むかもしれません。当面、20世紀型教育と21世紀型教育の衝突は収まらないというのが、本当のところかもしれません。

☆どうやら21世紀型教育は、少ない資本で自前で切り拓く術を考案しなければならないのかもしれないということでしょうか。

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