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新たな動き【48】 工学院の異次元の授業②

☆工学院の中3の英語の授業は、実に多様であり、簡単に紹介できないですが、ここでは中3の英語の中核の授業を行っている岡部先生のやり方に集中します。

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☆というのも、工学院の中学は、1学年定員105人ですから、日本人の専任1人とネイティブスピーカーの先生方、アシスタント、講師の先生方がチームをつくって遂行しています。その日本人の専任1人というのが、岡部先生です。

☆もちろん、工学院の英語は、英語科というチームがあります。しかし、さらに学年ごとにチームができています。これは、完全に学習するチームで、リーダーは岡部先生ですが、ピラミッド型組織ではなく、それぞれのメンタルモデルをリスペクトしながら、授業計画を立てて、遂行しミーティングによってリフレクションしながら行っていきます。

☆特に重要なのは、ハイブリッド改革前夜の学年ですが、帰国生も多いので、実際には多様性のクラス編成になっていて、たんに個性だけでなく1人ひとりの背景が違います。

☆ヒドゥン・プロフィールは、先生方の多角的な見方が映し出すので、それにはコミュニケーションが極めて重要です。ある程度コントロールしなければモチベーションが持続しないタイプ、コントロールを受け付けないタイプ、協力的なタイプ、リーダーシップを発揮するタイプ、タフなタイプ、そうでないタイプ、日本語が必要なタイプ、不要なタイプ、創造的な自信が強いタイプ、そうでないタイプ、学歴社会の殻をもったタイプ、破っているタイプ、ゲームが得意なタイプ、そうでないタイプ、漫画やラノベが好きなタイプ、純文学が好きなタイプ、時事問題に関心があるタイプ・・・様々です。

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(学習する組織のためのリーダーシップ研修。工学院の研修は外部研修だけではなく、内製化研修も豊か。)

☆もちろん、エゴグラムを実施しているので、キャラクター分析もなされているし、その分析は生徒や保護者とシェアもされています。

☆昨今トレンドになっているアクティブラーニングが本当に必要なのは、20世紀型教育の背景にある学歴社会という大きな物語である成功神話が崩れ、頼るべき軸がなくなって、何をどうするかわからなくなった個人が、すぐに葛藤を起こしてしまう現状を、ナッシュ均衡の過程ととらえて、そこからそれぞれが「自分軸」を形成していく環境をつくらざるを得なくなったからという歴史的背景があるからです。

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☆学習する組織が必要なのは、それぞれがメンタルモデルという「自分軸」がナッシュ均衡というゲームの理論をベースにするチームワークを形成しながら生み出されていくとうことなのです。

☆そして、チームの中で気づき顕れてくる「自分軸」ですから、それは当然≪man for others≫というナッシュ均衡が生まれるのです。このMFOマインドが醸成されるところが、学習する組織の肝です。

☆MFOマインドは、言うまでもなく、国連が目標としている普遍的なゴールデンールです。アダム・スミスが社会をゲームとみなして、その均衡を見いだしていくのですが、この均衡こそ、アリストテレスからサンデル教授までずっと探求されてきた正義の判断点ですね。

☆だから、アクティブラーニングなんかやっても学力が伸びない、大学合格実績がでないと平気で語っている人は、アンチ国連、アンチユネスコの素養があると疑われても仕方がない時代がそこまやってきています。

☆しかし、そう語っている方の中には、学習する組織を築きながらアクティブラーニングをデザインするのではなく、手法論だけアクティブラーニングであることに対する警鐘を鳴らしている方もいます。そういう方は、一面の真理をみています。ただ、そう言っているだけで、自分でアクティブラーニングをやろうとしない場合は、問題ですが・・・。

☆よく教師は忙しいという話がでますが、それは学習する組織をつくる時間が必要だからです。ここに費やすコスト意識が日本の教育は低く、そういう環境をつくれていないのが現状です。

