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海陽 4年生論集「刻」から見える教育の質の高さ(3)

☆海陽の平成26年度の論集「刻」に掲載されている論文のその多くは「制度設計」に関するテーマのものである。もちろん、心理学的な考察や社会学的な考察のものもあるが、この傾向は、この学年のものであるか、どうかまではわからないが、26年度に限っては、おもしろい傾向であると思う。

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☆最優秀賞「浜松市における日経ブラジル人子女教育」や優秀賞の4編「選挙制度のこれから」「平家は貴族となったか」「Twitterでの情報拡散」「日本と原子力発電」などは、いずれも「制度設計」の切り口で論じられている。

☆基本的には、自分の体験や身近な存在から、常識となっている知識に疑問をもち、文献サーチしたり、インタビューやフィールドワークをして解答を探していくうちに、ある仮説が立ち、それを再び文献やインタビューなどで根拠を見いだしていく。

☆そして、問題の発見とその問題の背景にある歴史的経済的政治的制度の設計の欠陥を明らかにしていく。そこまで詰めて、その問題を解決するためのグランドデザインを提案するという思考様式で組み立てられているものが多い。「参考・引用文献」リストも圧巻。とにかく、多角的かつ多次元的な問いが生まれて来るその洞察力に感動してしまう。

☆掲載論文の中には「海陽発展論」という興味深い作品もある。日本の学校に類例を見ない「ハウス」(寮)の制度の活かし方によって、建学の精神のさらなる広がりが見えるという、海陽を通して日本の教育制度に一石を投じる論である。「将来の日本を牽引する、明るく希望に満ちた人材の育成」という建学の精神ここにありといわんばかりの秀作である。

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(未来の人材が学び合い、寝食を共にしているハウス)

☆一方で、心理学的なものや社会学的なものは、もちろんその背景にある歴史や制度的なものを把握してもいるが、どちらかというと制度がどうあれ、解決し難い人間の根源的な存在にぶちあたるので、そこへの深い洞察こそが重要で、どう解決するかは読み手にまかされる。

☆たとえば、『本当に「ディスる」でいいんですか?』というネットスラングを考察する論文などは、一見すると制度論なのだが、ジャン・ジャック・ルソーの「言語起原論」に発する伝統的なフランス言語社会学のアカデミックな論争「パロールかラングか」といういまだに決着のつかない論点にたどりついている。

☆言葉を機能的な側面でとらえていくのか、心や情緒的な側面でとらえていくのか、芸術的な側面でとらえていくのか。仮に統合しようとしても、それはいかにして可能なのか。メビウスの環のごとく、無限に問いが生まれてくる発想の泉そのものが提示されている。

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☆どうやら、論文のテーマ選択は、海陽学園の人材育成の間口の広さと奥行きの深さを示唆しているといえるのかもしれない。

☆制度設計論の延長上には、日本の伝統・文化に立脚し、国際社会で活躍できる人材が輩出されている希望が見えるし、心理学や社会学的考察の延長上には、学問の楽しさを知る教養豊かな人材が誕生している未来が輝いている。

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