新たな動き【40】大学合格実績のとらえ方 21世紀型モジュールが埋め込まれる
☆週刊朝日(dot. 5月7日 7時0分配信)の記事「早慶上理「実合格者数」1位はアノ女子御三家 “リケジョ”希望者が急増のワケは?」はかなりおもしろい。たしかに、
<今年も、首都圏では「早慶上理」(早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大)という難関私立大について、「実合格者数」の観点から全国上位50校をリスト化。その強みを独自に調査・分析した。・・・・・・従来の「合格者数」と「実合格者数」の差をどう見るか。合格者数は多いのに実合格者数が少ない学校は、合格実績が、複数の学部に受かる一部の優秀な生徒だけに偏っていることを意味する。高校の説明会などでアピールされる「難関大への合格者数」だが、その学校の本当の実力は、実合格者数を見ないと判断できないということだ。>
☆とは、従来の見方と変化なしです。しかし、学校の取り上げ方が少し違ってきています。つまり、上記のような大学入試市場制度を疑いもなく活用しながら、その制度を内側から崩す21世紀型教育モジュールが埋め込まれ始めているという感じなのです。
☆同記事で紹介されている学校は、次の通りです。
女子学院、浅野、早稲田、日比谷、西、両国、渋谷教育学園幕張、鎌倉女学院
☆しかし、この中で、両国については、こんな記事が書かれています。
「卒業後の人生について、冷静に実社会を見つめ、どのように活躍していくのか自分なりの『志』について考えさせます」
同校では、多彩な意見で活発に議論し、学びが立体的になるような指導に力点を置いているという。
☆「自分軸」「アクティブラーニング」という21世紀型教育のキーワードが隠されていますね。渋谷教育学園幕張については、こんな記事が書かれています。
スーパーグローバルハイスクール(SGH)にも指定されており、帰国生徒や海外の大学への進学希望者も少なくない。中3でニュージーランドへのホームステイ、高2で中国への修学旅行のほか、米国、英国などでの研修、シンガポールの名門校、ラッフルズ・インスティチューションとの交換留学制度も。同国での教諭経験もある進路部長の井上一紀教諭は、「同国の政財界、官僚の登竜門の学生との同世代交流を通じ、学びの姿勢や、キャリアデザインの考え方に触れるのが狙いです」と話す。
同校はキャリア教育も充実している。起業家セミナーや、東大の物理学の教授による模擬授業、同校OBの日本マイクロソフトの平野拓也社長の講演なども積極的に開いている。
☆「SGH]「海外連携」「起業家精神」など、これは明快に21世紀型教育を書いていますね。そして、最後に鎌倉女学院について触れられています。
高3時にはほぼすべての生徒が英検2級以上を取得するなど伝統的に英語教育が強いことに加え、ここ数年は理系を志望する生徒が増えている。12年からは、文系、理系を横断的に学ぶコースを設けた。
夏休みには特別講習、冬にはセンター試験対策。理系の生徒には土曜日に数時間、数学の講義をプラスして実力を養成するなど、きめ細かなバックアップ体制でセンター試験の成績も上がっている。
☆終わりよければすべてよしとばかりに、最後は典型的な20世紀型教育で締めたということでしょうか。しかし、読み比べれば、同じ早慶上理に合格するのでも、どちらが魅力的でしょう。
☆どうやら、今までの大学入試市場の制度「合格者数は多いのに実合格者数が少ない学校は、合格実績が、複数の学部に受かる一部の優秀な生徒だけに偏っていることを意味する」は、「実合格者数だけではなく、20世紀型教育によって合格したか21世紀型教育で合格したか、そこまでリサーチしなければ」と新制度にシフトする時代がやってきたということかもしれません。
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