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海陽 寮で育つ本物のリーダーシップ

☆海陽学園を訪れたときに、かつてとあるセミナーでお会いしたことのある濱田先生と再会することができた。先生は、現在英語の教師であると同時に、ハウス(同学園では寮のことをこう呼ぶ)マスターもされ、24時間生徒の生活と学びの両方を見守っている。

☆両方を経験する教師というのは、現在の日本の学校では、かなりの希少価値だ。したがって、自然と、生徒にとって昼間の学校とハウスの関係性についての話しになっていった。

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☆濱田先生は、寮生活は、規則で縛られているわけでも、自由放任というわけでもなく、社会にでたときに、自分の力で他者を巻き込みながら自由と規制を調整して生きていく言動をセルフマネジメントしていける土台であると語る。

☆「自由と規律」のマネジメント。これは古典的なリーダーシップ論であるかのようにみえるが、今でも解決のできないメビウスの環のような問題である。

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☆今も、政治経済の問題は、政府や日銀の金利のコントロールや為替介入などに関係する発言でもわかるように、まさに「自由と規制」の均衡点をめぐる問題だし、化石燃料の価格の決定も同様だ。そして9・11から決定的に始まっている世界の新たなカタチの紛争や闘争も、誰にとっての「自由と規制」なのか、国連でも問題解決ができていない。

☆そんな世界の大問題の解決方法のヒントが、ハウスの日々の生活の中にあるのだと濱田先生は語る。

☆シャワールームの清掃1つとっても、きちんと清掃がなされていなかったという振り返りが生徒からでてくると、フロアーマスター(FM:海陽を支援する幾つかの企業が将来のリーダー育成の一環として若い人材をハウスに協力者として送り出している。同学園の設立当初からデザインされた制度)は、こんなふうにフィードバックするという。

「清掃するかどうかは、決まりに従うか従わないかという問題なのか、それとも後で活用する他者が、もしかしたら今度は自分が使うかもしれないが、そのときに心地よく使えるかどうかイメージして、その結果清掃するという行為が生まれてくるのか」

☆ハウスマスターである濱田先生は、この一見日常生活の小さなやりとりの中にこそ、リーダーシップが育つ過程があると言う。

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☆ここには、清掃するしないという自由と清掃すべきであるという規律があり、自由と規律の葛藤が存在している。この葛藤を、生徒とFMが対話して、だんだん互いが心地よく暮らすという欲望を達成するためには、どうしたらよいのか深く考えるようになるという。

☆そして、それを乗り越えた自分こそ「自由」を手に入れたということに気づくのであると。

☆もちろん、そこにたどりつく道のりはそう簡単ではない。生徒とFMとハウスマスターの3者による対話は幾重も繰り返される。濱田先生によると、この過程を経験できない、一般の中高生は、どうやってこの葛藤を乗り越え、自由と規律の均衡を自ら意思決定できるようになるのだろうと、ふと日本の教育の危うさを感じてしまうほど、強烈な体験が寮生活にはあるのだということだ。

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☆そして、これが全寮制学校においてさらに重要なことがあるという。それは、生徒は昼間の授業の合間に図書館を活用するが、そこで、生徒は、一定期間テーマごとにディスプレイされている図書コーナーに出遭う。

☆この間は、「哲学」がテーマで、ホッブス、ルソー、ヘーゲルなどの啓蒙思想家の「自由観」が比較されている記事が掲示してあった。

☆濱田先生は、その記事について、ハウスで生徒と語り合ったり、保護者と寮生活を共有するために発刊している「ハウスだより」でいっしょに考えてみようと、ヘーゲルの自由と規律の捉え方と寮生活を重ね合わせてみせるという。

☆また、授業で神戸大学の英語入試問題を取り扱ったとき、スタンフォード大学のケリー・マクゴナガル教授の「意志力」という英文を生徒と理解し合うことになった。そこには、日常の些細な言動を最適化することで、「自制心」が養わるという箇所がでてきた。すかさず、寮生活にそういうチャンスがたくさんあることを語り合い、入試問題の中に寮生活の体験をつなげて考えてみたということだ。当然理解は深まる。

☆今年の京大の特色入試でも、「自由」について論述する問題が出題されていたから、いずれそれも生徒と論じ合いたいと。

☆図書館、授業、寮生活の体験が一つにつながったとき、学びの場の理解が社会において活用できるマインドにシフトできるという。つまり、葛藤をどう乗り越えればよいか考えて、実行できるよういになるのだ。

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☆濱田先生は、考えて終わるだけでなく、やり抜く力を意味するGRITを、最後まで見守り支援できることがハウスの重要な役割だとも語る。

☆グローバルイシューを本当に解決できるリーダーは、まず世界の痛みのイメージを共有できる感性が要求されるが、その感性は観念的に生まれてくることはあり得ない。体験の積み重ねの中ではじめて生まれてくるのだろう。

☆ハウスマスターと教師の両立を行うという濱田先生の強烈な教師の生き様。それは本物の世界のリーダーを生み出す生き様でもある。

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