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富士見丘 シリコンバレー流教育手法 デザイン思考×STEM(4)

☆クロージングセレモニーで、シェリー・ゴールドマン教授は、「デザイン思考とSTEM教育」というテーマで講演した。といっても抽象的な話をするというより、この富士見丘ウィークで実践してきた女子生徒によるSTEM領域のデザイン思考、70名以上の教育関係者が受講したデザイン思考のワークショップの2つの体験事例を通して、デザイン思考理論の一端を語ったのだった。

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(クロージングセレモニーの第1部は、講演中心。第2部は女子生徒によるポスター発表会。生徒たちは、第1部のいわば理論編から立ち会っていた。)

☆今回の富士見丘ウィークのワークショップでは、デザイン思考を女子生徒に適用してみるというチャレンジが行われていた。シェリー・ゴールドマン教授は、OECDのデータを例にあげて、日本のSTEM(Science, Technology, Engineering, Math)領域での女子労働人口は、14%に過ぎず、先進諸国と比較して非常に少ないことを指摘。

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☆予測できない未来にあって、多様な問題に遭遇したときにSTEM領域の21世紀型スキルであるデザイン思考は有用であるから、日本の多くの女子生徒に身に付けてほしいというメッセージを語ったわけである。

☆前回本ブログで紹介したトム・ケリー氏に代表されるように、デザイン思考提唱者には、すべての人間はクリエイティブであるという信念がある。だから、その才能を発揮する機会を広めることがミッション。

☆問題を見つけては、1つひとつ解決していくプラグマティックなやり方がデザイン思考そのもの実存的な活動である。だから、女性のSTEM領域での活躍シェアが低い日本では、まずそこから手をつけようということだろう。

☆もともとSTEM教育は、オバマ大統領の教育政策であり、直接的な経済政策でもある。STEM領域の労働者不足が、当初は700万人とも言われ、政策が実行されてからは、その発表人数は50万人ぐらいになっているが、いずれにしても、仕事がないから失業率が増えるのではなく、20世紀型教育では追いつかない仕事が増えたことが大きな要因だと認識しているのだろう。だから、その問題解決デザインとして、21世紀型スキルを必要とする仕事に直結する教育をということなのであろう。京大の溝上先生などは、それをトランジッションなどと表現している。

☆そして、日本における2020年の大学入試改革も、同じ発想なのだが、どうも教育現場では、経済ということに関しては、マスクがかかり、教育の本質論としてどうなのかというような神学論争になりがちだが、3Dプリンター、プログラミング教育、アクティブラーニングなどは、すべてオバマ政権の教育×経済政策に結びついている。

☆こういうと、日本では、米国の影響を受けていることに対して、批判が起こるが、それでは、アベノミクスで集大成された20世紀型GDP神話の払しょくにはならない。オバマ政権が挑んでいる教育×経済政策は、新しい資本主義の模索とそれを支える知とは何かというコンセプトが根っこにあることを見落としてはならないのである。

☆それが何かまだまだ全貌は見えないが、この見えないといういまここに未来があるというのがシェリー・ゴールドマン教授の考え方。

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☆つまり、批判していても何も変わらない。20世紀型教育×経済政策は、歴史的な役割は終わったのだから、21世紀型教育×経済政策の制度設計をいまここでデザインすることを始めましょうよということなのである。

☆日本とアメリカは違うと言っても、グローバルな歴史から俯瞰すれば、日本は近代の仲間入りをいち早く果たしているから、その枠組みをどう変えていくのか協力せざるを得ない。

☆ゴールドマン教授らから見れば、何をそんなに抵抗しているのかわからないということだと思う。しかし、その抵抗が問題であり、近代国家の仲間入りを果たしている日本という国自体は、それを乗り越えるニーズを抱えているわけであるから、ここはデザイン思考の出番だというのである。

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☆いずれにしても、21世紀型教育において、予め与えられた知識を学ぶだけでは、予想不能な問題に遭遇したときに役に立たない。子どもたち自身が、自分の手で、新しい問題解決の知識を創出しなければならない状況がいまここだ。

☆知識を伝達するだけが教育ではなく、問題解決のプロトタイプを仲間と共感しながら第二の脳である指で創りながら、学んでいく多様なループが新しい教育環境。それには、教師が設定した問題からではなく、リアルな世界の実際の問題、実際の生活者の問題から出発するのが肝心。

☆すでに存在しているものを超えて、新しい問題解決のプロトタイプをつくっては、リファインしていく学びのプロセスそのものがデザイン思考なのだと。

☆今飛ばなくて、いつ飛ぶんですかと静かな情熱でシェリー・ゴールドマン教授は、私たちに語りかけてくれた。

☆そうそう、教授は、STEM教育にARTをプラスして、STEAM教育という表現もしていた。まさに富士見丘にそのまま適用できる教育。富士見丘ウィークが実施されたのには、なるほどはじめに共感ありきだったのかと感じ入った。

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