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21世紀型教育機構(21CEO)設立【01】グローバルゴールズ

☆2020年大学入試改革の動きが、制度的にうまくできるかどうかは、ともかく、アクティブ・ラーニング、子どものための哲学運動(P4C)、知の理論(TOK)、タキソノミー、メタ認知、IB、サスティナビリティイ、ICTなど21世紀型教育に関連するキーワードを世間に普及させた役割は大いに果たしている。

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(2016年5月24日、富士見丘学園で「21世紀型教育機構(21CEO)」発足の会が開かれた)

☆しかしながら、これらのキーワードは、すべて1970年代以降に生まれたものである。それがゆえに、21世紀型教育など存在しないのではないかという議論は常にある。たしかに、ないと言えばないし、あると言えばある。

☆言葉は、名付けであるから、創造的作業。ところが、すでに名付けられた言葉で埋め尽くされている世界に安住している人にとって、その安住世界にない言葉は受け入れ難い。21世紀型教育機構は、グローバルゴールズを解決できる思想や行動を生み出せるグローバル・シチズンが育つ学びの環境を支援する。

☆昨年秋に、国連で採択された、このグローバルゴールズでさえ、1970年ごろから強烈に意識されてきたにもかかわらず、ずっと先送りされてきた世界の痛みである。だから、21世紀型問題というわけではない。しかし、解決されてこなかったのである。20世紀近代社会が生み出し、解決しないで、先送りしてきた問題なのだ。

☆その20世紀近代世界が意識しながら、あたかも忘れ去られてしまったかのように扱われてきた教育理念と教育方法。20世紀型教育の影に隠されていたその理念と方法を前面に引き出し、展開しようというとき新しい名付けが必要だった。

☆その名付けが「21世紀型教育」である。2011年、この21世紀型教育の可能性を探る21世紀型教育を創る会が発足し、2015年、2016年春と、その手ごたえを感じた今、21会を改組し、21世紀型教育機構(21st Century Education Organization)を設立することにしたのである。

☆21CEOが、こだわるゴールデンルールやグローバルゴールズについては、同機構の顧問渡辺眞人先生(前共立女子校長)が、設立ミーティングのときに、次のような提言をされた。

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21会から21世紀型教育機構へ~次なるステージに向けて
21世紀型教育機構顧問
渡辺眞人
21会は2011年に立ち上げられ、従来の大学入試のあり方を変えることや21世紀型教育の実践を目的に歩んできた。その後の教育現場では2020年の大学入試改革もあり、21世紀型教育が市場として形成され現在に至っている。そこには、経済を最優先する社会が厳然としてあり、学校教育も対価としての等価交換にすぎないという風潮も見え隠れしている。
しかし、20世紀の半ばくらいから社会構造が変化し、人口、エネルギー、食糧、環境、教育、年金、医療、格差、途上国などの21世紀の諸問題は、今ある知識や技能だけでは解決できなくなってきた。それに対応する教育は焦眉の急となっているが、その指針となるロードマップが2015年9月に採択された、国連の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals=SDGs)であり、17分野169目標を明記した2016年以降の15年間に渡って取り組むグローバル・ゴールズである。
この新たな国際目標には40年以上の歴史があり、1972年にスウェーデンのストックホルムで開催された「国連人間環境会議」に起源がある。しかし、先進国は汚染問題や自然環境問題を優先的に取り扱うべきだとし、途上国は貧困から生ずる諸問題が最大の環境問題であるとしてなかなか一致しなかったが、最終的には両者が歩み寄った最初の会議となった。
その後、10周年の1982年ナイロビ会議で「持続可能な開発」の概念が提唱され、1987年の報告書“Our Common Future”(邦題『地球の未来を守るために』)が、「地球サミット」開催の直接のきっかけとなった。この最終報告書をまとめるイニシアチブをとったのが、ノルウェー初の女性首相ブルントラント(当時)。「持続可能性」という理念が今に広がる大きな影響を与えたのが女性であったということは21会にとっても忘れてはならない歴史的事件である。
そして、20周年の1992年リオ・デ・ジャネイロで開催されたのが「国連環境開発会議(地球サミット)」である。そこでは、実施するための行動計画である「アジェンダ21」が提起され、この会議を引き継ぐ形で2002年、2012年にもこの種の会議が開催されている。その後、新たな国際目標は、2000年にミレニアム開発目標(Millenium Development Goals=MDGs)として採択され2015年度末で期限を迎えた。MDGsは一定の成果をあげたが、その内容は後継となる「2030アジェンダ」のSDGsに引きつがれた。
こうした国際社会の流れの中では、新たな社会や経済を形成し、リーダーシップを発揮するグローバルシチズンを育成することが求められる。だからこそ、普遍的ゴールデンルールに通じる各校の建学の精神に立ち戻り、各校の根源的な教育の実践が重要になってくる。究極には「未来に貢献する人財輩出」であり、生徒の「他の人々のために生きる人間になりたい」という願いを叶えていかなければならない。グローバル・ゴールズの17分野169目標を一つひとつ、身近な問題として教育の場で扱うことが、未来を担う人財を育成することになる。今後の国際社会では特に要請されるであろうグローバルシチズンの育成は、21世紀型教育校と他校との大いなる差別化の論点になろう。

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