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石川一郎先生の新著「2020年からの教師問題」

石川一郎先生の2著目「2020年からの教師問題」(ベスト新書)が出版される。1作目の「2020年の大学入試問題」(講談社現代新書)では、時代が大きく変わる大荒れの嵐の中を教師がどのように変容するのか教師問題については触れていなかった。それゆえ、今回は、改革に直面するにあたりどんな教師がサバイブでき、できないか、現在の教師の臨界点を明快に論じたのであろう。

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☆石川先生は、50代前半で校長、学院長に就任しているから、学校外部の人間にはわからない、内部の教師の精神的問題構造が明快に描かれている。おそらく石川先生と同年代、同世代のルサンチマン吹き出る教師陣と攻防戦をアクロバティックにサバイブしてきた痕跡をたどることができる。

☆そして、石川先生を支えてきた、そして今支えている20代から40代の教師の中に、そのルサンチマン教師問題を乗り越えようとしている侍たちを見ているのだろう。

☆それだけに、今までの教師問題と2020年ライン以降の教師問題の違いが明確に認識でいている。実におもしろい。

☆「教師の役割はもう教えることではない、プロデュースすることなのだ。」そう石川先生にいわしめる従来のルサンチマン教師と2020年ラインを突破しようとして先に進めない改革のパラドクスに囚われている新たなルサンチマン教師問題を描いているスリリングなインパクトある書である。

☆このような問題が見えてくる背景には、やはり2020年ラインである大学入試改革がある。大学入試改革否定論者は、従来型の魑魅魍魎的なルサンチマン教師である。

☆大学入試改革に臨もうとして、結局は道具を置き換えるだけで変換できないまま同じことをしてしまう改革のパラドクスに陥る新しい教師問題、つまり20世紀型教師の臨界点がはっきり浮き彫りにされているのだ。

☆2020年大学入試改革をルビンの壺の‹地(背景)>として説明もわかりやすく書かれ、その<地>の舞台の上で古いルサンチマンと新しいルサンチマンに心震わし葛藤する最期の20世紀型教師の問題にスポットライトが当たる構図で本書は描かれている。

☆それでは、2020年からの教師問題を乗り越えられる希望はあるのだろうか?石川先生は、思い切ってジョハリの窓のうち第4の禁断の窓を開こうと語る。2人の世界で開けば狂気と天才の両方が飛び出るが、外部の人間とつながることによって、天才のみを見いだすことができるのだと。マルクスのドイツイデオロギー的発想というか、やはり石川先生は隠れた革命家だったのだろうか(汗)。

☆この禁断の第4の窓を開く役目が2020年からの教師=プロデューサーなのだと。

☆しかし、そこから飛び出てくる教師像とはいかなるリーダーなのか?それは「思考コード」(同書では、首都圏模試センターのものが紹介されている)を自在に使えるデータ-サイエンティストであり、学習する組織を生徒とともにいまここでデザインできる「知のデザイナー」だと思う。そこまでは石川先生は描いていない。というのは、あくまで先生がいっしょに歩いてきた教師の中で、本書は描かれているからだ。

☆そして、おそらく今石川先生に共鳴している若い教師は、プロデュースするキーコンピテンシーを持っているのだろう。彼らに、石川先生も勇気づけられているのだと思う。

☆しかし、「知のデザイナー」である教師は、はやくも生まれている。その教師集団が、工学院大学付属中学校・高等学校にいる。しかし、ミネルバの梟は、空が灰色にならないと飛び立たない。

☆日本のメディアや出版社の限界はそこにある。空が灰色になる前に飛び立つ革新的梟もいることに気づかない。所詮カントやヘーゲルの哲学を超えられない現代の哲学者と同じなのだ。

☆とももあれ、それがどんな教師であるかは、本ブログではすでに紹介してきた。太田先生、田中先生、加藤先生、雨宮先生、もちろん高橋一也先生、そして岡部先生。この先生方は、世界を引き受けて世界をいまここで生徒と一緒にデサインできる知のデザイナーである。未来はいまここにあるからデザインできる教師。

☆今太田先生は、さらに仲間を増やす研修を学内に広めている。続々知のデザイナーが誕生するだろう。このことに気づくジャーナリストはいるのだろうか。編集者はいるのだろうか。いるはずはないし、それでよいのだ。

☆歴史が大きく変動するときは、本当に新しいものは見えない。今輝くしく世に映し出されているのはイミテーションである。余興である。それが幻想であることを払しょくする本物が登場したとき、歴史は大転換ということに相場は決まっているのだから。

☆いずれにしても、同書は2020年からの教師問題をめぐる日本のジャーナリズムの臨界点をも逆照射する衝撃的な本である。闘う教師、石川一郎先生だからこそ執筆できる渾身の力作である。

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