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新たな動き【68】哲学教育 開成学園の森大徳先生の論文の意味

☆IB(国際バカロレア)のDPのコアプログラムの1つTOK(知の理論)や哲学カフェなど、教育における哲学教育が話題になっています。何が火付け役になったのか調べる暇はないので、ウィキペディアを頼りにすると、子どものための哲学授業として、P4C運動(Philosophy for Children)を支える根っこは、ピアジェやデューイあたりにありそうです。

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☆そして、1970年代の学生運動を目の当たりにしたマシュー・リップマンが、早い時期からクリティカルシンキングを養う哲学運動の必要性を痛感し1974年、モントクレア州立大学に「子どものための哲学推進研究所(Institute for the Advancement of Philosophy for Children, IAPC)」を設立したところぐらいから火が付いたようです。

☆その火が、ようやく最近、日本の教育現場に灯ったのは、2020年大学入試改革に伴ってでてきたアクティブラーニングがトレンドになったからでしょうが、開成学園の国語科の森大徳先生の論文「哲学教育と国語教育─中等教育における連携の可能性-」(千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書第255集『子どものための哲学教育研究』山田圭一 編"Studies of Philosophical Education for Children" Report on the Research Projects No.255,2013年所収)によると、すでに現行の高校の国語の学習指導要領などに、論理的思考、批判的思考、創造的思考を養う趣旨が盛り込まれ、国語の授業の中でも哲学教育の一部を取り入れる試みができるようになったからということがあるようです。

☆すでに森先生も、哲学的テーマについて、クラスの半分は対話し、もう半分はその対話の様子を観察し振り返るスタイルで授業を展開し、一定の成果をあげていることを同論文で記述しています。同論文は2013年に発行されていますから、たしかにアクティブラーニングが騒がれる以前からの話ですね。

☆2012年の東大や早稲田の教育学部の現代文の入試問題で、河野哲夫教授の文章が採用されたのも、教育に哲学の導入の流れができたきっかけかもしれません。

☆河野先生は、子どもの哲学運動の拠点「哲学プラクティス連絡会」を、勤務している立教大学に設置し、「日本国内における哲学プラクティスの実践・研究・関係者が集まり、活動報告やディスカッションなどを通じ、情報交換を行い、関係者間のネットワークを形成する」ことを目的に活動しています。

☆豊島岡女子や開智日本橋が立教大学と連携して行っている哲学授業も、この文脈なのでしょう。

今年の8月27日と28日に、第2回大会が開催される予定です。そこで森大徳先生もスピーチするようです。参加したかったのですが、その日はすでに予定がはいっています。残念です。

☆いずれにしても、この会の子どものための哲学の運動P4Cに影響を与えている学者の1人がマシュー・リップマンであることは確実で、彼の共同探究の方法は、いわゆる哲学対話方式ですから、今騒がれているアクティブラーニングともシンクロしやすいのでしょう。

☆開成学園の柳沢校長の問答授業といい、森先生の哲学教育を取り入れた国語の授業といい、塾歴社会のシンボルと化してしまった<開成>を、連綿と続く≪私学の系譜≫としての<開成学園>の魂で揺さぶる契機になる可能性に期待できそうなので、どこかホッとしています。

☆もちろん、森先生は、同論文の中で、哲学教育と国語教育の差異を明快に述べています。塾歴社会や大学入試改革に右顧左眄せず道を切り拓いているところはさすがです。

☆開成学園のすべての先生が、森先生のような気概を持っているかどうかは、また別の問題ですが。

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