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新たな動き【81】聖学院 圧巻の思考力セミナー<了>

☆聖学院の今回の思考力セミナーは、来春の2月2日の「思考力ものづくり入試」対策講座であったと思います。テーマは「まちづくり」で、レゴを使っていますから中心的な学びのパターンはlearning bycreatingです。アクティブラーニングの基本は、learning by doingで、そのdoingがmakingになったり、creatingになったりします。究極のcreatingはthinkingですが、小学生のあいだは、まずは具体的で五感でとらえることができるものが基本です。

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☆また、アクティブラーニングにおけるcreatingは、ものをつくることが目的ではありません。かといって、その過程を外化することが目的でもありません。

☆クリエイティブなプログラムを通して、発想術や思考術を身体化するところが目的です。もちろん、その発想術や思考術はどこまでも質は向上しますから、常に現状を把握するためにリフレクションをします。そのリフレクションではクリエイティブシンキングの過程の外化となります。

☆そういう意味では、聖学院の「思考力入試」も「思考力ものづくり入試も」クリエイティブプログラムです。前者が哲学的あるいは数学思考的で、後者が芸術的という違いはあるかもしれません。

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☆今回は、「ものづくり」の方だったようです。学びのパターンは、先述したように、learning by creatingがベースですが、身近なものから理想の都市をつくるという学びの形態は、小さな種から大きく育てるというFruit Farmingというパターンです。

☆また、グループワークもありますから、Community of Learningという学びのパターンも組み合わされています。この学びのパターンは、人によっていろいろあるでしょうが、私は、慶應義塾大学 総合政策学部准教授井庭崇先生が、建築家アレグザンダーの「パターン・ランゲージ」に刺激を受けて創出した「ラーニング・パターン」を参考にしています。

☆アレグザンダーの思想は現代思想に影響を与え、21世紀型教育を考えるときに、古典的な哲学を活用するより、現代思想の方が、子どもたちの生活にマッチングした学びのコンセプトを組み立てることができると思っています。

☆とはいえ、私自身の8つの発想術や11の思考術は、アリストテレスのトピカに拠っていますが。

☆ともあれ、アレグザンダーの発想に基づいている井庭崇先生の学びのパターンは、まさにアクティブラーニングなどのプログラム構成を考える時に大いに役立ちます。

☆しかし、京都大学教授の溝上慎一先生は、ノエル・エントウィスルに依拠して、学びの形態だけでは、浅いアプローチのアクティブラーニングに終わる可能性があり、その形態を通して、どのような思考過程を生徒が生み出していくのか深いアプローチのアクティブラーニングに進む必要があると言っています。

☆たしかにそうですが、聖学院の思考力セミナーは、その思考過程を生み出すために、学びのパターンの組み合わせを最適化するのです。そして、学びのパターンという環境ができたら、次に「問い」を投げかけます。

☆いきなりストレートな問いを投げるのではなく、頭のフェイントである問いを投げかけ、発想の転換を起こします。

☆私は発想の転換には8つのタイプがあると仮説を立てていますが、今回のセミナーでは「ルビンの壺」と「木も見て森も見る」という発想術が使われていたと思います。

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☆思考の過程は、自分の記憶の中での内省的な比較とチームのメンバーの考え方との比較、及びデメリットを考えそれを解決するアイデアを生み出す、因果関係の思考過程を基本にしていたようです。

☆そして、そこから、理想の都市づくりの条件をカテゴライズして、自分の考える都市の一部でしょうが、レゴで組み立てていったようです。最後はつくって終わりではなく、このクリエイティブ・プログラムを通じて、気づいたことを150字から200字くらいに文章でまとめる作業をしたようです。

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☆いわば、プロダクトとトリセツを仕上げたということになったのでしょう。受験生にとっては、このプログラムそのものが楽しかったでしょうし、ふだん200字記述など受験勉強でトレーニングすることはあまりすることはないでしょうから、自分がこんなに書けるのかと結構驚いたことでしょう。

☆私が、いろいろなアクティブラーニングの授業を見学しにいったとき、上記の「クリエイティブプログラムの構造」と照合してクリティカルチェックをしますが、聖学院の「思考力セミナー」は、いつも、私の考えと一致します。

☆実はテストというのも、プログラムです。麻布の入試問題のように、クリエイティブプログラムが背景にあるものもあるし、まったくプログラムが成立していない、知識の配列だけの入試問題もあります。

☆教育の質を知りたければ、オープンスクールや体験授業で、クリエイティブプログラムになっているかどうか照合してみることです。そして、同時に入試問題も見ることです。

☆はっきりいって、入試問題がダメな学校の教育の質はやはりダメですね。ですから、思考力入試が作成できる学校は本当にすばらしいのです。多くの学校で、思考力テストを創ることができないと言われているのが現状ですから。

☆思考力テストをやらない学校は、思考力テストを創らないのではなく、創れないというのが本当のところです。

☆ですから、入試問題にこそ教育の質が映し出されているのです。そういう意味で、聖学院の教育の質の高さは、とても価値あるものでなのです。

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