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2017中学入試動向(69)宝仙理数インターの本気

☆「私学経営№502:2016年12月」に宝仙理数インターの富士晴英校長の講演要旨が掲載されている。来春開設10周年を迎える同校の今までと、2020年大学入試改革に突入するこれからの10年を語っている。

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☆今回の講演対象が私学経営者が中心だったということもあり、コンセプト中心の話というより、コンセプトを実現するための段階的な理想達成へ向かう現実論、あるいは実用論が中心。

☆理想即現実を目指す道のりといえる。実際着々と生徒募集を増やし、大学合格実績も飛躍的に伸ばしている。アドミッションポリシーとディプロマポリシーの現実化を目の当たりにした私学経営者は、やはりこれだと思っただろう。大学合格実績を出せば生徒が集まると。

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☆しかし、そのように単純に生徒募集と大学合格実績を決定論的因果関係で判断しているうちは、私学経営は立ち行かなくなる。それを富士校長は実に根気強く語っている。

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☆開設当初から6年間は、大学合格実績はまだでていない。それでも生徒が集まるのは、大学合格実績のための目標値に憧れてということなのかというと、必ずしもそうではない。その目標値を達成する学びの過程に魅力を感じたからこそというのが大半だろう。

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☆この(表3)にある理数インターコンセプトに魅力を感じたということだと思う。だから、大学合格実績の期待値の高さに魅力を感じて入学した生徒とコンセプトの期待値に魅力を感じて入学してきた生徒とでは理数インター存続率が違ったはずだ。

☆このことは今回の講演録では富士校長はあえて話していないが、予想することは難しくない。大学合格実績の期待値に魅力を感じている生徒は、おおむねがんばって卒業しただろうし、コンセプトの魅力に期待をしてきた生徒は大きく2つに分かれただろう。

☆自分たちが理数インターの歴史をつくっていくのだと高い志をもった生徒とすでに実際に理数インターのコンセプトがあると錯覚してしてしまっていた生徒の2種類である。

☆前者は、もちろん6年間ふんばって見事に歴史もつくり、合格実績も出した。一方、後者はリタイアしてしまったケースも少なくないはずだ。

☆実は、ここに私学経営の意思決定の妙がある。実は2007年前後に、理数インターのように新しい教育、今でいう21世紀型教育のコンセプトを掲げて開設された学校は幾つかある。

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(大学合格実績を出すならここまで徹底するという格好の例)

☆しかし、それらの学校の10年には、3種類のタイプの違いがある。

A)革新的教育で集めたが、学内で大学合格実績派が台頭し、中途半端になった学校。

B)革新的教育で集めたが、学内で大学合格実績派が台頭し、表向きは革新的教育、学内は徹底した大学合格実績向上のための指導、そして実績を飛躍させた学校。

C)革新的教育で集め、学内の大学合格実績派と格闘しながら、その統合をなす柔軟な組織づくりに成功した学校。

☆Aタイプはある意味私学経営に失敗。Bタイプは私学経営的には現状では成功。Cタイプは私学経営として現状と未来に向かって成功し続ける学校。

☆宝仙理数インターは、Cタイプである。ブルームのタキソノミーやCEFR基準で言えば、Aタイプの教師陣は、知識・理解レベルの思考重視、Bタイプの教師陣は応用と論理のレベルを中心に物事を考えていく、Cタイプの教師陣は、知識・理解・応用・論理・クリティカルシンキング・クリエイティブシンキングの循環をプロデュースできる力を持っている。

☆Aタイプは論外だが、これからはBタイプとCタイプのせめぎ合いになる。すでにTHE世界大学ランキングの下剋上に現れているように、勝負は決まっているように見えるが、未来は予測不能だし、不確実だ。

☆Bタイプにしろ、Cタイプにしろ、経営リーダーのブレない意志決定にかかっている。つまり、頑固に変わらぬ意志を貫くことではなく、予測不能な未来の激変に対して、生徒にとって学びの最適化をデザインする柔軟で障壁を乗り越える意思決定ができるかどうか。

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(首都圏模試サイト「私学の魂」から)

☆富士校長はこれからの10年をこう語る。

私は、今こそ、本校のコンセプトである「理数インター」を実践することだと答えています。コンセプトは、普段使いしてこそ、言葉に命が宿るものです。先に触れた宝仙学園流のアクティブ・ラーニングである新教科「理数インター」をはじめ、理数的思考力に基づくコミュニケーション力・プレゼンテーション力の育成を、学校生活のあらゆる場面で試行したいと考えています。

☆そして、このコンセプトの理想即現実を詳しく論じているのが、首都圏模試センターの私学の魂。そちらをぜひご覧いただきたい。Cタイプの学校の姿がイメージできること間違いない。

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※表6までの図やグラフは、「私学経営(同上)」から。

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