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2030年教育動向(01)私塾界リーダーズフォーラムで

昨日(7日)、御茶ノ水ソラシティ で、「私塾界リーダーズフォーラム 教育ICTカンファレンス」が開催。10年後の2026年の教育業界の変化を見据えた5つのトークショーあるいはパネルディスカッションでたいへんおもしろかった。

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☆私は、午前中別の仕事があったので、第4部と第5部しか参加できなかったが、資料などからその充実ぶりは推測に難くない。

☆今から10年後という設定は、近未来を見据える時代感覚から自然であるが、2020年大学入試改革が本格実施されるのは2024年以降になっているから、改革を見据える意味でも、参加者にとって気になる時間シフト。

☆最も気になる改革本格実施がようやく動き始める10年後がこう変わるから、今どうするか、何をすべきか、どういうビジネスモデルを意思決定するかを考える参考になる。参加したメンバーは塾の経営者も多かっただろうから、なおさらである。

☆そして、10年というのは、実は今までもたいてい10年後を考えるときに、10年前にさかのぼり、アイデアが生まれては消えるトレンドの激しい交代劇を振り返れば、だいたい予想は難しくない。

☆今もちょっと宇宙から地球をメタ的に眺めたとき、毛細血管のようにはりめぐらす光のインフラの点滅や、そこを神経系のようにはいまくるインターネットは、「地球脳」さながらだが、すでに1995年から2001年段階で、専門家ばかりでなく、ジャーナリストの方々も予測していたことである。

☆にもかかわらず、教育界は変わらなかったが、いよいよ出版業界、百貨店業界、自動車業界、家電業界など、20世紀の産業を代表する業界が、固定化したものづくりから激しく流れるフロー状態モノづくりにシフトしたように、教育もその影響を受けざるを得ない時代がやってきた。

☆今回のカンファレンスは、保守的教育業界人ではなく、改革派教育業界人のトークが中心であるから、改革的流れの話が中心で、時代が一気にそこにうごくどうかは、また別。

☆それゆえ、2020年大学入試改革はうまくいかない、揺り戻しがあると判断する保守的教育業界人も多い。そこで、今回のカンファレンスは、大学のアプリケーションが今までのように各大学のアドミッションオフィスが個別に対応するのではなく、参画する大学コミュニティならば、マッチングアプリケーションを協働利用し、入学者を瞬時に探すなどという米国事例を紹介したのだろう。

☆2020年大学入試改革のシステムは英米の大学のアドミッションオフィスの動向もモデルにしているから、このような生徒獲得マッチングシステムがアプリケーション段階で行われるのであれば、しかもAIが導入されれば、あっという間に最適なマッチングができてしまう。

☆日本の大学が、そんな協働をするだろうか?しかし、医療の世界でもビジネスの世界でも、マッチングシステムはすでに動き始めている。なぜ教育界だけが動かないなどということがあろうか。大いに改革路線に針が触れるインパクトがあったと思う。

☆何より、このマッチングシステムがアジアの大学と協働して行われるようになるということである。日本の大学がそのような種類のコミュニティに参加kしなければ、ますます世界大学ランキングは下がってしまうだろう。さて、どうするのか?そんな状況でもまだ大学入試改革は行われない揺り戻しがあるなどと予想するのだろうか。

☆この入学者と大学の一発マッチングシステム情報は、Dr. Joshua J. Reiterによってなされたが、たまたま同じ並びの机に座っていたので、マッチングのポイントのうち「リーダーシップの潜在可能性」ってどんなものなのか、どんな種類のリーダーシップが求められるのかなどと聞いたところ、「クリエイティビティやエンジニアリングなど多様な領域での可能性」だと。つまり、いわゆる役職におけるリーダーシップではなく、それぞれのコンピテンシーにおけるリーダーシップなのかと聞いたところ、そうだと。

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(「私塾界№427」で21世紀型教育機構も紹介されてる。)

☆欧米で、STEAM教育が広がっているはずだなあと改めて確認できたが、そのあとの第5部でのパネルディスカッションがまたまたおもしろかった。

☆特にパネラーの1人、遠藤 尚範氏 (株式会社メイツ 代表取締役)の学びのプラットフォームの創り方の話はおもしろかった。今私立中高一貫校で「21世紀型」学校が増えているが、そこと呼応するかのようなiPadによるone to oneの授業展開がなされている。

☆今回登壇者全体で、遠藤氏1人が、ハードパワーのコモディティ化の話ではなく、それを活用していかにソフトパワーを生み出すかという話に終始していた。ハードパワーの話は、それはそれで重要だし、新しい話だったが、とにも、パーフェクトに21世紀型の改革派教育業界人がここにいたと感動した。

☆出版も音楽も遺伝子もあらゆるものがコピーでき、その価値はすぐに劣化するフローの洪水の中で、最終的に残る価値は、ソフトパワーを生み出すオリジナルの1人ひとりの存在そのものなのだが、マッチングシステムはその存在そのものを見いだすハードパワー。そのハードパワーを生み出したソフトパワーこそ重要であり、そのソフトパワーの才能を生み出す一つのプラットフォームは「メイツ」なのかもしれない。

☆そんなことを思い巡らす時間となった。お誘いありがとうございました。

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