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未来の名門校【03】 工学院 データサイエンスで教育の質保証 日本初

☆三田国際もそうだったが、未来の名門校は教育の質保証をデータエビデンスで検証し、改善していけるシステム思考が存在しなければならない。そのデータエビデンスを表出するには、実はメタデータの構築が重要。

☆三田国際の場合は、メタデータのシステムづくりの一環としてメタルーブリックができているが、工学院は思考コードができていて、そのデータシステムの仕組みまでできつつある。両校が未来の名門校としてよき競合関係を創っていくことを期待している。

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(データサイエンス思考で教育の質を持続可能にしている仕掛けを同僚といっしょに創っている教務主任の太田先生)

☆さて、この間、工学院の教務主任太田先生と多肢にわたる研修プログラムの企画運営について対話をしているのだが、こんなメールのやり取りをしている。おそらく中身については、メタデータの必要性を感じていないとわからないと思うが、21世紀型教育を目指す学校が増えてきたので、その同志と共有したい。もちろん、太田先生から公開することのお許しはいただいている。

本間先生

土曜日はありがとうございました。

10月の全体会の集計と、6月の集計をし直してみました。
また、項目を刷新したコーチングシートも作ってみました。

水曜のリーダーズ研修の最後に少し話をさせていただければと考えています。

太田先生

土曜日は本当にありがとうございました。

具体化と比較は、やはりどの教科も使いますね。
「置き換え」は、使っているけれど、もしかしたらチェックしている時に「具体化」に流れているのかもしれません。
「矛盾・逆説」はいずれも少ないですね。学年と教科性によるのでしょう。
国語と社会のPBLでは、高くなるのではと予想します。

CLILやSTEAMをやれば、やがて当然生徒は自ら問題を設定してくことになります。
そのとき、矛盾や逆説の視点が重要になるし、創造的問題解決に飛ぶには「置き換え」がポイントになるでしょう。
成長段階に拠っても思考スキルの濃淡は変わってくるということでしょう。

授業形態も、教科の特性があるのかもしれません。単元にももちろんよりますが、平均したら
こんな感じになるかもしれません。

やはり統計をとっていくと、いろいろなことが見えますね。
これと定期テストが紐ずくととてつもないことが起きます!

iTeamキャッチアップチームにも、これをいれることができます。
これがはいってくると、太田先生のオリジナルプログラムになります。
統計学的な正当性・信頼性・妥当性の部分をおさえる必要はありますが、太田先生は
外でレクチャーワークショップを行うことができますね。

さて、水曜日は、思考コードを活用するので、その流れの中で、太田先生にも説明をしていただくように
プログラムを再デザインします。その方が太田先生と岡部先生も一体となってiTeamの研修をつくっているという
雰囲気がでます。
MCは、いつものように私がやるので、出番の時に声をかけます。

それでよろしいですか?

本間先生

思考コードでまとめっていくと同時に、それを展開していく方向でいろいろと考えていくことになり、とても楽しく考えさせていただいております。

統計学的な有意性、有意差はサンプル的には1回につき40サンプル程度なので、12月のものを含めて調べていこうと思います。

少なくとも、授業形態と、思考コードがリンクしていることが「見える化」(抽象➝具体)できている気がするので、何とかしっかりと繋げていきたいと思います。

また、チェックシートの項目についても、6ステップにしつつも、現在の内容は入ってくると思うので、どのように表現するか悩み始めています。

当日の進行については、お任せいたします。

よろしくお願いいたします。

太田先生

サンプルを集めることの重要さですね。今太田先生がやっていることは
質的リサーチの手法です。定性的な結果をだすためのリサーチですね。
もちろん統計技術は量的リサーチの手法で定量的結果だすための技術を活用しますが、ベースは質的リサーチです。アクティブラーニング手法に移行する時、今までの評価ではなくという話がよくでますが、それは量的リサーチと質的リサーチの併用に移行すると置き換えたほうが正しいかもしれません。

欧米ではテスト測定学とか評価測定学が充実しているので、「評価」の背景にはこういう学問があります。
日本の教育では、ずっと簡易定量リサーチで評価がつけられてきたので、そこが見ええません。

iTeamでも、そこはあとからわかるようになるという段取りでやってきたのですが、太田先生がはやくもそこに到達してしまいました。さすがです。

教育の評価測定は、教育心理学でもやっているので、質的リサーチで収集したデータ解釈は田中先生が得意かもしれません。

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(田中先生はCLILや全国私学の英語研修のリーダー。写真は英語でいかに哲学授業をやるのか勉強会をやっているシーン。もちろんオールイングリッシュ)

