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アクティブラーニングの創り方のメモ(5)子どもの知

☆アクティブラーニングを学習理論の背景や思考コードという基準で見てきたが、やはり何と言っても、子どもの知(知性と感性と身体)の発達段階をどうとらえるのかという切り口から見てみよう。

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☆戦後1989年までは、日本の子どもたちは、①の知の在り方でよかった。その中で解き方を丸暗記するだけではなく、解き方を考えることができれば、いわゆる思考力がある子ども(タイプ②)だと考えられてきた。

☆しかし、これは戦後からベルリンの壁が崩壊するまでは、国家主導の政治経済政策の枠組みの中で、高度経済成長を支える知を育ててればよく、それは解答が明快な予定調和のシステムだった。この中で椅子取りゲームの勝ち組になればよかったわけだ。

☆しかし、同時にベルリンの壁崩壊に向かって大きな国家主導の物語りは消失する道も歩んでいた。臨教審で個性の重視政策をとったから、物語が崩壊したわけではなく、物語の崩壊が見えていたから、それに対応するために、個人の生きる技術を高めなければならなかった。

☆共同体の空洞化した個人主義に対する批判もあったが、私事の自己決定こそが法実証主義の制度デザインでも正当化されるようになる。この私事の自己決定を巡って、啓蒙思想的発想でとらえるのかやはり法実証主義的にとらえるかは、≪私学の系譜≫と≪官学の系譜≫の水面下の葛藤が行われるようにもなった。

☆1986年以降、中学受験熱が全国に広まったのは、戦後の準富裕層の資本の蓄積が整いはじめ、この層は、選択判断や意志を、国によって決められるのではなく、自己決定したいわけだ。だから、この自由度の高い拠点を求めて動くようになった。子どもの学校選択も同様だ。そして、この世界的な動きがグローバリゼーションンにシフトしたのは説明する必要はないだろう。

☆しかし、この動きはたんなんる中学受験の出来事ではなく、その背景にはそのような大きなグローバリゼーションにつながっていることに気づいた文科省は、公立中高一貫校など開設のための教育関連法規を改正しながら、着々と進めるようになった。

☆こうなってくると、この私事の自己決定を≪私学の系譜≫理論で組み立てるのか、≪官学の系譜≫理論で組み立てるのか、葛藤が起こる。

☆それが私立中学受験のフリーズを招いたり、ここ数年21世紀型教育市場の創設で再び私立中学受験が新しい地平に進もうとしいる流れに関係している。

☆しかしながら、文科省は小学校段階中学校段階で創造的思考を育成するカリキュラムを造れないでいる。学校教育法をまた改正しなければならなくなる。だから、せいぜい「学習の過程を経た創造的思考」などとお茶をにごしている。

☆思いつきなど創造的ではないのだと。しかしながら、その思いつきこそが感性の身体の躍動の突破口である。ここから出発するクリエイティブラーニングを積極的につくらねば、私事の自己決定は本当にはできないのだ。

☆しかもそれはリバタリアンではなく、MFO(mann for others)マインドセットでという≪私学の系譜≫理論でいかなくては、グローバルな世界でリーダーシップを発揮できない。公立学校は、MFOマインドセットは表面的には憲法で制限されているし。

☆①のタイプの子どもも、②のタイプの子どももしかし、学びのパターンを複雑系にすれば、③や④の対応に成長する子どももでてくる。

☆ただし、パターンの組み合わせと子どもの知の在り方のマッチングはまだまだ研究されていないから、成長する子どももいるけれど、成長しない子供もいる。

☆種に肥料や水、光などの条件を最適化するかのような学びのイメージはわるくはない。それに、これが今のアクティブラーニングのイメージでもあろう。

☆しかし、やはり両方だ。条件をいかに整えるかボトムアップ的に研究すると同時に、なぜ伸びるのかトップダウン的に理論化するという両方のベクトルが必要である。もちろん、トップダウン的な理論化も今世の中にあるわけではない。

☆しかし、少子高齢化で、子ども1人ひとりのクリエイティビティを開花させるには、学びのパターンやスタイルをデザインするだけではなく、創造的思考そのものを育成する理論も追求する必要がある。あまり時間がないからでもある。この切迫感があるかどうかは重要である。未来はいまここにあるのだと認識できるかどうか。

☆まず国家ありきではない。まず世界の中の私ありきなのである。その自分軸から国家をどのように再構築するのか。そのビジョンが子どもたちが自ら未来をデザインすることにつながる。

☆戦後から1989年までの知の在り方にFixed Mindsetさせ続けることは、もはや子どもの生きる権利を侵害することになるくらいの話なのかもしれない。しかし、これは一般に教育の世界ではまだまだタブーの領域だろう。だが、Fixed Mindsetのままだと、確実にユデガエルになる。

☆だから、ものいう保護者や受験生の見識は重要になる。そのタブーを払しょくしる新しい学びの拠点はどこか。ユデガエルにならない環境はどこか。すべての子どもがタイプ④の知の在り方に成長できる学びの環境と理論を研究している学校はどこなのか。

☆2020年の大学入試改革に対応するというのは、本当はこのような受験生の保護者の知の多様性に対応できるかどうか。つまりこの保護者こそ世界の最前線に位置する地球市民であるということに、気づけるかどうかである。

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