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2017年中学入試中間情報【16】工学院から生まれようとしている未来そして希望

★2017年中学入試市場に息吹を吹き込む新入試。中でも知の風を運ぶ「思考力入試」。その中で、さらに生徒のクリエイティビティを呼び覚ます本格的な思考力入試は、かえつ有明、聖学院、工学院、富士見丘。この順番は、中学入試でこのような思考力入試を実施したのが速い順である。この流れは思考論的転回という最先端の知の系譜である。まず他の学校はそこまでのベースがない。

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★たしかに、生徒獲得戦略には、市場のプレイヤーのニーズを読むことが基本である。学校と受験生のニーズのマッチングが最適化したとき出願数は爆発する。

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(工学院の多様なプロジェクトのリーダー3人。左から太田先生、加藤先生、田中先生)

★それは大事なことである。≪私学の系譜≫の経営の倫理ということなのである。しかし、経営の倫理を超えるものがある。それは教育の使命である。

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(他校の知の交流もある。なぜか石川先生も。左から太田先生、石川ヌヴェール学院長、世界の高橋一也先生、平方校長)

★公立学校は、未来の国民に最低限の雇用機会を得られるように、教育行政の政策によって制度設計がなされる。しかし、その制度設計の枠組みの改変には6年間は実質できないという慣習法のような暗黙の了解がある。

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(軽快なステップでファしりテーションする田中先生。思考はリズムなのだと)

★それでは、激変する市場のニーズに対応できない。そこで先見の明のある受験生の保護者は、新しい教育を私立に探す。その流れが、中学受験市場に顕れたのである。

★しかし、さらに≪私学の系譜≫は、教育の使命で新しい教育を生み出す場合がある。というのは、世界の内に本当に大切な世界は顕れないのだが、本当に大切な世界はないのではなく「ある」のである。

★それをないとみなすのが、法実証的な教育行政であり、あるだろうがニーズに顕れないものは切り捨てよというのが20世紀型市場である。

★ところが、ダボス会議が描く新しい社会や最先端のAI社会の予想図、最前線のポスト20世紀型哲学の世界は、その本当に大切な世界を創りだそうとしている。もちろん、それは彼らの主観的なミッションではあるのだが、歴史的な必然でもある。この転回は、新実体論の出現とあるが、そのような出現を考えざる得ない思考論転回としたほうが、将来、今を見返した時に、ピンとくるだろう。

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(本来以心伝心は、濃いコミュニケーションが背景にある)

★今までは、能書きは要らないですんできたのだが、思考こそ経験であり実現への手ごたえなのである。考えているだけで実行しないなんて思考はもはやないのである。思考=行動=創造=存在であり、これはコギトエルゴスムという観念論とは全く違う。キーボードをたたく(いまでは脳波でうごくのかもしれないのだから)だけで、実践的世界は変わる時代だ。

★そんなことはともあれ、その系譜が、かえつ有明、聖学院、工学院、富士見丘なのである。そして、その中で、レゴもマイクロスコープも図書館も数学的思考も、デザイン思考も、プログラミング発想もすべて統合してしまっているのが工学院の思考力入試である。

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(学びは抱腹絶倒するほどおもしろいのだ)

★この思考力入試は、もちろんたんなるテストではなく、PBLそのものでもあって、ふだんの授業の基盤でもある。この新しい授業=テスト=評価という一元論=数学的思考が、工学院では来年高校に波及する。そのプロジェクトも立ち上げって、静かに進んでいる。

★工学院は、道を一本隔てて隣に工学院大学があり、その施設を自由に活用することができる。つまりSTEAM教育を実施するという時、大学の科学施設を活用できるのだ。

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(ここにはシステム思考を支える3つの条件が揃っている)

★何が起こっているかイメージできるだろうか?!つまり、中高にいながらにして大学の学びまでできてしまう。そのうえで進路は他大学なのだ。これは、日本では制度としてまだ教育行政が動いていないから、一般にはできない。やろうとしているのは、今のところ工学院と芝浦工大である。

