2030年教育動向(03)かえつ有明の超教育
☆なぜこんなことが起こるのかというと、学内で共感的コミュニケーションに基づいたクリエイティビティをトレーニングするアクティブラーニングを浸透拡大させているからだ。
☆来年新中1は、すべての教科でアクティブラーニングを取り入れることになっているぐらいだ。そのために、早くも新中1担当の教師が決まっていて、スーパーバイザー金井先生といっしょに、夏休みから着々と研修が行われている。
☆かえつ有明が目指す教育はユートピア。超教育である。2020年の大学入試改革がどうあれ、2030年、生徒が社会に出たときに直面する社会は、AI社会にシフトする移行期。
☆あらゆることが問題になっている。未知との遭遇の嵐だろう。そのとき、サバイバルできるスキル。そのとき解決する協働組織のリーダーシップ。どのようなコミュニティを創るのかイマジネーション。そしてAIと協力して問題解決するハイレベルな知。多様性の中でのコミュニケーション力。
☆生徒1人ひとりの技術として唯一性のあるオリジナルな知恵を身に付ける超教育を行う。そうはいっても教科の勉強はどうするのか?
☆そこで、しばらく来年新中1を担当する先生方の授業を見学させていただくことにした。まずは藤原先生の中3帰国生(オーナーズクラス)のアクティブラーニング。
☆帰国生だから、時事問題などバンバン議論し、自分の主張を高めているのかと思った。違っていた。「文法」の授業だった。日本の英語の文法教育があれだけ批判されているのに、なにゆえ?
☆しかし、様子がおかしい。いきなり今朝の英字新聞のコピーが渡され、生徒はチームに分かれて、リサーチを始めた。話し合ってもいる。藤原先生と問答もやっている。たしかにアクティブラーニングだ。
☆でも、記事内容について全く議論していない。テーマは<change>。動詞が名詞化したり、形容詞化したり、副詞化したりする言語構造の分析をしていたのだ。
☆文章や参考書、辞書から<change>の生成の事例を収集し、カテゴライズして、生成文法さながらの授業だったのだ。
☆この学びはいったい何の役に立つのか生徒に尋ねてみた。すると、「言語のルールの諸関係を認識することは、何にでも役に立ちますよ。日本の大学をうけるときなんか、入試問題が海外のものとは全く違うので、分析するのにも役に立ちます。でも、互いを理解にするには、言語の意味だけではなく、その背景や構造によって表現が違うことなど理解することが大切だと思いますよ」と。
☆藤原先生も「彼らは英語を習得する必要はないので、言語としてそのルールを分析する方法を学ぶことが、この文法の教科のコンセプトですね。帰国生の多くは多言語主義なので、他の言語を学ぶときに大いに役立つし、外国人と議論したり論文を書く時には、クリティカルシンキングのアイテムとして文法は必要になります」と教えてくれた。
☆What ではなくHow。そしてメタ認知能力の育成。なるほどアクティブラーニングの真骨頂ではないか。
☆暗記中心の入試であれ、思考力重視の入試であれ、ドントコイという感じだし、2020年より先の2030年の近未来の大激動の洪水の中でいかにリーダーシップを発揮しサバイブしていけるのか。自分だけ生き残ることはできない時代でもある。クリエイティブマインドセットの基礎が教科の授業で行われているのではあるまいか。学習指導要領のWhatはその超スキルを育成する素材に過ぎないのだ。
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