そして加藤先生のマクロ―メゾ―ミクロの視点で広報アウトプットに編集していくプロデュース力。3者の力が合力になれば工学院の教育は最強です。

さて、ここまできたので、思考コードの基礎原理について少し話します。

実はコード体系はツリー構造にするとすぐに破たんします。
ですからセミラティス構造で考えていきます。

添付のように
授業形態
思考次元
思考活動
思考視点
のように仮に名付けをして
階層構造にしますが、それぞれの階層がツリー構造でなく、ハイパーテキスト風に、つまりセミラティス風に自在にリンクします。

教員研修全体ではこれをすべて表現すると混乱してしまうので、ある程度取捨選択をして汎用性あるツリー構造に簡易化することになるでしょう。

太田先生が悩んでいるのは、ツリー構造では分類がうまくういかないので、マトリックスあるいはセミラティス構造にしたいところだが、それだと無限になって収集がつかなくなるというところだと思います。

そこで、統計学的に優位性のあるリンクだけ抽出して簡易ツリー構造に「置き換え」るということをして実用化する。

複雑な話をこんな感じで書いているとわかりにくいと思うので、今度お会いしたときにでも対話しましょう。

とにかく、いよいよAIの力を借りる必要があるところまでやってきました。
「ルーブリック」でなくは「コード」という言葉を使っているのは、結局AIはアルゴリズムのコード化なので、工学院は先回りしてきたわけですね。

私もここから先は、理系的センスがないのでわかりませんが、とにも前人未到の領域にはいってきたことは確かです。実におもしろいですね。

それと実用化する問題はまた別の話なので、探求と実用の役割を考えながら進みましょう。

本間先生

ありがとうございます。

まさに、悩んでいるところはそこで、簡単にしつつもその中で細かく分けていくと、より複雑になってしまうのではないかというところです。

お話を読ませていただくと、
サンプルを集めて相関の高いもの(授業形態―思考コードの相関など)を見つけ出し、とりあえず無限の可能性からも、データをもとに絞りこむということでよろしいでしょうか?

そうなると、思考コードのレベルごとに、どの思考の視点が重要か、さらには、思考の視点から思考コードを指定することも可能になる・・・?

つまり、思考コードと思考の視点の紐づけができる➝思考コードごとに、思考の視点が決まると、それをもとに評価ができる。。。

思考力セミナーを作るときも似たような形で、思考のツールをたくさんある中から選りすぐって固定化する、ということを行いました。これは、一也先生や有山先生の経験と知識をもとに選んだものです。今回は、それをきちんとデータから見いだすということですね。

自分で今、考えながら感じたのは、教育方法を科学的に分析・解析している=まさに研究している状態ですね。
S-P表の導入で、授業や試験の質を分析したいとは考えていましたが、授業方法自体を分析するとは考えていませんでした。
そして、とてもわくわくしてきました。教育学部を出ていない自分が、教育方法を研究するとは考えていなかったもので。。。

そうなると、データ(サンプル)の収集はもちろんのこと、質の保障・証明・担保という部分で、田中先生の助けを借りて、広げていくのは加藤先生にお願いするという形で行きます。

Mailgoo
(加藤先生のアドミッションポリシーの広報戦略は、SNSベースで、エンロールメント戦略のパラダイムを転換させようとしている)

お返事を打ちながら、いろいろと頭にめぐってきてまとまらなくなってきましたが、仰っていただいていることが分かってきた気がします。乱文で、すみません。

太田先生

ブレイクスルーの閃光が見えましたね!

2月の公開の方向性もこれだと思います。

太田先生のデータ-サイエンス的な思考性が未来を拓くことになると確信いたしました!

☆添付の膨大な資料はさすがに公開できないので、よくわからないと思うが、この話は実は理事長・理事・校長クラスは一般に興味がない話で、手法の1つだくらいにしか考えていない部分。ところが、そんな考えでは、車のボディのデザインだけ考えてエンジンに投資をしないのと同じなのだ。

☆平方校長や大橋学園長は、そこがわかっている。それが他の多くの学校と決定的に違うところなのだ。

☆ハコモノというハードパワーにしか興味がない経営者とは違い、ソフトパワーを大事にできる経営者。本来学校はこうあるべきなのだが、ソフトパワーまで業者に全部任せてしまっているために、太田先生や田中先生(両校に同じ名のキー先生がいる)、加藤先生のような人材の才能がなかなか開花しないのである。

☆よく大学受験勉強のような左脳よりも感性が大事なのだよと言われることもあるが、感性も質的リサーチで把握する努力をする。そして把握できないものがあるという限界線を見いだすことが極めて重要なのである。そこからイノベーションが始まるのだから。

☆そういうことをきちんと考えがらも、経営者に、保護者に、ステイクホルダーにわかりやすく表現する実用性も追求する。工学院の太田先生、田中先生、加藤先生は、そういうアクロバティックな知のチーム。

☆必ずや未来の名門校になるだろう。おせっかいかもしれないが、未来の名門校を考えている先生方のヒントになれば幸いである。

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