★それには中高と大学が隣接していないとできないし、大学がAIやBTを研究している理工系の大学でなければできない。要するに米国のAPコースを自前でやる予定なのである。日本の教育行政はそこまでとても追いつかない。

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(シェアを大切にする工学院の同僚性)

★中高は、IBの学びのエッセンスとIBでは古くなっている哲学を現代哲学に切り替え、リベラルアーツの現代化を行うのだが、それには今までの中高では達成できない。それは開成でも麻布でも武蔵でも、観念的にはできるが、プラグマティックには実践できない。

★しかも、高速道路でノンストップでスクールバスを活用して工学院大学新宿キャンパスも活用できる。新宿―八王子をグローバルクリエイティブエリアにしようというとてつもない構想を平方校長とそのブレインの先生方が実行しているのだ。なぜグローバルか?ここから、東チモール、オーストラリア、インドネシア、米国西海岸という環太平洋教育エリアを組織しようというのである。

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(他校の先生方とも学びの交流。英語で哲学授業はいかにして可能かについてワークショップ。もちろんオールイングリッシュで。)

★今は碁石を布石のように打っている段階であるが、すでに各地に生徒は研修やフィールドワークに飛んでいる。

★政治経済やまして軍事力などには頼らず、教育ソフトパワーで世界に社会に貢献する使命を生徒とシェアしている学校なのである。世界を変えるとは、今やアクティブラーニングとおなじくらいバズワードだ。

★しかし、工学院は世界を変えるグローバルリーダーを育成する実践的教育態である。そんなことができるのか?みなさんのご家庭のキッチンをみてください。リビングを見てください。夜になったら電気のスイッチを押してみてください。空調のスイッチをいれてみてください。雨が降ろうが嵐が吹こうが、快適なハウスにいるのではないでしょうか。

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(左から平方校長、岡部先生。岡部先生はUCLAの社会学部卒業。高校の新たな構想展開の戦略ミーティングのシーン。英語教師で学内コンサルタントのような存在でもある。要するに影の仕掛け人^^)

★それに、東京駅丸の内の赤レンガの建物、そこから皇居いったいに広がるビル街一帯の開発。すぐにイメージできるでしょう。

★全国津々浦々、この日本という国土の都市生活のインフラや施設。壮大な国家建設、都市建設。今やその技術は世界に広がっています。

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(表の仕掛け人であるリーダー。しかし、コミュニケーションは、夜を徹して無限に続く)

★最初だれがそんなニーズを持ったのでしょう。明治時代の市場にそんなニーズはあったのでしょうか。時代が変わる時、既存のニーズを頼りにしているだけでは事は成就しません。普遍的な未来は、欲望からではなく、使命から生まれるのです。

★この国や都市の壮大な建設への実際的なデザイン使命、その意志は、1人の若きイギリス人建築家コンドルとその弟子辰野金吾との出会いから生まれました。そして、学校組織として彼らの意志と使命を最初に引き受けたのが「工学院」だったのです。

★だから、その≪私学の系譜≫遺伝子は今も脈々と引き継がれ、今再び大きな挑戦への思い、創造への行いとなっているのです。

さて、話を入試にもどそう。工学院は実に興味深いわけである。だから、そのことを鋭く洞察した保護者の中には、2014年段階から工学院に行くことを決めて、今年受ける生徒もいる。スーパー小学生たちが思考力入試を楽しみにして受けにくるのである。

★学内では、教師も生徒も才能を開発するプロジェクトがどんどん生まれ、いくら取材しても私には理解が追いつかない。まして、すべてに英語とICTが実用段階で循環しているので、リスニングができないは、プログラミングはできないはでは、すばらしいことが起こっているという感動しかわかない。いっしょに学びながら取材ができるようになりたいものなのだが。とにかく、あまりに最前線である。ここにたしかに子どもたちの未来があるということだけは全くもって確かである。

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