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新たな動き【106】 注目!香蘭女学校 知られざるクリエイティブプログラム。

首都圏模試センター「2016年7月統一合判」の志望者数関連データ」によると、香蘭女学校の入試の志望者数の前年対比は、96.3%。毎年4%弱ずつ減少(2014年:399人→2015年:383人→2016年369人)。これは意外だ。横ばいであっても減るはずのない学校。

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☆CS(クリエイティブスコア)をつけていて、ハタと思ったのは、こんなに21世紀型教育を推進しているのに、もしかしたら、いまだ香蘭女学校は英国聖公会の伝統的雰囲気の濃い学校だと思われているのかもしれないと。

☆たしかに、同校の在校生自身が、こう語っている。

「朝、学校に着くと築山の自然が春、夏、秋、冬、とそれぞれ季節ごとに姿を変えて迎えてくれます。特に桜の木は春には花を咲かせ、夏には緑の葉、秋にはその葉が散り、冬はじっと寒さに耐えてしっかりと根を張っています。そんな桜を教室の窓から眺めるだけでも香蘭の四季を楽しむことができます。もしかすると築山の桜が私の四季の基準になっているのかもしれません。築山にある小川もまた、四季を感じることができる一つです。少し寒いな、と思うときにはもう春の準備が始まっています。おたまじゃくしの卵がたくさん池にあるのです。少し暖かくなると卵がかえっておたまじゃくしで池と小川がいっぱいになるんだなぁ、と思いながら池を眺めています。香蘭は自然が身近にある学校だと思います。今まで気に留めていなかった四季折々の自然を毎日感じることができるのも、築山のおかげだと思います。」(中等科2年生:同校サイトから

☆同校がある旗の台は、東急大井町線と東急池上線の交差する旗の台駅があり、同校は中原街道沿いにあるくらいだから、交通はにぎわっている。喧騒の世界に接しているともいってよいかもしれないが、校門をはいると、まるで別世界にワープしたような錯覚におちいる。在校生が語るように、小さき自然があふれている。

☆その自然は、もちろん聖書にもとづいた小さき命のメタファーであろうし、校舎も赤レンガで、ウィリアム・モリスのアーツアンドクラフツ以来のイギリスの伝統的な雰囲気が漂っている。

☆それに同校は創設するときに協力した、カナダからやってきた英国聖公会の聖職者A・C・ショーの息吹もいまだに存在しているかのようだ。ショーは軽井沢を有名にした一人であるが、旧軽の道を歩いていくと奥まったところに、ショーの礼拝堂が、今も建っており、多くの外国人が軽井沢に魅了された雰囲気が伝わってくる。

☆それと共通する雰囲気が旗の台の香蘭のキャンパスにあるのだ。軽井沢といえば、建築家のヴォ―リスやレイモンドのゆかりの避暑地でもある。内村鑑三、新渡戸i稲造の夏のセミナーも頻繁に行われていたようだから、≪私学の系譜≫の空間でもある。

☆石の教会の地下には、内村鑑三記念堂があるが、その教会の建築家は、ケンドリック・ ケロッグ。レイモンドは軽井沢のカトリック教会を設計。両者ともフランク・ロイト・ライトに影響を受けた。

☆そのため、軽井沢の石とか木材というその土地の素材で建築するライトの理念を引き継いでいる。このライトを熱心に研究していたのが、香蘭のキャンパスや施設を設計したあの内井昭藏。内井は他にキリスト教関係の建造物もてがけており、香蘭のキャンパスの雰囲気は、まさに≪私学の系譜≫の空間そのもの。とてもすてきな雰囲気がゆえに、一見すると伝統的に思える。

☆また、聖公会つながりで、米国聖公会の立教大学に80名の推薦入学枠を持っているから、どうしても気品のある伝統校香蘭の熱烈なファン層と同校のMARCH以上の大学合格実績に安心安全を感じる受験生/保護者が選択する傾向にあるのだろう。

