私塾市場の変化[07] 富士見丘生の学校の選び方②
<私塾市場の変化[07] 富士見丘生の学校の選び方①>のつづき
☆富士見丘の建学の精神「忠恕」の意味をすでに共通感覚として持っていた3人。実に興味深い。そこで、「いつぐらいから、人を思いやるとか、チャレンジするとか、対話が重要とか思うようになったのかな?自己分析は難しいですか?」と尋ねてみました。
(自分の学びのスタイルを振り返るワークショップも交えながらインタビューは続いたのですが、さすがこのタイプの作業はお手のものでした。)
☆すると、すぐに
「いえ、大丈夫です。小学校のころから家族で私の将来についての話は頻繁にしていました。もともと理学療法士になりたいと思っていたのですが、家族も大賛成してくれていて、貢献する仕事に価値を見いだす家族の影響はあったし、今もあると思います。」
「私も、介護士とか、看護師とか、人の役に立ちたいという気持ちは小学生のころからでした。たぶん、母がマザーテレサに影響を受けていたので、その影響を私も受けていたのだと思います。クリスチャンではないのですが。」
「私は、まだ具体的に職業は決まっていませんが、何か人の役に立つ仕事をしたいと思っています。私の場合は、多くの人に支えれれきましたから。セミナリオの先生は、特にそうでした。まったく勉強しなかった私の姿勢をがらりと変えてくれたからです。」
☆「なるほど、忠恕という言葉に出会う前に、すでにご家庭で、この学校の理念と共通する感覚が育っていたわけですね。それでは、小学生のときからの気持ちが、高校入試に直接つながったというわけですか?」
「いや、その頃は、富士見丘のことは知らなかったですよ。やはりセミナリオで学んだからではないですか。宮澤先生方の話は、ただ英語の受験勉強のはなしだけではなく、言葉の大切さや世界に目を向けることについてとか、今思えば刺激になったのだと思います」
☆「そうそう、宮澤先生ご自身、大学院でずっと研究していて、フランス留学もしたそうですね」
「そうなんですよ。だから、私も、テレビなどで見て影響されてアジアなのですけれど、まずは海外でチャレンジしてみたくて、留学のシステムがきちんとある学校を探していたのです。都立高校では、想像できないチャンスが教育としてあるのが富士見丘でした。」
「私は、海外で活躍しようとまでは、まだ考えていないのですが、海外での経験は重要だというのは、セミナリオで学んだと思います。それで、海外の体験もできる富士見丘は、将来の自分の仕事を実現するために最適だと思いました。」
(自分とは何かまで学べる富士見丘の日本史のアクティブラーニング。写真は同校サイトから)
☆「志がものすごく高いけれど、その前に大学というハードルがあるよね」
「ああ、そこですか。富士見丘は、どこの大学に行きなさいという指導は確かにないです。本間さんはそこらへん聞きたいのですか?」
「もちろん、大学への準備はしますが、私たちの学校は、自分で大学を探すプログラムは充実しているし、先輩たちが今大学で探求していることを、機会があるたびにプレゼンしてくれます。」
「セミナリオでは、自分の道は自分で探すように、そして自分の力で生きていける力をつけるようにと、遅刻をしない、宿題をやる、授業は集中するなど基本的なことを徹底されました。そういうところは、富士見丘もいっしょで、さらに進路指導や留学など、実際に未来への道がはきり見えています。」
☆「大学の偏差値とかは気にするの?」
「それは、どの大学を受けるかだけではなく、合格できるのかまで考えれば、参考にするけれど、偏差値の高い学校をねらおうとかはならないと思います。」
「セミナリオを選んだ時もそうでした。実はセミナリオのような私塾ではなくて大手塾に行っていたこともあるのですが、偏差値を伸ばすためにはと機械的に宿題をいっぱい出されて。。。同じ偏差値でも学ぶべきところはそれぞれ違うのに、そういうのはあまり考えてもらえなくて、それでもう少し自分の状態をみてくれる私塾を探したら、セミナリオが見つかったという感じです。」
「富士見丘も、それは全く同じですね。私たちの気分はいつも変わりますが、その理由は1人ひとり違います。ですから、私たちのモチベーションをあげるには、1人ひとりの状態に合わせた対話をしてくれます。」
☆「幸せだね」
「幸せ!とはあまり意識しませんが、最高ですよ(笑)」
☆「偏差値」「大学合格実績」などの量的指標で話すことが多い私たちに比べ、「質」にこだわり、「自分の意志」を信じ、「貢献」への柔らかい心を持っている3人の生徒。
☆このインタビューを通して、私たちは、もっと生徒がこだわっている「質」とは何か?「意志」とは何か?「貢献」とは何か?について理解を深めていく必要があると、今更ながら、思い知らせれ、爽快な気分になった瞬間でした。
☆「家庭―私塾―私立学校―大学―仕事」が、3人の富士見丘生の内面で密接につながっているということがわかりました。これは、3人だけが特別なのでしょうか?おそらくそうではないでしょう。だとすれば、中学受験とか高校受験とか大学受験、就職試験とか、そのときどきの切り口でしか、児童生徒や学生を眺めているだけでは、人間力育成とかグローバル人材の育成とか言っていても何も意味のあるものは見えてこないということに気づきました。
☆今回は高校入試から入学してきた3人の生徒のケースでしたが富士見丘には中学受験からの生徒もいます。今後は、幼小中高大仕事の全体のリサーチが極めて重要になるでしょう。富士見丘はOGもよく訪れます。
☆1人ひとりの成長の意味をリサーチするにはいかにしたら可能か?そのヒントを見いだすためにも、このようなインタビューをもうしばらく富士見丘で続けさせていただきたいと思います。
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