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新たな動き【93】武蔵のルーツ 武蔵が武蔵であり続けるために

☆旧制武蔵高等学校の2代目校長に山川健次郎がいる。山川は白虎隊のメンバーで、2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」では、勝地涼さんが山川役を演じていた。

☆会津藩だったが、なぜか生き延び日本初の理学博士で、東京帝国大学で物理学を教えている姿が「八重の桜」でも演じられた。

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☆この山川博士から長岡半太郎、湯川秀樹と日本の物理学ルーツができるわけでが、とにかく波乱万丈な博士だった。東京帝国大学、京都帝国大学総長、九州帝国大学の初代総長などを歴任するが、明治政府は当時のドイツ流儀の法制度で、軍事的官僚近代国家を形作っていったたため、学問の自由を守るのに奔走し、大きな事件にも巻き込まれる。

☆そのような幾つかの事件の中で透視術を科学的に検証する「千里眼事件」は、山川が日本の科学的思考を決定づけた象徴的事件だった。

☆これは、立花隆著の「天皇と東大 大日本帝国の生と死」に詳しいので、そちらで読んでほしいが、「学問の自由」と「科学的思考」を日本の学問に導入した山川健次郎の功績は、会津藩にとって逆説的だが偉大な誇りなのである。歴史はこれだからやめられない。

☆それはともかく、日本の教育や法律、組織は、東大の初宗理加藤弘之によって、進化論的優勝劣敗主義が本流となり、啓蒙思想の府である≪私学の系譜≫は、以来いつも隅に追いやられることになる。

☆第二次世界大戦後の教育基本法制定によって、≪私学の系譜≫は一時勢いづくが、その後は、細々である。

☆しかし、江原素六、福沢諭吉、新島襄、矢島楫子、山田顕義、そして山川健次郎という私学の第一世代から連綿と続く≪私学の系譜≫は、今も脈々と続いている。

☆そして武蔵がこの中でひときわ光るのは、その精神が科学的合理主義にあるということではないか。実は近代には、合理的普遍法則を見いだす発想があるので、近代科学の双子のもう一人の子どもは啓蒙思想だった。しかし、そのことは忘れられがちだし、どうも近代の精神というと啓蒙思想に偏って考えられがちなのだ。

☆その啓蒙思想は、ニュートンの影響を受けてカントの哲学が構成されたように、近代科学に影響を受けて啓蒙思想が生まれたと言っても過言ではないのだが。

☆いずれにしても、武蔵の生徒やOBがスーパー個性重視主義に見えるのは、この近代科学の合理的思考方法がベースになっているからではないか。武蔵は2022年に100周年を迎えるが、その記念事業の一環として、「武蔵高等学校中学校 理科 ・特別教室棟新築及び改修」が行われるという。

☆なぜか?「武蔵が武蔵であり続けるために!」だそうである。近代日本の科学教育のルーツが武蔵にあるということだろう。透視術という千里眼が蒙昧であることを見破った山川健次郎であったが、その未来へのビジョンの千里眼は、武蔵を武蔵たらしめていくのだろう。

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