アクティブラーニングの創り方のメモ(2)バックヤードとタブレット
☆実は、プロジェクトチームがプロトタイプを制作するとき、特にリファインする際に「洞察」というプロセスを経る。この洞察という部分をこそ学校全体でシェアすると、プロトタイプに魂がはいり、また自分なりに創意工夫する意欲がわいてくるから、意欲と自信がわいてくる。
☆そして、再度チャレンジして、また洞察をすることによって、いわゆる創造的自信が先生方の内面に充満してくる。もちろん、ホップ・ステップ・ジャンプのように一足飛びにはいかない。やはりここでも序破急という風姿花伝の奥義は重要だ。
☆この「洞察」という過程は、1人でやっていると悶々としてくる。暗い洞窟の中にはいっていく恐怖を感じる時もあるぐらいだ。だから、たいていは、ワークショップでも研修でも、受講する前と本番は希望に期待に満ちているものだが、終了した途端、楽しかったとか、目からウロコだったとか、何か違うなあとか感じて終わってしまう。生徒も授業終了後の復習というより洞察が必要なのだが、意外とやりっぱなしが多いのに似ている。
☆しかし、終わりは始まりである。おもしろかったののには仕掛けがあるはずだ、目からウロコだったのには理由があるはずだ、違和感のあるところに重要な隠されたヒントがあるはずだと、プログラムを洞察する機会が訪れるのだ。がしかし、1人だと面倒くさいものだ。
☆それで、プロジェクトチームが学習する組織として成長する必要があったのだ。ビジョン共有や自己マスタリーの構成要件は話してきたが、ここでやっとでてくるのがシステム思考。
☆システム思考とは、ロジカルシンキング、クリティカルシンキング、クリエイティブシンキングを行うスパイラルのことをいう。ワークショップを体験したり研修を行ったりしたあと、次に何をやるのか、プログラムを創っていく。
☆事前準備であるが、進捗状況の確認も、振り返りもいっぺんにやる。すると問題が明快に浮かび上がってくる。ここまでくれば、その次のプログラムはこの問題の創造的解決となる。
☆しかし、この進捗状況=事前準備=振り返り=問題発見の共有をミーティングだけで行うのは時間がかかる。だいいちプロジェクトチームで集まる時間など先生方は特に忙しくてできるはずもない。情報共有が大事だなどといっても、リアルスペースで行うのはほぼ無理。
☆そこで、サイバースペースの出番だ。ラップトップかタブレットをメンバー全員が持っていると、実に共有しやすい。議論しやすい。制作しやすい。ミーティングは、たいてい本当にリアルスペースでやらねばならないときだけ30分~1時間ぐらい行うだけだ。
☆私はマイクロソフトを使用しているので、パワーポイントを共有させてもらっている。たたき台を互いにやりとりし、削除×挿入×置換×並べ替え×変換・・・など行っていく。
☆「削除×挿入×置換×並べ替え×変換・・・」は、Wordなどの文書作成ソフトの機能だと思うかもしれないが、これは人間の編集スキルを見える化したもので、思考スキルそのものである。だから、仕事の合間の短い時間に編集活動を行うのは、サイバースペースが最適なのだ。
☆「7分間授業づくり」は、即興的に思考を集中することによって、インスパイア―するインプロ教育や即興劇のマインドをベースにしている。このインプロインスパイアーのトレーニングは、サイバー上のこの「洞察」過程でも行われる。
☆リアルスペースでのミーティング以外は、サイバー上で行うわけだが、使用するツールは対話の深さやマルティメディアの広がりいかんで使い分けしている。
☆グーグールハンドアウトやスカイプは、実質的にはリアルスーペースと変わりがないが、いつでもどこでも対話ができるし、複数人が一度にミーティングができる。資料などもプロジェクターに映し出す必要はなく、たがいに共有しながら対話できる。ただし、どうしても長くなるから、編集内容上、どうしてもやむを得ない時や海外にいてリアルスペースで会えないときに活用するように心がけている。
☆e-mailは情報共有を目的とする場合が多い。ロジカルシンキングはPPTや文書をpdfなどの添付でやりとりする。メッセージやチャットは、情報確認ばかりではなく、実はクリエイティブシンキングで活用している場合が多い。
☆先生方が電車に乗っているときなんかに、ふと閃くのだろう。こんな動画どうですか、こんなテキスト素材としておもしろいのではとか、先日のあれって、こういう意味でもよいのではとか、キーフレーズやキーセンテンスだけの対話で、意外とこれが刺激的である。
☆指示語が多いので、時間的流れのつながりも意識できて、なかなか使い勝手が良い。
☆そして、キーフレーズで物足りなくなると、電車を降りた時点で、電話がかかってくる。イメージの輪郭を明快にしたり広げたりすることが目的。
☆edmodeやそれに準ずるツールは、問いを選択肢にしたり、メンバーの様々なデータ痕跡を蓄積するのに役に立つ。もちろん、ワークショップや研修時にメンバー全員でシェアできるし、事前事後も共有できる。考え方感じ方の変化を見える化するのに活用している。
☆facebookやホンマノオトには、今もそうなのだが、私が気づいたことをアウトプットしておく。先生によっては、これはあのときの話だなとわかるし、新たなアイデアを送ってもらえる機会にもなる。プロジェクトチームメンバーでない先生とも共有でき、その先生からすてきなアイデアのメッセージを頂く時もある。いろいろな学校の先生方が協力してくれるので、オープンソースとまではいかないけれど、語れるところギリギリまでは、公開することは、プラスの相乗効果はあると勝手に思っている。
(バックヤードのシステム思考のスパイラルとプロトタイプづくりのスパイラルは、もちろん結びついている。この有機的連関が学びの魂を生み出すのである)
☆かくして、プロジェクトチームを創っておくというのは、この「洞察」過程を、アクティブラーニングを創る際のバックヤードとして形成するのに重要な役割を果たすのである。
☆アクティブラーニングのみならず、あらゆる創出過程には、このバックヤードのシステム思考のスパイラルを創っておくことは重要で、プロジェクトチームでなければ、このバックヤードを運営することは労働法規上難しいということもあるのである。
| 固定リンク
「アクティブラーニング」カテゴリの記事
- アクティブラーニングの創り方のメモ(5)子どもの知(2016.08.17)
- アクティブラーニングの創り方のメモ(4)応用・適用と創造性と創造的思考(2016.08.16)
- アクティブラーニングの創り方のメモ(3)本当に深いアックティブラーニングとは?(2016.08.15)
- アクティブラーニングの創り方のメモ(2)バックヤードとタブレット(2016.08.15)
- アクティブラーニングの創り方のメモ(1)プロトタイプとリファインが基本(2016.08.14)
最近のコメント