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10・10首都圏模試センター保護者会レジュメ(6)

☆問題を解決するには、知識やその応用、論理、批判、創造が必要であることは間違いないが、見える知識から出発するものばかりでない。だからまずは見えないものに気づく「発想術」が大事。中学入試では、8つの発想術のうちの1つである「ルビンの壺」で解決の糸口を見つけることができるものが多い。

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(ルビンの壺:壺が図としてみえているとき、背景の地はただ黒いだけだが、その地が2人の向かい合っている横顔として「図」に転換するとき、壺は図から白い「地」に転換する。ものごとは「図」と「地」の両義性が転換しあっているというケースがほとんど)

☆有名な「ルビンの壺」は、見えるものと見えないものの相互転換に気づくことの重要なヒント。次の2014年度慶応中等部の幾何の問題も「ルビンの壺」に気づくことがポイント。

1☆グレーの部分の面積を求めるにはいかにしたらよいのかという問題。中学受験生の正答率は50%ぐらい(慶応中等部に合格する受験生の正答率は90%以上)だから、ああ、やったことがある問題だと、あまり考えないで解法パターンを呼び覚まして解決してしまえばよいと思う受験生も多い。

☆しかし、残り50%の生徒にとっては、難しい。円の面積は求められるし、扇形の面積も求められる。しかし、グレーの部分は円でも扇形でもない。解いたことがなければ、解法パターンを呼び覚ませないどうしよう。。。

☆そういう場合は、円とは何だったか、あるいは円とは何であるか考えてみる。そのときルビンの壺発想を使うのだ。円というと「図」の部分は円周。しかし、その円周が描けるとはどういうことか?中心から同じ距離の点の軌跡というところを「図」としてみようと気づけばよいわけだ。

☆そんな大げさな、円といえば、半径、直径、中心、円周と覚えておけばよいだけだ。それは見える部分の話であって、その見える部分に転換する前のことをちょっと考える瞬間があってもよいのではないかということ。その瞬間、「ルビンの壺」と同じような発想の転換が起きえちるはずなのだ。

☆この体験はあとあと効き目がでてくる。この問題が出来る生徒は、ここまでの話は、すでにショートカットできているから、よいのだが、この問題が出来ない場合、解法パターンを憶える前に、ちょっと発想転換の体験をしておくと、やる気マインドセットもできるかもしれないし、良いこと尽くめ。

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☆中心から同じ距離だからとするか半径だからとするかは、同じことなのだけれど、ここでは発想を大事にしたいなあということ。いずれにしても、上記のように見えてくるわけだ。

3☆この15°の三角形の面積を求めれば、扇形からそれを引き算すればよいから、上記の図のように、高さをもとめようとするのは、おそらくこの解法パターンは受験生なら自動化しているだろう。「外角」を求めるのパターンも引き出せるはずだ。

☆もちろん、ここも「ルビンの壺」に気づく必要のある生徒もいるかもしれない。この時期そうだとしても、焦らずにその発想転換体験をしたほうがよい。

☆知識と思考はよく、暗記と思考という対比で違うものと認識されがちだが、知識は思考のパターンンのインデックスであり、普段はパターン化された思考は暗黙知としてショートカットされているだけだ。

☆だから、発想体験をすっとばすと、空っぽのフォルダーのインデックスになり、役に立たないのである。知識を活用するには、インデックスでたどりついたファイルを開いたときに、そこに思考の発想が収められていなければならない。

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☆かくして、ブルーの三角形を扇形から引き算すればグレーの部分の面積はでる。ウダウダ書いたけれどこの問題を正解する50%の生徒は、以上の思考の流れをショートカットして2分くらいで解決してしまう。

☆思考と知識とは、プロセスとそのショートカットの関係であり、分断できない。そして、プロセスが複雑でショートカットするのに時間がかかればかかるほど、正答率が低くなっていくのである。当然といえば当然であるが。

A2
☆そういうわけで、この慶応中等部の問題は、思考コードで言えば「A2思考力」となるのである。A2思考力は、ショートカットされた解法パターンを3つ程度使うので、計算ミスもしやすいということになる。しかも、そのうち一つでもショートカット化ができていない生徒にとっては、プロセスを開くことになるから、時間内に終わらないということもあろう。

☆中学受験勉強とは、知識の丸暗記ではなく、思考というプロセスをショートカット化することである。偏差値は、その区別を測ることを目的としていない。だから「思考コード」という知識の質を測定する指標が重要になってくるのである。

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