☆工学院の経営陣が、そこを常に意識し、多くの葛藤を1つひとつ解決している涙ぐましい努力があるのです。校長のカリスマと心意気だけで経営する時代は去りました。なかなかここにシフトするのは難しいのですが、授業改革というのは、実は学校制度改革でもあるのです。そして、この学校制度改革を生徒とシェアし続けることが、生徒の未来に備えることにもなります。

☆もちろん、制度というのは、国家による制定法ばかりではありません。その学校その学校における約束やカリキュラム、サブカルチャーなども含みます。ここで言う学校制度とは、後者の意味がほとんどです。

☆だから、一部の教師が、アクティブラーニングをやっているだけでは、学校制度改革は行われていないとみなすことができます。

☆アクティブラーニングに学校全体で取り組んでいる学校、取り組むと宣言している学校が学校制度改革を行っているとみなすことができます。

☆グローバルという言葉が変だとか、アクティブラーニングなんてだとか、英語英語というのはおかしいとか言っている人の多くは、20世紀教育の影の部分、すなわち、学歴社会、終身雇用、GDP成長神話、科学の安心安全神話など反省をしていない人が多いでしょう。

☆人間は弱いから、アイヒマンにすぐになります。その弱さから2人のアドルフのクローンがたくさん生まれてしまいます。

☆私たちの国、日本も、2人のアドルフに同調した時代があったことを真摯に受けとめ、忘れないことが肝要ですが、オバマ大統領が広島を訪れるという話題を重視していることは、政治経済の戦略的なものもあるでしょうが、私たちの1人ひとりのマインドが均衡点を保っていることを示唆していると思います。

☆この2人のアドルフのクローンは、戦争やテロのみならず、日常生活でも生まれます。校内暴力、学級崩壊、不登校、学校カーストなどの現象やいじめやパワハラなどの事件にも同じ心理的社会的構造があります。

☆今、学校に学習する組織ベースのアクティブラーニングが必要なのは、そういう歴史的文脈があります。

☆言語道具説、ICT道具説の危うさは、優秀なアイヒマンを生み出してしまう構造を強化する危うさがあります。それは20世紀型教育が、知識道具説・技術道具説に偏ったのと同じ過ちを起こすでしょう。

☆20世紀型教育の言語道具説・技術道具説の危うさを回避し、21世紀型教育の言語道具説・ICT道具説の危うさを回避するという、二重のリスクマネジメントを学習する組織で行っているのが工学院のチーム岡部です。

☆チーム岡部の重要なところ。それは、岡部先生をはじめネイティブスピーカーの先生方が英語教師以上の見識を持っているというところです。

☆彼らは、英語教師の資格を有していますが、社会学や文化人類学、経済学、宗教学、サイエンスなどのメジャーを大学で専攻していますから、ちょっと次元が違いすぎます。

☆ネイティブスピーカーの先生方は言うまでもなく、岡部先生も米国大学出身ですが、ランキングが50位以内であるとか言うよりも、学んだ量がすさまじすぎます。

☆チーム岡部が、成り立つのは、学問的な次元と生徒1人ひとりの状況を結びつけるコミュニケーションループをつくれるからです。

☆マクロとミクロをつなげることぐらい難しいことはありません。でも、チームワークでできます。ただし、もともと学問的素養がない条件、生徒1人ひとりの違いを無視するような人材の条件の場合、チームワークは成立しません。

☆だから、工学院は、先生方に研修の機会をたくさん設け、自己マスタリーができる環境作りがなされています。エゴグラムなど生徒1人ひとりをデータエビデンスを活用して探究する活動も創っています。定期テストも思考コードやS‐P表でリフレクションします。

☆マクロとミクロのコミュニケーションループ。先生方が意識しているかどうかはわかりませんが、これがナッシュ均衡、すなわちゲームの理論による学習する学校を経営する平方校長の手腕です。どうやら、生徒募集が上手くいっている私立学校という特性上、アダム・スミスの見えざる手や内なる公平な観察者の形成が肝要だということなのでしょう。

☆生徒募集が重要なのは、経営的側面と学習する組織ができるかどうかという重要な局面にかかわるからなのです。

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