☆しかし、この状況だと、中学入試市場におけるエリート校受験者層は微減だから、生徒募集は低迷する。もっとも、応募定員は180名で、首都圏模試だけで369人の志望登録者がいるのだから、当局は全く問題としていないだろう。

☆たしかにそうなのであるが、おせっかいにも言いたいことは、香蘭は今年の中1から全員タブレットを配布していて、かなりイノベーティブなことをやろうとしているのである。

☆全員ということは、1人1台。いわゆるOne to OneでICT教育を行うというのだから、ちょっとおもしろいことが学内で起こっているに違いない。

☆もともと英語には力を入れ、国際交流も盛ん。ここにOne to Oneのタブレットが導入される。当然、アクティブラ・ラーニングは行われるし、B2以上の英語は必至。しかも中3で卒業論文を編集するから、深いアクティブラーニングであることは間違いない。

☆入試問題も、なかなかすてきな思考力型問題が、出題されているから、中高の深い学びが想定されていると理解できる。社会科の問題を見てみよう。

2013年

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☆武蔵や海城でも出題されているような深イイ問題ではないだろうか。しかし、なんといっても「築山」だ。ここが、実は香蘭女学校の21世紀型教育の学びの拠点になると予想できる。

☆というのも、今日本でもSTEM教育(サイエンス・テクノロジー・エンジニアリング・マス教育のこと)の重要性が唱えられている。オバマ政権の教育改革の目玉でもあり、それがようやく日本にも影響を与え始めている。プログラミング教育とか学校に3Dプリンターをという流れはそのシンボルだが、プログラムとしてはもっとダイナミックで繊細である。

☆今夏、日本私立中高連合会や東京私立中高協会でも、STEM教育の研修が行われる。理系のコンテンツをアクティブラーニングで行うプログラムで、デザイン思考的な発想で行うか、ICTを結び付けて行うか、大きく2つに分かれているが、おそらくそれは統合されていくだろう。いや、すでに統合されているだろうが。

☆さて、STEM教育のような理数重視教育は、もともと1957年のスプートニクショックを経験したアメリカが、その頃から各政権が手を変え品を変え、教育政策に盛り込んできた。しかし、ここにきて、アクティブラーニングとICTという手法と結びつくことによって、AIなどの高次コンピュータ領域に飛べるようになったのである(飛べるようにしたいというのが本当のところか)。

☆その導入としてのSTEM教育の入り口のプログラムは、たとえば、身近な公園にフィールドワークに出かけ、徹底的に調査して、その空間の歴史、都市への機能の意義、環境問題などいろいろな気づきを得て、問題を見つけ、解決していくという流れになる。

☆その際、土や草、木、小動物、気温、水質、空気の質など自然環境の分析をし、仮説を立てていくことは重要だ。小動物がいなければ、動物が戻ってくるためにはどうするか、しかも、それは外来種ではなくなどなど、議論は尽きない。

☆香蘭生にとって身近な築山やキャンパスは、未来都市づくりの学びの拠点になる予感がする。それがOne to Oneのタブレット導入の目的ではないだろうか。

☆なぜそんなことがわかるのか?それは簡単だ。学校でタブレットといえば、アップルかマイクロソフトの機種だろう。どちらの会社のものを選ぼうとも、両者は、必ず学びの環境までサポートしてくれる、いやそちらの方がメインだから、STEM教育は彼らの十八番であり、それがあるから学校はタブレットを導入する。たんなるハコモノとしての導入をしないのが学校現場だし、そうさせないのがICT企業のスタンスでもあるからだ。

☆香蘭に限らず、タブレットをOne to Oneで導入している学校はおもしろいことが起きているはずである。その象徴的存在は桜丘であり、そのリーダーは品田先生。おそらく香蘭の教師は、桜丘の開催するセミナーやいろいろなところに招かれて講演している品田先生の話などをリサーチしたのだろう。これも、21世紀型教育の伝播の1つのルーツであるから、推理できることなのである。

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