私塾市場の変化[07] 富士見丘生の学校の選び方①
☆富士見丘の広報部長中島先生に、高校生にインタビューする機会を頂きました。祖師ヶ谷大蔵駅すぐ近くの私塾「セミナリオ」を訪れたとき、塾長宮澤先生が「富士見丘は、生徒が自ら選んでくる高校。当初こちらが強く奨めたわけではなかったが、生徒が見つけてきて情報を後輩に共有してくれた。彼女たちが目を輝かすのだからよい学校に違いない。以来、進学が続いている」と語っていたのを思い出し、中島先生にお願いして、セミナリオ出身の高校生に合わせてもらったのです。
(米国超名門校には必ずあるラウンドテーブル。ソクラティックラーニングを行う空間。富士見丘にも同様の空間があり、そこで話を聞くことができました)
☆2人は高2で、1人は高1。いずれもSGHプログラムの恩恵を浴している学年。SGHについて尋ねてみると、
「まずはフィールドに足を運んだり、目の前に提示された問題につかってみるというタイプの学びがSGHの特徴です」
「とにかく議論するのがすてきですね。小中学生のころは共学ということもあって、自分から話すことはあまりなかったですが、このような学びは、自分から話そうという意識が高くなります」
「SGHの学びは、自分たちで学びのデザインをするところからはじまります。最終的には自分自身のやりたいことがみえてきますから、将来の自分のやりたいことに結びつけながら考えていくことができますね」
「英語はとにかく、あらゆる場面で使いますね。でもとにかくコミュニケーションのためなので、英語の勉強という感じはしません」
☆と次々と、自分の意見を語ってくれる。そのような学びのスタイルは、具体的には、どういうときにあると感じますかと尋ねると、それについても、
「慶応大学の大学院生と連携してアジアの国々の高校生と、世界の問題は何か、解決するにはどうするか、スカイプを使って英語で対話する学びは、準備は大変ですが、あまり躊躇しないで飛び込んでいきます。」
「私は高1だから、まだこの時期はSGHの本格的なプログラムに進んでいません。しかし、ランチの時理科の実験の時、ネイティブスピーカーの先生とは英語でやりとりしています。理科の授業なんですが、英語で進んでいますね。」
☆とやはり、次々応えてくれます。思わず、広報部長の中島先生に、学校説明会は、生徒の皆さんにやってもらったほうがよいのではないかと提案してしまったほど、富士見丘の濃厚な学びについてわかりやすく語ってくれました。
☆ところで、このようなSGHの学びは、学校選択の時のポイントでしたかと尋ねたところ、
「SGHの話は説明会ででていましたが、そのときはこんなにおもしろく、自分の成長がわかる学びだとはイメージはできませんでした。しかし、最上階のペントハウスというラウンジで、カフェスタイルで行われた説明会に参加したのですけれど、今振り返れば、あれも似たような学びのスタイルでしたね」
「私もSGHそのものはピンとこなかったけれど、とにかく海外とのやりとりができるというところが、興味がありました。それと、やはりカフェスタイルですよね。この丸い大きなテーブルもそうですが、先生や先輩とオープンに話すことができるところが、一番のポイントでした」
「文化祭で少林寺部の先輩たちの姿を見て、すぐにカッコイイと思いました。あの息の合った演武は、対話を大切にする、相手を大切にすることを示していたのではないかなと。今思えばですけれど」
☆これはおもしろいと、さらに、SGHのプログラムとか部活動とか目に見えるところは違うけれど、共通するものがあると感じたのですが、それは何ですかとも尋ねてみました。3人はしばらく顔を見合わせて、
「私はよくペンギンっていわれます。いろいろな意味で。でも最初のペンギンという意味だと私は感じています。とにかく思いったったら即実行です。でも、それってまわりに支えてくれる人がいないとできないんです。富士見丘は先生も生徒もとてもよい関係だと思いますよ」
「私はバトン部に入っています。結構小さいころから人と変わった感じ方や考え方をして、周りの目が気になりましたが、富士見丘は私を受け入れてくれていますから、安心してのびのびできます」
「富士見丘の生徒は、100%、困っている人がいたら助けたいと思って何か行動を起こす人ばかりです。信頼しあえる関係だと私も思いますね」
(SGH「サスティナブル演習」の学びのシーン)
☆それって、まさか学校の理念にピタッとあっているということ?なのと尋ねて、すぐに愚問だと思い知らされました。
「忠恕ですよね。中島先生、ごめんなさい。入学してしばらく読めませんでした」
「実は私も。でも受け入れるとか、思いやるとかいう意味はわかっていました」
「でも、それは知識ではなくて、この学校の雰囲気ですよ。忠恕という言葉を知る前に、説明会や文化祭などで出遭った先生や先輩が、そういう雰囲気で接してくれるのです。そこが一番気に入ったところですから」
☆話を聞きながら、どんどんおもしろくなっていきました。彼女たちは、富士見丘という私学とセミナリオという私塾で共に学んできたし学んでいる。部活や学年は違うが、互いに思いやる雰囲気を大切だと感じている。いったい、その共通感覚はどこからやってきたのか。
☆結論から先に言うと、そのような共通感覚は、すでに家庭の中にあったのです。言われてみればそうなのですが、学校選択の時、大事なことは、共通感覚が響き合うかどうかだったのです。
☆この結論に導かれる彼女たちとの対話について、もうしばらく続けてみようと思います。
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