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第三の学校選択へシフト(3)新しい基準完成へ

☆2014年以降、21世紀型教育を標榜している三田国際学園、聖学院、工学院の生徒募集戦略が成功を収め、注目を浴びた。その勢いはとどまるところを知らない。

☆たしかに、2020年大学入試改革に伴う学習指導要領におけるアクティブラーニングも目玉商品のように売れたということもある。しかし、この躍進の本当の理由はもっと世界同時的な時代の精神の息吹をキャッチできたかどうかにある。

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アメリカのオバマ政権のSTEM教育政策、ドイツのインダストリー4.0という第4次産業革命推進などは、AIを中心とするシンギュラリティ―を目前に、高等教育の学問と先進産業の雇用のミスマッチが起こるという危機感に対応するもだが、同じことがイギリス、シンガポールで起こっている。

☆いずれも世界大学ランキング100位以内の大学が雌雄を決している国々の動きだ。もっともドイツの大学がこのようなランキングの枠組みに収まるかどうかはわからない。もっと突き抜けているような気がするが。

☆それはともかく、インドや中国もこの流れを猛追している。日本はどうかというと、いまだに、2020年大学入試改革や学習指導要領改訂を歓迎しない保守的な力も根強い。

☆しかし、ミレニアル世代の保護者、特に1990年創設のSFC卒業生である保護者は、このようなイノベーティブな流れを実際に仕事の現場で感じている。だから、彼らの仕事場の感覚とギャップがある日本の大学に危惧を感じないわけにはいかない。

☆当然、東大型知でよいわけがないと感じている。できれば、シリコンバレーのイノベーションに象徴されるスタンフォード型知を学べる環境が欲しい。

☆21世紀型教育は、そこを目標にできる学びの場であるということを敏感に感じる層が顕れた。この気づきは、受験生の保護者ばかりでなく、従来20世紀型教育を行っていたと思っていたというより、20世紀とか21世紀とか意識してこなかった学校に、21世紀型教育をやってきたと気づかせるようになった。

☆そして、そのような学校が、東大型知を目標とするのか、スタンフォード型知を目標とするのかで、さらに分かれるところまできた。

☆実は、第4次産業革命を支える知はすでにIB(国際バカロレア)にあるし、その革命を意識してOECD/PISAが実施されている。この二つが、思考力の次元を明快に分ける基準を作っているのだが、そのベースはブルームのタキソノミーである。

☆ブルームのタキソノミーはバリエーションがたくさんあるが、低次思考として「知識→理解→応用」という3段階を設定し、高次思考として「分析→評価↔創造」という上位の3段階を設定しているというのは世界標準。分析なのか論理なのか、評価なのか批判なのかは諸説ありだが、低次思考と高次思考の段階は世界では広く意識されている。

☆そして、高次思考を学びの環境に導入するや、対話やディスカッションは必須で、おのずとアクティブラーニングはやらざるを得なくなる。

☆ところが、学習指導要領の改訂において、文科省は、この低次思考と高次思考の差異を認識しているにもかかわらず、前面に出さないから、21世紀型教育をやる意欲があっても、低次思考=知識論理型知を目標にするのでよいのだという発想が残ってしまう。

☆かくして、上記の座標軸のような「第三の学校選択」座標が創出されたのである。

☆「英語入試」「思考力入試」という中学入試のイノベーションもあり、偏差値の高低にかかわわらず、「A」領域で学べる機会が生まれたのである。

☆これによって、スタンフォード知ベースの21世紀型教育と東大知ベースの21世紀型教育の差異が明快になったのである。こうなってくると、20世紀型教育でよいのだという構えは居直りにも見えてくるのは私だけだろうか。

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