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アクティブラーニングは政治経済社会の転換のテコ~強欲資本主義から創造的資本主義へ

☆今なぜアクティブラーニングか?2020年大学入試改革に伴う学習指導要領改訂の目玉がアクティブラーニングだからという回答は決して間違いではないが、なぜ大学入試改革なのかの回答につながるかどうかというと、そういう意味ではまったく浅薄であるといえる。

☆では、AI社会到来、ロボット社会到来、IoT社会の到来という産業構造の転換故に、産学ギャップが生まれ、それゆえそれを埋めるためにSTEAM教育が重要となり、この教育はどうしてもアクティブラーニングにならざるを得ないからというのはどうだろう。なかなかいい回答であるし、中学受験生の保護者会では、私もそう語っている。

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(二・二六事件当時の高橋是清邸跡地の公園に是清像がある)

☆たしかに、金融政策の行き詰まりで、財政政策も見直しを迫られている世界同時的な経済停滞時代である。金が金を生む金融政策がうまくいかないのは、実際には経済史を見れば明らかだし、財政政策も公共経済の名目でじゃぶじゃぶ使ってしまう政策失敗事例は山ほどある。

☆かといって、メルケル首相のようにドイツのプロテスタンティズム倫理を盾に、倹約財政政策をEU全体に推し進めようとすると、英国のように離脱の動きが加速しかねない。そもそも、ウェーバーの「プロテスタンティズム倫理と資本主義」に対し、当時の学界ですでに贅沢こそが資本主義を発達させるという理屈があったぐらいだ。ラテン系の国とドイツとでは、そもそも資本主義に対するものの見方が違う。

☆そりゃあ、ヨーロッパでは、教育の中心は合意形成のためのディスカッションが重視されるはずだ。では、日本はどうかというと、基本はやはりケインジアンだろう。≪私学の系譜≫も、渋沢栄一や福沢諭吉だから、ケインジアンとは違ったとしても、新自由主義的な発想はあまりない。官民合わせて同じような発想だ。

☆だから、あえてディスカッションを重視する必要もなかった。ところが、グローバリゼーションは、日本社会にめちゃくちゃ格差社会をつくりだし、その格差社会を是正する必要に対する意識が国際調査によると少ない冷たい社会であるという評価をうけるまでになってしまった。

☆しかし、それは日本の縁社会という庶民の暗黙の相互扶助システムがあったし、官僚社会のある意味、良い悪いは別にして、倹約的なシステムがあったから、国に是正を求めるという意識がなかっただけで、別につめたいわけではない。

☆ただ、もはやその相互扶助システムだとか官僚の倹約システム(今でもあるが、問題もでてきた)が空洞化してきていることも否めない。いままでは、そういうシステムがあったから、損得勘定という刹那的な意識で生活してこれたが、空洞化した今、損得勘定を発揮していたら、たしかにリバタリアンの社会になってしまう。

☆こうなってくると、今まで日常生活にあったものがなくなっていることに気づくには、ディスカションは欠かせなくなる。ゆでガエル寸前なのだから、そこに気づくには、多角的に情報を集め、その真偽を確かる知恵が必要だ。文科省が改革をしようがしまいが、今までのシステムが足場にしていた教育は崩れざるを得ないから、新しい教育を考案するのは必然でもある。

☆欧米は、常に足場が共有できない、ハイリスクの政治経済社会を創ってきた。だからディスカッション機能が要請された。しかし、今では足場が崩れている現代日本であるから、それをまずはモデルにすると、アクティブラーニングはポイントということになるのかもしれない。

☆しかし、欧米の社会は、階級構造を温存したままで、格差をそれこそ日本をはじめとするアジアの社会におしつけてきた。それは化石燃料の奪取というシステム構築と言語戦略によるものである。

☆したがって、アクティブラーニングの射程は、文科省の水面下では、いや経産省の水面下なのかもしれないが、未来の子どもたちに、地球規模で何が本当の問題なのか察知する感性を身につけてほしいというところにあるのだ。脱化石燃料依存社会、つまり生態系的社会。かつそれによって格差社会の撲滅という希望。

☆税金をたくさんとってそれで、格差社会をあたかもなくしているかのように見えるヨーロッパ社会のようにでもなく、寄付文化によって、あたかも格差をなくす奉仕社会を形成している米国社会のようにでもなく、新しい脱化石燃料依存強欲資本主義の創造的資本主義への転換に夢をみているのかもしれない。英国EU離脱、トランプ新大統領就任がその流れを加速させざるを得ないだろう。

☆この欧米の化石燃料依存型資本主義の最後の大あがきに対して、日本がとるべき新たな道を走るには、アクティブラーニングが、すべての学校で、すべての授業で行われることは善なのである。学力があがるかどうか、大学合格実績が伸びるかどうかは、本当はどうでもよいのである。本当の喫緊の問題は資本主義の再構築なのである。

☆ドイツが、強欲金融政策や豊満財政政策に偏ることなく、倹約財政でIoTを目指すインダストリー4.0という産業転換政策を行うことは、イギリスの産業革命のバージョンアップに過ぎないが、あの産業革命が格差社会を広げたように、ドイツに富をもたらしはするが、相変わらず強欲資本主義社会は変わらないだろう。

☆ドイツのディスカッションは、隣国諸国との外在的競争的なものである。日本は、内在的な響きを奏でる新しいディスカッションを形成するべくアクティブラーニングを広げるZEN=善の内発的創出を行うしかないだろう。この戦略は夏目漱石が感じていたことでもあり、明治期のもう一つの近代化の戦略である。つまり≪私学の系譜≫。

☆実は、この系譜は欧米以上に強力である。首都圏に300もの私立中高一貫校が集積しているような国はない。このことが一体何を意味しているのか?官僚の中にいる私学出身者は、そのことを暗黙の了解として静かな情熱をもって着々とビッグピクチャーを描き実施しているに違いない。それが誰なのかはわからない。しかし、それは高橋是清が埋め込んだ日本を救う最終的な知である。

☆倹約財政を自らの命を犠牲にして守らざるを得なかった時代だったが、官僚内部の高橋是清の≪私学の系譜≫が、今度は新たな脱化石燃料依存社会のための政策を生み出すだろう。その戦術の1つがアクティブラーニングだったのではあるまいか。

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