新たな動き【49】 工学院の異次元の授業③
☆彼らにとって、Webは基本的にグローバルブレインですから、情報の貯蔵庫であると同時に、互いに使い方を交換したり、ユーザーがプロダクト側に新しい使い方を提案する創造的コミュニケーションの場です。
☆もちろん、英語でやり取りをしますから、日本人教師は臆するかもしれません。しかも、英語だけではなく、すべての教科で同じようにやりとりできるわけですから、最近トレンドのCLILは、世界では、ずべての教科で行われています。
☆しかし、日本では、英語は英語の教師が主に活用しますから、他の教科の多くの先生方にとっては、CLILは英語の方法論に過ぎないし、Webは情報の貯蔵庫に過ぎません。こういうところから言語道具説が生まれてしまいます。
☆岡部先生は、Windows95以前のマッキントッシュからコンピュータは活用していたし、インターネットもADSLでつないでいた時代から活用していたそうです。決して嫌いでなかったからということもあるでしょうが、海外で仕事をするときに、電話回線でつないで、情報交換することは必要だったし、便利だったということもあったのでしょう。あのころ(といっても1999年ぐらいの話ですね)から比べれば、今ははるかに便利で、Webを自在に活用できる感覚は、チーム岡部で共有しているということです。
☆そんなわけで、岡部先生は、Webから学習ソフトやオンラインソフトをふんだんに活用します。工学院の中学生は、1人1台タブレットを持って授業に参加します。
☆ですから、そのふんだんに活用する情報をシェアできるのです。生徒にとっては、ラッキーでしょう。しかも、タブレットはマルチメディアですから、その拡張機能も十全に活用するのが岡部先生。生徒もすべての感覚をリアルには活用できませんが、シミュレーションとリアルが混在した五感の活用ができます。
☆生徒にとって、岡部先生のタブレットの活用の仕方は、五感が世界につながり、世界と一体となる感覚になれると思います。ちょっと映画マトリックスのような感じですというと岡部先生に叱られそうですが、わかりやすくイメージしてもらうには、そんな感じです。
☆ICTを活用したアクティブラーニングとは、そのような仕込が大切ですね。
☆いずれにしても、タブレットを活用して英単語を憶えていくにしても、文法を考えていくにしても、ライティングにしても、チームでヴァンガードのカードゲームをやる感覚だし、ロールプレイゲームをやっている感じになります。
☆タブレットは、ある時はリサーチ、あるときは辞書、あるときはライティングのためのノート、あるときはアーカイブを見る画面、あるときは音楽をつくる楽器、あるときは映像をつくるときの編集思考、あるときは・・・とマルチプレイができるのですが、なんといっても、ゲーム機さながら授業で活用できるのが、授業を盛り上げます。
☆学習ソフトで何を使っているかは、あまりに様々で、ここでは紹介できません。私の理解容量をオーバーしていもいます。それに、今回授業で公開していたソフトは、プロダクト側とモデルケースをつくるトライアルなので、著作権上まだ紹介できません。
※特定して紹介は出来ませんが、このサイトのリストの中にあります。
このリストは参考になると思います。
☆岡部先生にとって、チームはクラスですから、小さなチームを流動的に組み換えていきます。誰とチームを組んでも、クラスとしてのチーム、学年としてのチームと拡大していくことが重要なのであることを、体感してもらうために、RPGゲーム感覚の学習ソフトにランダムチームをつくるようにプログラムしておくわけです。
☆単語の暗記術を取得するというよりは、感覚を通して身体化するというほうがよいでしょう。しかし、いったん身体化した言語は、今度はかなり分析的に志向するトレーニングにシフトします。ここには、暗黙知と形式知のスパイラルが埋め込まれています。
☆そのとき大切なことは、分析をするときに文化負荷性があることを生徒とシェアするということです。特に時間概念が欧米と日本では違うので、現在完了の文法を憶えるだけではなく、時間概念の違いについて、理解を深める作業にたtっぷり時間をとります。
☆ここは、とたんに哲学の世界が広がります。もっともマトリックスという映画的な世界自体、デカルトの世界のメタファーに使われるぐらいですから、生徒が気づかないうちに思考術も学んでいるということになりますね。特にゲームは、経済学でいうゲームの理論と重なる部分もあり、岡部先生の授業デザインは実に巧みです。
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