新たな動き【39】湘南白百合の知
☆湘南白百合は、20年前から、今で言うアクティブ・ラーニングに取り組み、医歯薬・理系に多数進学する道を開く女子校。その教育力のすばらしさや具体的なプログラム、評価方法については、首都圏模試センターの「私学の魂」(学校レポート版)に詳しい。これほど見事に同校の教育についてリサーチされているものは他にないでしょう。
☆それにしても、大学進学の割合を見て頂くと、さらにはっきりしますが、70%以上の生徒が、国公立・早慶上智・私立医療に進みます。GMARCH以上ではないのです。早慶上智・私立医療以上だというのが驚きですね。
☆小学校から120名ぐらい、中学受験生から60名くらい入学してきます。ですから卒業生の約120名は、国公立・早慶上智・私立医療に進むわけですから、中学入試の関門をくぐりぬけてきた生徒は、およそ全員、国公立・早慶上智・私立医療に合格してしまうと考えてよいでしょう。
☆こういう結果になるのは、受験勉強ベースのカリキュラムをを懸命にこなしているからではないのは言うまでもありません。あくまでも中学の時の幅広い分野横断的な深いアクティブ・ラーニングで、学ぶことの本質を身に着けるからです。
☆科学の実験・探究・レポート、リーガルマインドのワークショップなどを中学の段階で学んでしまうのですから、当然でしょう。この2つのプログラムについては、先述した首都圏模試センターの「私学の魂」(学校レポート版)にたいへん詳しくまとめられています。ぜひご覧ください。
☆ここで私が付け加えらるとしたら、生徒作品集に掲載されている驚きの「湘南白百合の知」についてです。
☆読書感想文や作文の優秀作品、外部のコンクール優秀作品などが掲載されています。多くの学校でも編集しているので、特に驚くべきことではないように思われるかもしれません。
☆しかし、中身を読むと、こんな高次思考を中1から行っているのだと驚愕してしまいます。
☆この作品集は、「外遊び」というタイトルの中1の作文から始まるのですが、一般に心の癒しや健康によい「外遊び」ばかりだと思ったら大間違いである。福島の現状を見よと。ここでは、心の癒しや健康のための「外遊び」が必ずしもできないのである。ここにはどんな問題が横たわっているのか、これから考察していくと展開していくのです。
☆このパラドクシカルな発想から、一気呵成に問題解決へ思いを巡らし、論理を展開する編集スタイルは、最初の中1生だけかと思ったら、読み進むと、それは全く裏切られ、このパラドクシカルな発想から論理展開へというのは、学校全体の浸透していて、湘南白百合の知のプロトタイプだったのです。
☆これは、科学者の発想です。仮説を立てる時に、科学者は、パラドクシカルな思考実験を行うわけですが、まさにそのスタイルの文章がずらりと掲載されています。
☆ある中3生は、「僕の命は二秒の間にある」から始まります。ガザの戦争の現状について考察をしているのですが、なんて心揺さぶられるのでしょう。
☆またある中3生は、「“見”という名の煩悩」という日常の何気ない感覚に、固執という概念を結び付けて考察しています。
☆ある高3生は「世界史は日本史だ!」と、歴史とはそもそも何かを解き明かしていきます。
☆湘南白百合が、文系にも理系にも強いのは、このようなパラドクシカルな創造知が豊かに育つプロジェクト型学習(今でいうアクティブ・ラーニング)が、中1から充実しているからに違いありません。
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