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2017中学入試動向(75)海城 未来学校のスーパーモデル リベラルアーツの現代化

☆開成、麻布とそのリベラルアーツの教育を紹介してきた。開成は、リベラルアーツの重要性を知っていながらも、なかなか実践知として大きくはなってこなかったが、2021年に大きな周年事業を行うに当たって、リベラルアーツの流れは大きくなる可能性がある。

☆麻布は、中等教育レベルでリベラルアーツ教育の先頭を走ってきたが、それゆえに現代化が弱い。どちらかというと教養主義の匂いがする。ところが、2011年に、高校入試を廃し、中学の帰国生入試を開始した海城は、実際に米国の名門大学に照準を合わせて、グローバル教育を開始したために、同校ももともと行っていたのだが、ここにきてリベラルアーツの現代化が起こっている。

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☆本ブログで、海城の新しい教育への挑戦については幾度も取り上げてきたが、「Gnetナビ2016年10月号」に掲載された柴田校長のインタビュー記事は、同校の全体を俯瞰できるので、ぜひご覧いただきたい。ここでも「リベラルアーツ」は海城の教育活動において重要な位置を占めている。

☆そして、同校が発行している「グローバル通信39号」を合わせ読むと、すでに実際に米国流儀のリベラルアーツが、理念即現実として行われていることがわかる。

☆リベラルアーツの現代化とは何かというと、日本の中等教育の中で、C1英語や哲学的授業、読書や論文指導などを行っていても、それはリベラルアーツの一端ではあるが、生活の中で繰り広げられるアーツ=技術として活用されているわけではまだまだない。世界認識ができても、世界制作の方法を学んでいるわけでも、世界を実際に創っているわけでもないからだ。

☆もちろん、これにもっとも近いリベラルアーツを実施しているのは麻布だ。しかし、本格的なリベラルアーツはそんなレベルではない。ではどんなレベルか?それをここで説明する力量は私にはとてもでないがない。しかし、同校の特別校長補佐の中田先生は、帰国生入試を立ち上げて、グローバル教育を行うにあたり、海外を飛び回り、海外の名門中高、名門大学を視察に行って、もはや国内の中高や大学だけを相手にしていては、日本の教育は世界からおいていかれると肌で感じたそうだ。

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☆したがって、中田先生の目には米国のリベラルアーツが焼き付いている。特に21世紀に入って、米国のリベラルアーツ大学は、総合大学に溝を開けられ、改革に迫られた。そこを乗り越えて、リベラルアーツの現代化を行ったのだから、そこに接続するように、中高のリベラルアーツも現代化しなければならない。それに気づいているのは、日本の中等教育レベルの先生の中では、10人いるかいないかだろう。

☆ともあれ、帰国生第1期生が卒業するのは、2018年春だ。そのときに、その成果が期待されるのだが、先の通信39号には、すでにOBが名門リベラルアーツ大学であるグリネリ大学に進学していて、大学事情を語っている。

☆開成の昭和60年卒のOBがリベラルアーツの重要性を語るのと同じように、今グリネリ大学に通っている海城のOBも、世界の痛みを引き受ける精神性は共通している。これはリベラルアーツの中心的精神である。しかし、現在は、コンピュータサイエンスが取り入れられていて、リベラルアーツの現代化が起こっているところは、大きく違う点だろう。産業構造を転換させるレベルでのコンピュータサイエンスの話だからだ。

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☆海城が開成や麻布に比べてICT教育に力を入れ、お金もかけているのは、2020年の文科省の動きを見て判断しているのではない。米国の名門リベラルアーツ大学の現代化の動きを見て判断しているのである。

☆米国の大学は学費が高いから、そんなに大きな流れにならないだろうと思われるかもしれない。ところが、給付制奨学金=スカラシップの制度がしかっりしていて、東京大学を狙う努力をするのなら、米国の大学を奨学金でいく努力をしたほうが、未来は大きく開けるということを海城は身に染みてわかっているのである。

☆以上が、海城が未来学校のスーパーモデルである決定的な理由である。

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