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2017中学入試動向(44) 海陽学園 リベラルアーツの拠点

☆11月25日、56年ぶりに雪が降った東京から海陽学園を訪れると、三河湾の向こうに夕陽が見えた。この地は日常の学園生活の中で大自然への畏怖を感じ、かなたの世界を臨み、自己の未来を展望する拠点なのだとふと感じた。自然、世界、自己実現の循環社会の持続可能性に想いを馳せるリーダーシップ。まさしくリベラルアーツの殿堂だ。

☆学園では、6年生の大学入試への挑戦が始まっており、すでに公募推薦などで合格を手にしている生徒も出始めている時期でもある。
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☆私が正面玄関をくぐりぬけたとき、さっともてなしてくれた先生が、S先生はアドミッションの仕事で日本を北上しているところで、よろしくお伝えくださいとのことでしたと柔らかい表情で迎え入れてくれた。心地よいコミュニケーションだったので、浅薄にも今年の現状の大学合格状況を尋ねてしまった。

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☆柔らかい表情は変わらなかったが、声のトーンが低くなりかつ小声になった。医学部合格の知らせが今届いたところなのですが・・・。あっ、そうか、昨今の多様な入試に応じて、それぞれにいろいろな態勢で取り組んでいる6年生がいる。最終的にすべての受験が終わるまでは、生徒と先生方の手中力を大事にしたいという配慮がすぐに伝わってきたのである。

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☆そして、その日の放課後は、校長勉強会。このように、大学入試や生徒募集で適度な緊張感が流れている学園で、有志の先生方が中島校長を囲んで2020年大学入試改革対応の勉強会を行っていた。つまり、キャンパスに入るや、アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーの最適化のために先生方がめいめい活動している雰囲気に包まれたのである。さらに他校と大きく違うのは、校舎の隣では、フロアーマスター、ハウスマスターと生徒との対話であふれ、個々に学びに没頭している生徒たちのハウス(寮)が鼓動していた。

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☆さて、そのような環境の中、日々先生方は教育の質を向上するために、セルフマスタリーを行っているのであるが、今回の校長勉強会では、東大法学部の推薦入試問題について分析をしていた。問題の解き方を分析するというより、その問題が生徒のどんなコンピテンシー(生徒の行動特性や資質能力)を要求しているのかが中心だった。

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☆そして、海陽学園の育成するコンピテンシーを再共有し、2020年大学入試改革で登場する入試問題のモデルでもある東大推薦入試問題の求めるコンピテンシーと比較分析し、海陽の教育の奥行きの深さや間口の広さ、つまりリベラルアーツ教育を再認識するディスカッションをしていた。

☆各チームは、テーマごとに議論し、プレゼンをするが、そのつど中島校長がメンターあるいはファシリテーターとしてコメントをしていく。東大教授のキャリアが培った多くの科学者や法学者とのネットワークやその知見を先生方と共有。

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☆法学者が倫理と法の違いをどのようにとらえているか、幾何学と法学の論理的思考の共通性、工学と法学の創造的領域の違いなど、先生方のプレゼンの内容にぴたっと対応したコメントと助言を投げかけていた。

☆先生方の耳を傾ける姿には情熱の火がともり、議論をするときの真剣な構えの内側には静かに大きく思考が回転し、同僚のプレゼンを見守る眼差しは実に温かかった。

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☆その姿は、24時間学園生活を生徒と共にしているときの教師の生き様そのものでもあろう。ボーディングスクールにしかないリベラルーツと教師の姿がそこにはあったのである。

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