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2017中学入試動向(16) 香里ヌヴェール学院中学

☆大阪聖母女学院中学校は、来春から「香里ヌヴェール学院」と名称を変更し、共学化する。そして、ソフトパワーは、21世紀型教育を導入する。大きな改革に挑んでいる。

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(今のところ小学校と中高に、同じアクティブラーニングスペースが1ヶ所ずつつくられている。窓側以外は、3つの壁は上から下まで大ホワイトボードになっている)

☆21世紀型教育改革の大きな柱は、授業の改革。アクティブラーニングの活用だ。つまりカリキュラムポリシーの中に、対話と思考の深い学びの環境を位置づける。

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(1人ひとりが自己沈潜する時間も大切にされている)

☆こうなってくると、入試問題も改革せざるを得ない。昔から入試問題は学校の顔と言われている。最近では、アドミッションポリシーと呼ばれている。入試問題には、その学校がどのような教育を行うのか重要なメッセージが埋め込まれているから、そのメッセージを共有して受験生は、その学校に入学してくる。

☆中学入試から、実はキャリアデザインは始まっている。それゆえ、学校選択は重要なのである。たとえば、2科4科の入試は、知識という基礎基本をきちんと教えるよというメッセージが入っている。

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(変幻自在な空間変容とその時空の媒介が対話を深め広げていく)

☆2科4科の入試問題の中には、麻布や武蔵のように、50%以上論述問題を出題する学校があるが、そういうところは、知識を活用する論理的思考やそこから創造的な思考を膨らます教育をやっているよ。いっしょに考える世界を創り上げていこうよというメッセージがおくられている。

☆しかし、それでも50%ぐらいは知識を記憶していないと合格できない問題が出題されるわけだ。ところが、21世紀型教育は、その逆も認める。知識記憶から創造的思考に飛ぶiのも当然よいし、創造的思考をごちゃごちゃ巡らしているケイオスの中からあるビジョンがみえてきて、そのビジョンを実現するためには、知識を調べたり、あるときは新しい知識を主体的に対話しながら創り上げていくということもありだ。

☆だから、21世紀型教育を推進している学校は、知識から創造へという2科4科以外に創造から知識へという思考力テストの両方を準備する。

☆20世紀型教育学校は、後者の学びが得意な子は、入試の段階では門前払いだったのだが、21世紀型教育は、≪higher order thinking≫のチャンスをどちらの傾向を持っている受験生にも機会を開いている。

☆香里ヌヴェール学院も同様だ。それゆえ、アクティブラーニングスペースで、「思考力テスト」のコンセプトを組み立て、実際に体験授業のワークシートをつくり、実際にセミナーを実施しては、リファイン(精査/再編集)していく。その過程で、コンセプトも進化していく。

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☆先日ちょっと立ち会わせていただいたときには、思考力テストやセミナーで行われる子どもたちのコミュニケーションについてディスカッションされていた。

☆それぞれものの見方や考え方が違うことをリスペクトし、多面的な思考の創造物をつくりあげ、シェアしていくには、会話と対話の機能を使い分けたり統合しなければならないという深イイ議論が続いた。

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☆このミーティング自体が、メンバーが集まったときの想いやものの見方が変わり、新たなアイデアが生まれてくる対話の過程であり、学習する組織そのものであり、アクティブラーニングのベースであり、思考力テストの問いの生態系である。

☆そういう転換という置き換えができる教師陣は実に創造チームではあるまいか。

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(ヌヴェールの長い廊下を歩きながらの対話は、創造的思考に刺激を与える。)

☆ミーティング終了後、帰途につくため、アクティブラーニングスペースから正面玄関まで、先生方と長い廊下を歩いていたとき、1人の先生に「本間さん組織といったとき、ルーマンの組織論はどうなんですか」と尋ねられた。

☆オッと思ったが、そのときは、システム社会論は直接は関係ないと思いますと回答した。

☆しかし、ミーティングの中で、自然と社会と精神の循環論がでていたから、この循環をハーバーマス的に考えるのか、ルーマン的に考えるのかは、極めて重要。

☆もっとも、ルーマンが影響を受けたパーソンズの社会学に内包されているゆらぎという偶然性の中から秩序が生まれて来るという自生システム論は、システムダイナミクス論につながっているだろうし、学習する組織を推進しているピーター・センゲのシステム思考にも通じるだろう。

☆私がセンゲを持ち出すのは、心理学的アプローチのシステム理論だからに過ぎない。学校に社会学理論を持ち込むのは、私の役目ではないと思っている。

☆もちろん、学校以外では、社会学的立ち位置で話すことも多い。それが受験市場の仲間(相手は仲間だと思っていないだろうが)を怒らせてしまう理由でもある(汗)。

☆であるから、最近は、学校の先生と対話するときは、ハーバーマスやルーマンは背景においておくことにしている。

☆しかし、そんなことを思いめぐらす刺激を投げかける見識を持っている先生がヌヴェールにはいるのだ。改革ができるかどうか、成就するかどうかは、結局教科を超えた見識を有している教師の存在にかかっているということかもしれない。

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